こんばんは!ビー玉です。
「万能の天才」「炎の画家」「王の画家にして、画家の王」「色彩の魔術師」「光の魔術師」などなど・・・
カッコいい二つ名を与えられた画家は数多くいますが、本日は「神の手を持つ画家」と呼ばれた男の企画展です。
何が神の手なのか、どうすごいのか?
お時間よろしければ最後までゆっくりご観覧ください!
神の手を持つ画家「ヤン・ファン・エイク」
ヤン・ファン・エイクという名前を聞いたことはありますでしょうか?
ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロなどが活躍した盛期ルネサンス(15世紀〜16世紀)より100年も前に「神の手を持つ画家」と評された画家がいました!それがヤン・ファン・エイクです。
彼の絵のすごさに説明は要りません。一目瞭然( ✧Д✧) カッ!!
誰もが彼の絵を目の前にすると感服するしかないのです。
とりあえず、神の所業を見ちゃいます?(*´罒`*)ニヒヒ
「ファン・デル・パーレの聖母子」
作者:ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck)
作品名:ファン・デル・パーレ母子像( Madonna met kanunnik Joris van der Paele)
年代:1436年〜1436年頃
種類:オーク板・油絵
寸法:141 cm × 176.5 cm
所蔵:グリーニング美術館(Groeningemuseum)/ベルギー
ベルギーの古都ブルージュの聖ドナティアムス教会の小礼拝堂のために描かれた祭壇画で縦141cm、横176cmの大作です。
え?すごさが伝わらない?・・・まぁね、web画像ではこれが限界なんですよねぇ(;´д`)トホホ…
細部をアップにして見ていきましょう。
まず目を引くのが向かって左のドナティアヌスの司祭服です。
これね、写真じゃないんですよ!今から500年以上前の細密画です。
ベルベットのような織物の質感、金糸も一本一本が丁寧に描きこまれています。
見上げると・・・・
司祭帽の豪華な宝石に目を奪われます。
どんなに近づいても、宝石にしか見えません( ✧Д✧) カッ!!
赤い宝石の中には部屋の窓らしき映り込みまで見て取れます。
中央の女性の髪の毛も極細の線で一本一本丁寧に書き込まれており・・・
特に服にかかる髪の毛の細かさといったら!!
変態じみた書き込みですね!
こんなところまで描く必要があるの?
いえいえ、まだまだ呆れr・・・関心するのは早いです。
向かって右の騎士の甲冑の兜にご注目くださ〜い!
なにかが写り込んでいるのがわかりますか?
建物の窓と中央の女性が凸の部分に描き込まれています・・・(llФwФ`)ガクガクブルブル
実は甲冑のあらゆる場所に赤とブルーの衣装の女性が写り込んでいるんです。画集などを見る機会があったら確かめてみてくださいね♪
そして、ここにはいない人物の描き込みが・・・
騎士が背負っている盾の部分です。
ものすごく分かりにくいですが・・・とある人物がうっすら描きこまれているんです!
ヤン・ファン・エイク、その人です!
私は描いる途中の画家自身すら映り込みとして描かずにはいられなかったのかと思っていたんですが、自分を書き込んだのは、どうもサイン代わりだったみたいですね(^▽^;)
油彩技法を確立!
この精密画を可能にしたのはヤン・ファン・エイク(厳密にいうとファン・エイク兄弟です)が確立した油彩絵の具にあります。
それまでは、卵黄と酢水と顔料を混ぜたものを使った絵の具が主体でしたが、ファン・エイクが顔料に植物油(亜麻仁油)を混ぜると滑らかな線をかけることを発見しました。
それによって、今まで表現できなかったような透明感のある細密描写を可能にしたんですね。この油彩技法は現在も西洋絵画の主体となっています。
何が描かれているのか?
絵の内容に触れないまでも、ファン・エイクのすごさは伝わったと思いますが、絵の内容にも少し触れておきましょう!!
