堕天使ルシファーはどこにいる?ダンテ「神曲」にみる地獄ツアー

聖書(宗教画)

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こんばんは、大人の美術館ナビゲーターのビー玉(@beedama_lab)です

あなたは死後、天国と地獄のどちらに行きたいですか?

地獄というのは宗教によって色々ですが、キリスト教的天国はキリスト教徒であることが絶対条件で、その中でも良きクリスチャンしかいくことができません。

日本人の場合、クリスチャンは1%以下だと言われているので、私も含めほとんどの日本人の場合は地獄へ行くわけですよ。

本日は、死後にほとんどの日本人が行くことなるであろうキリスト教的地獄へナビゲートします。

少し怖いですけどね、具(そなえ)あれば憂なしともいいますし、一緒に地獄めぐりのツアーに出かけましょう。

よろしければ最後までお付き合いください。

キリスト教的地獄

地獄と聞けば、地の底にあって、魔王ルシファーが君臨する悪人を永遠に炎で焼いたり、悪魔たちがあらゆる攻め苦を与える恐ろしい場所というイメージがあるかと思います。

じつは聖書には地獄に関しての詳しい記述はありません。

聖書外典の「ペテロの黙示録」「エクノ書」に天国と地獄への旅について書かれていて、

13世紀に、この外典のイメージを膨らませて書かれたダンテの叙事詩『神曲』がキリスト教(カトリック)における地獄のイメージを決定づけました。

ちなみに『神曲』は小説ではなく叙事詩、詩集です。

詩人で政治家であったダンテ自身が若くして亡くなった恋人ベアトリーチェの姿を追って地獄、煉獄、天国を見て帰ってくるお話。

イタリア語ではLa Divina Commedia

日本語に訳すと神聖喜劇

コメディ(喜劇)というタイトルだけど笑える話じゃありません(^▽^;)

喜劇とはハッピーエントという意味。

『神曲』と訳したのは森鴎外です。

 

館長
館長

センスありますね

本日案内するのは、神曲に書かれた地獄

『神曲』は芸術においても多大なるインスピレーションを与え、多くの画家が地獄を描きました。

『神曲』は文学のみならず、西洋絵画においても重要な作品なんです。

では、地獄ツアーの始まりです。

地獄への旅

地獄は英語でInferno(インフェルノ)、映画や曲名などによく使われていますね。

地獄への入り口は「地獄の門」

「地獄の門」はパリのオルセー美術館にあるロダンの彫刻が有名ですが、オルセーにあるのは石膏で作られた原型です。

この原型をもとにブロンズで抽出された作品をオリジナルといいまして、ロダンの「地獄の門」のオリジナルは日本に2箇所あります。

国立西洋美術館静岡県立美術館

画像出典:ウィキペティア

地獄に興味がある方は、この地獄の門からご入場することになります

受付は門の上部の通称「考える人」でお済ませください。

ちなみに「考える人」は何かを考えているのではなく、門を通る人が眺めている人です。

作者不明 「地獄に鍵をかける天使」

海に住む怪物レヴィアタン(リヴァイアサン)の口も地獄への入り口になっていますが、こちらは地獄初心者さんにはハードル高めです。

より刺激を求めたい方にはレヴィアタンをおすすめ!

入場されますと川をボートで地獄へと向かいます。

アレクサンドル・リトフチェンコ『ステュクス川を渡って魂を運ぶカロン』1961年

船頭はカロン。

カロンは元々はギリシャ神話で魂を冥府に送る船頭でした。

暴風の中、速やかに冥府に送ってくれる名船頭だったのですが・・・。

 

『神曲』以降、キリスト教に派遣船頭として登場するようになります。

派遣先でのカロンの待遇はあまり良くなったようで悪魔化!

 

館長
館長

ブラック企業だったんでしょうか

 

 

ミケランジェロ『最後の審判(一部)』1536〜1541年

激務に気も荒くなっているので、怒らせないようにご注意を!