絵のタイトルにもなっている「ファン・デル・パーレ」とは、向かって右で跪いている白い法衣の男性の名前です。
病気で死期を悟ったファン・デル・パーレが、生きた証を残したいってことで、ファン・エイクに絵を依頼して教会に寄付しました。
中央には聖母マリアと幼児キリスト。
青い法衣の男性は、その土地の守護聖人「ドナティアヌス」。
甲冑の騎士はファン・デル・パーレの守護聖人で、他の聖人たちにパーレを紹介しているのです。
ちなみに守護聖人とは、背後霊みたいなものだと想像してもらえたらあながち間違いではないと思います(ちょっと違うけどw)
実はファン・デル・パーレには聖人たちは見えてはいないんです。
現実と虚構の世界を一緒に描くことで、絵を鑑賞する者に聖人のいる世界を身近に感じさせるとともに、偉大なパーレが天国に召されることを暗示しているのです。
まぁ、難しいことはさておき、現代の医師がこの絵を見てパーレの死因を「側頭動脈炎」だったと言い当てられるほど、細密に描かれた絵ってことです。
もう一枚、ヤン・ファン・エイクの代表作を見てみましょう♪
アルノルフィ夫妻の肖像
作者:ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck)
作品名:アルノルフィ夫妻の肖像(The Arnolfini Portrait)
年代:1434年頃
種類:オークのパネル、油彩
寸法:82.2 cm × 60 cm
所蔵:ナショナル・ギャラリー(National Gallery)/イギリス
ここに描かれているのは、イタリア出身の裕福なカップル。
なぜ裕福なのがわかるかって?
それは衣装をみると歴然!
服の素材までがわかってします画力
個性的な顔と帽子・・・は関係ないかw (多分メッチャ似てるんだろうなぁw)
柔らかそうなファーと光沢のある生地の上着。
いく重にも織り込まれた凝ったデザインのベール、暖かそうな質感の柔らかそうな上着とファー・・・
どこを切り取っても金持ちや〜ん٩( ᐛ )و
ワンコもお金持ちに見えるぞっ!!
私は雑種ですがなにか?
館長の出生の秘密が明らかに!かみんぐすーん( ✧Д✧) カッ!!
館長の出生の秘密は置いておいてw
散りばめられたモチーフの謎とは
ペットのワンコを一緒に描いてもらったのではなくてですね!ワンコはこの絵を読み解く重要アイテムなのです。
犬は忠誠や貞淑を意味します。
だらしなく脱ぎ捨てられたサンダルにも意味があり、履物を履かない二人がいるのは、神聖な場所だと暗示します。
豪華な黄金のシャンデリアにはローソクが一本だけ灯っています。
唯一の神のみもとで、二人は今まさに結婚しようとしているカップルだということを物語っているのです。
わずか5cmの世界感
圧巻なのは・・・
中央の凸面鏡!!この中にはこの結婚の儀式が写り込んでいるのですが、この鏡の大きさは5cm足らず!
この5cmに満たない空間に、絵の背後にある無限の広がりが表現されています。
そして、よく見ると若い夫婦以外にも人物が2人・・・結婚の儀式の立会い人です!
ここに描かれている人物の1人は・・・・
ヤン・ファン・エイク、その人ですwww
「ヤン・ファン・エイクここにありき 1434年」と描かれています。立会い人としてのサインの代わりなのでしょう・・・
そして、この鏡の周りを飾る、わずか5mmほどのタイルにも10枚のキリスト受難の物語がびっちり描き込まれているのです!!
変態ですねw
変態ですww
ヤン・ファン・エイクが活躍したのは、神主体の時代「ゴシック」から人間至上の時代「ルネサンス」への橋渡し的な時代でした。
ツイッターでもエイクの変態性を熱く語っております
精密画の変態画家(褒めてます)ヤン・ファン・エイク
こちらの絵画も描き込みがすごい!
部屋の外に描かれた風景に注目です。
橋の上では何やら人だかり、よく見ると対岸に火事🔥
えっと・・ここまで書き込む必要あります(^▽^;)? pic.twitter.com/4fIJvaTG8T
— ビー玉@真夜中の美術館 (@beedama_lab) June 24, 2021
ボッティテェリ率いるイタリア絵画は、よりドラマチックに!
ファン・エイクをお手本とした北方絵画はより精密になっていくのが興味深くて面白いです。
ファン・エイクと同じフランドル地方で育ったルーベンスではありますが、活躍はイタリアだったので、このように暑苦しい・・ドラマチックな画風になりました!
ファン・エイクの絵との温度差がすごい(^▽^;)
どうだったでしょう・・・ドラマチックな絵画も素敵ですが、北方絵画の細密で静謐な世界観も私は好きですね〜(*゚▽゚)
こちらも驚異的な細密画です!!
わかりやすく言うと、オープンエロの「イタリアルネッサンス」とむっつりすけべの「北方ルネッサンス」と覚えていただければ( ✧Д✧) カッ!!
わかりにくいですwww
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本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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当「大人の美術館」は毎週土曜か日曜の深夜に開館します。
また来週、深夜にお会いいたしましょう♪
コメント
ビー玉先生!面白い授業、ありがとうございます(^-^)
ヤン・ファン・エイクの絵画は自画像と「アルノルフィ夫妻の肖像」を観た記憶があります。
すんごいですよね。もう、端から端まで虫眼鏡で這い回るように観ちゃいました。形、質感まで実にリアル。人間の目って実はそんなに見えていないから、もう、視界を越えた世界です。まぁ、ここまで描かれるとひれ伏すしかありません。
実は私は油絵を描いていた(過去形)んですが、あのテレピン油やポピー油はファン・エイク兄弟のお陰で存在していたんですね。感無量(v_v)
ヨウコさん、コメントありがとうです♪
きゃー面白いって言ってもらえて嬉しいっっ!!
油絵を描いていたとかカッコいいわ〜♪ヨウコさんは芸大出身ですもんね(≧∇≦) 私は高校の時に授業でちょこっと触っただけです(;´д`)トホホ…
絵はかな〜り下手くそですwww
エイクは・・・あそこまでいくと、もう立派なヘ・ン・タ・イ枠の画家さんだと思ってます(゚∇゚ ; )
すげーな・・・Σ(・□・;)
超写実主義は古来からあったんですね・・・Σ(´∀`;)シカモアブラエ
それにしてもここまで細部に描く集中力、どうやったら
養われるのか。そのあたりをエイク氏にご教授してもらいたいところ←すぐに集中力が切れる(T▽T)
えたさん、コメントありがとう♪
わかりやすくすげーでしょ?今の写実主義も写真みたいですごいけど、500年以上前、筆や絵の具がまだ進化してなかった時代に、ここまで書き込むのは至難の技だと思うのですよ(((uдu*)ゥンゥン
私も年々集中力が続くなくなってるから・・・ご教授願いたいけど、3日で根をあげそうwww
すごーい(´⊙ω⊙`)
変態だけど、ここまで突き詰めると変態もただの変態ではなくなりますね!
やり出したら止まらなくなっちゃうんだろうな〜(´∀`;)
ここまでじゃなくても、細かいことを突き詰めるのが好き(得意)な人って、いるよね〜(σ゚∀゚)σ
aiaiちゃん、コメントありがとう♪
すごいよね!!変態も突き詰めると歴史に残るってことね(^▽^;) 私も昔は凝り性だって言われたけど、今は集中力ありませ〜〜〜ん٩(●˙▿˙●)۶
とりあえず、今も横で猫の遊べというプレッシャーに負けそうwww というか負けます( ✧Д✧) カッ!!
まさにヘ・ン・タ・イ!ここまで細かく描写出来るのは絵の具を効果もあったかも知れませんが、恐ろしいほどの集中力と執着性の賜物!現代に生きていたら間違いなくキ・・・病院行きwwこの人があのボッティテェリと比較すると暗い!なあという印象ですね。さすがイタリア、無意味に明るい!絵の具もそうだけど筆はどうした?筆は?あんな髪の毛一本一本描くには筆もいろんなものが用意されていたのではないか?と・・・犯罪は犯さなかったのかねぇww
pope兄さん、コメントありがとです♪
ここまできたらりっぱなヘ・ン・タ・イ!٩(●˙▿˙●)۶ もうね・・目に見えるものは省略せずに描かずにはいられない性分だったんでそうねぇ・・空間恐怖症とか? 今なら病名がつきそう(((uдu*)ゥンゥン イタリアは太陽光が強いから人も文化も明るくなるのかな?フィリピンも太陽光強いイメージだよ(((uдu*)ゥンゥン
普通の筆だとあの線は無理でしょうね・・・私の中では北欧の人はみんな「細かい」イメージができちゃってます(゚∇゚ ; )w ←偏見w
この繊細さ、凄いっ!