裏技としてはカロンに1オボルス(日本円で500円ほど)を渡すと多少あたりがよくなります。

心配な方は口に1オボルス咥えて乗船してください。

 

ほのどなく地獄に到着です。

9層からなる地獄マップ

ちなみに地獄マップはこちら

場所は聖地エルサレム真下、地下9層の円錐状。

1層から順に降っていくこといたしましょう

1層目 辺獄(リンボ)

ドメニコ・ベッカフーミ『辺獄のイエス』1530〜1535年

第一層は辺獄(リンボ)、キリスト誕生以前に生まれた人々はクリスチャンになりようがありません。

キリストを知らないというだけで地獄に落とすのはどうかと言う声に応えて設けられた救済層です。

ここには送られるのはソクラテスはアリストテレス、歴史に名を残した偉人たちや洗礼を受けるまでに亡くなった赤子も含まれます。

運が良ければ、辺獄にいる人を救うために天から降りてきたキリストに会うこともあります。

2層目 邪淫地獄

男性ツアー客に人気があるのが第2層の邪淫地獄です。

肉欲に耽った人間たちが落とされる地獄。

ここだけの話し、

邪淫地獄に落とされるのは美女が多いのです。

有名どころでは

ローマの英雄たちを誘惑したクレオパトラ


ジャン・レオン・ジェローム『クレオパトラとカエサル』1866年

 

美貌ゆえにトロイア戦争のきっかけになったへレネなど

ギュスターヴ・モロー「トロイの城壁のヘレネー」( 19世紀後半)

うっかり魅了されると戻れなくなりますので気をつけてくださいね。

ここに留まると一生荒れ狂う暴風に耐えることになります。

3層目 大食漢地獄

大食漢地獄では絶えず悪臭が立ち込めていますので、全員マスクを装着してください!

 

キリスト教では必要以上に美食を追求することは罪とされます。

ここは美食の限りを尽くした人間が落とされ、3つの頭を持つのケルベロスに体を引きさかれ続けるという責苦をおいます。

よく見ると可愛いケルベロスですが、むやみに手を出さないように気をつけてくださいね、唾液はトリカブトという猛毒ですので噛まれなくても危険です。

4層目  貧欲地獄

地獄めぐりとしてはもっとも人気がなく地味なのがこの貧欲地獄

貧欲地獄とはケチと浪費家が落とされる場所。

ケチと浪費家では相反するように思えますが、お金に翻弄されたという点では同じなのです。

彼らはお互いに「貯め込むな」「使いすぎるな」と罵り合いながら金貨の詰まった重い袋を永遠に転がし続けます。

見どころは、鍛えられた筋肉美くらいですので

先を急ぎましょう(^▽^;)

5層目 憤怒者の地獄

ウィリアム・アドルフ・ブグロー『地獄のダンテとウェルギリウス』1850年

生前怒りに我を忘れた人間が落とされる地獄です。

ここでは真っ赤な血色をした池で男女問わずの泥試合が繰り広げられ、

裸の男性同士の戦いが、とある筋の方々に人気のエンターテイメントとなっています。

ブグローの描く地獄のタイトルになっているダンテとウェルギリウスは戦っている2人のことではなく、ダンテは神曲の作者であり地獄めぐりをしてる主人公、ウェルギリウスとはダンテの道案内をしてる詩人のこと、戦う2人の後ろの人物たちです。

不平不満の泥沼なんてのありますので、うっかり巻き込まれないように気をつけて歩いてくださいね。

6層目 異端の地獄

12世紀の写本

異端の地獄では、キリスト教の存在を知っているにも関わらず改宗しなかったものが落とされます。

要するにキリストを信仰しない人々のほとんどが死後はこちらに落ち着く可能性大!

火が噴き出す墓穴に入れられて、永遠に炙られることになりますので、死出の旅へは熱さ対策をしっかりしておくことをおすすめします。

 

7層目 暴力地獄

ここより深層部は急に罰が細かくなってきます。

7層目の暴力地獄はリング上にさらに3つに分かれいます。

1、他者に暴力を振るった者

煮えたぎる池につけられる

2、自分に暴力を振るった者(自殺者)

自殺者は枯れ枝に姿を変えられて、顔が人間で下半身が鳥というハーピーに啄まれ続ける


ヴィクトル・ヴァスネツォフ「セイレンとアルコノスト」 1896年

 