贋作が出るとしたら写真…くらいの精密さですね♪
ベルベットと刺繍と、全て素材がわかる。私の友人にも精密画にみせられ描いている子がいて。もうハマったら逃げられないんでしょうね(*´艸`)
marimoちゃん、コメントありがとう♪
本当にね!贋作とか絶対に無理な気がする〜〜〜(^▽^;) 私だったら、もっと簡単なものを模写するわwww
現代の精密画もすごいよね〜(((uдu*)ゥンゥン まるで写真とみまごうほどに!! 描くうちにもっともっとってなるんかなぁ・・お友達すごいなぁ+.d(・∀・*)♪゚+.゚
テキトー星人の私とは正に対極にあるファン・エイク。一緒に暮らすと鬱陶しい人なんじゃないかと邪推してしまいます。
でも、この執着心は本当にお見事。人類の文化はこういう変態の方々が作って来てくれたんだなと、素直に感謝します。
momさん、コメントありがとです♪
私も究極のテキトー人間なんだけど、うちの夫が精密画を描きそうなタイプなのよwww
自分の好きなことに集中してくれててるから、意外と楽よ〜(≧∇≦)
おそらく、それそれの分野の変態たちが歴史に名を残すのよね!!私は絶対に無理〜♪
ほんとすごい緻密さ。ある意味ヘンタイだよね。この執着心がすごいわ。私には忍耐力ないから、無理。
ホンモノを見てみたい!
Nickちゃん、コメントありがとう♪
本当にすごいよね〜〜!!確かに神の手をもってるとしか思えない(((uдu*)ゥンゥン 筆も絵の具も現代のものよりも優れていたとはおもえないし、当時の道具でお同じものを描けって言われたら、できる人はいないんじゃないかなぁ・・・来年3月に世界初のロンドンのナショナルギャラリー展が東京都と大阪で開催が決まったらしいから、もしかしたら来日するかもしれないよ〜٩(●˙▿˙●)۶ 20点しかないから無理かなぁ・・・
この超絶リアル志向は確かに変態級ですわ(゚Д゚;)
細かい…細部までのこだわりが凄すぎるw
鏡の中なんかもですが、髪の毛にしても宝石にしてもちょっと凄いですね。
これ実物を眺めたら細部を見て回るだけであっという間に時間が過ぎ去ってしまいそうです!!
いや~…惚れ惚れします、これは(*´艸`*)
もりりんさん、コメントありがとう♪
何を隠そう・・私も本物はみたことがないんですけどね〜(^▽^;)
細密な画集でも、なかなか全てを把握するのは難しいと思います!本物を見てみたいですね〜(((uдu*)ゥンゥン
いつか世界旅行へぞ〜〜〜(ง •̀_•́)ง‼
あれぇ?(@_@)私、何処かで経歴詐称したかなぁ?(笑)私は芸大の油絵科を見事に落ちまして(だって40倍だったんだもん(>_<)言い訳)、別のなんてことない芸術系の大学に行きました。ファン・エイクのあの絵とちょうど同じくらい大きさの油絵の卒業制作を描きましたが、銀河と地…位の差でしたね(^^ゞあんなん、油絵で描くなんて信じられません(笑)
ヨウコさん、うわ〜〜〜すいません!!どこで勘違いしてたんだろう(((( ;゚д゚)))アワワワワ 経歴詐称疑惑をさせてすいませんっ(ノд-。)クスン ←してませんw
油絵で絵が描けるだけでもすごいです。私は何かわからない抽象画のような絵を何枚か(ノ∀`)タハー
ナニコレ・・・・
写真じゃないの??
いるね~上には上が
(余談)kindle本今年やるか!!
koichiさん、コメントありがとうです♪
写真じゃないのよ( ✧Д✧) カッ!! しかも500年以上までの絵なのです(^▽^;)
Kindle本はあらゆるところで書くと言って、後に引けいない状況を作っておりますwww
描くのがすぐ面倒になる方なので、この緻密さは驚異的ですね。
糸の一本一本まで描いてます!
自分を描きこんでいるところが自己主張強いですね!
阿倍野ハルカスは、年刊パスとかやっているとは知りませんでした。
でも、お得になるほど行かれる自信はないものの
確かに今年はいいのやっています。
ウラジーミル・アスポンさん、コメントありがとう♪
もう見てるだけでも面倒です(^▽^;)
あべのハルカスは我が家から最も通いやすい美術館なので、年パスが買えたら毎週いっちゃうかもしれません。今年は大型展が目白押しですᐠ( ᐛ )ᐟ
凄いなぁ…。細かい書き込みですなぁ…。特に写り込みなんか言われな気づかんな。
(((uдu*)ゥンゥン
ましゅーさん、コメントありがとう♪ すごいよね・・・一度気づいてしまうと、見つけずにはいられないという恐ろしさがある絵でございます(((uдu*)ゥンゥン