3、神や自然に暴力を振るった者

火の雨が降り注ぎます

8層目 悪意者の地獄

悪意を以て罪を犯した者が10の堀に振り分けられ10様の刑に処せられます。

ここまでくると、罪も罰もオーダーメード感覚

1、女衒(ぜげん)
女性を売り買いした者。女性を弄んだ者などが、悪鬼からの鞭打ちの刑を受ける

2、阿諛者(あゆしゃ)
媚びすぎた者が糞尿の海に沈められる

3、沽聖者(こせいしゃ)
信仰をお金に変えた者が穴に逆さまに突っ込まれて足を焼かれる


ウィリアム・ブレイク 「教皇ニコラス3世」1826-1827年

4、魔術師
魔術師や偽の予言をした者は首を背中に顔が向くほどに捻じ回される

5、汚職者
賄賂を受け取った聖職者は悪鬼から鉤手(かぎて)で引っ掻かれ、煮えたぎるコールタールに漬けられる

6、偽善者
鉛のコートを着せて歩かされる

7、盗賊
盗みを働いた者は蛇に噛まれ、燃え上がり灰になるを永遠に繰り返す

8、謀略者
他者を策略的に陥れたものは、火で焼かれる

9、離間者
不破の原因を作った者は悪鬼の刀で体を切られて内臓を出される

10、詐欺師
錬金術師や詐欺を行なった者は疫病を患い苦しみ続ける

 

お疲れ様です。

一気に見て回ったので疲れたんじゃないですか?

次が最深部です。ついにあの堕天使をお目見えします。

最深部 叛逆地獄(コキュートス)

これまでは火攻めが多くて暑かったと思いますが、気温が一気に下がり氷の世界となります。

防寒をしっかりしてから最深部に向かいましょう。

ここは、裏切り者たちが氷付けにされているコキュートスと呼ばれる地獄。

コキュートスは4つの層に分かれていはいますが、対象者は一様に氷漬けです。

1、肉親を裏切った者

2、祖国を裏切った者

3、客人を裏切った者

4、主人を裏切った者

人類最初の殺人で弟を殺したカイン、イエスキリストを裏切ったイスカリオテのユダなどと会うことができます。

そして!さらに最深部、この地獄ツアーのハイライト「堕天使ルシファー」

裏切り者たちを口に咥えたまま下半身を氷漬けにされた状態で永久に幽閉されています。

 

長い幽閉の末、かつて暁の天使とまで呼ばれた美しかった姿も見る影はなく、野獣の姿と化し、理性もあるんだかないんだか・・・

近づきすぎると食べられてしまうのでご注意くださいね。

ツアー終わりの挨拶

どうだったでしょう?

キリスト教的地獄の感想は・・

この地獄で最後の審判の時まで過ごすことになります。

思ったよりも怖くなかったでしょう?

怖かったと言う方は今からでもキリスト教に改宗してみるものいいかもしれません。

天国に行けるとは限りませんが(^▽^;)

 

地獄は宗教、宗派によってさまざまです。地獄の居心地で信仰を選ぶというのもありかもせれませんね。

 

以上で地獄ツアーは終了です。お疲れさまでした。

オプションで煉獄ツアー、天国ツアーもありますので、申し込まれる方は後日申し出てください。

とりあえず、お疲れ様でした。

ゆっくり休んでくださいね。

 

ダ・ヴィンチコード第3弾『インフェルノ』では神曲が題材になってます。

 

平川 祐弘さん翻訳の神曲がとても読みやすい口語訳で分かりやすい

いい感じ注釈が入っていて、キリスト教知識を自然に増やせます。

神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)

 

文字は苦手という方は、まんがで読破シリーズの「神曲」もおすすめ

こちらは Kindle Unlimitedなら無料で読めます

 
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コメント

  1. ( ゚д゚)ウム 別府温泉、湯煙ツアーやな?

  2. aiai より:

    天国は数日で飽きそうな気がするから地獄行きでもいいかな、って思ってたんだけど・・・熱そうだなぁ~
    わたし暑いの苦手なのよねぇ(~_~;)←そういうレベルじゃねえ
    ぜひ天国ツアーも体験してみたいです’`ィ (゚д゚)/

  3. ヨウコの川歩き より:

    凄いねぇ地獄ツアー楽しかった(^o^;恐いもの見たさですかね(笑)
    ルシファーはデビルマンに出てきましたね。美しい(*´ー`*)

  4. Nick Ollie より:

    異端の地獄に落ちそうだけど、きっとここは熱いわね。
    憤怒者の地獄で戦っている男性たちの筋肉を見に行きたい。
    どうしてこんなに細かく地獄を細分化したかったんでしょうね。キリスト教を信じないとこんなに怖いと言いたかったからなのかな。

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