絵画界における最高位の芸術「神話画」に隠された本当のエロスとは?

ギリシャ神話(神話画)

こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。

大人の美術館へようこそ!

今宵は画家のエリートが描く、エリートのための絵画!ギリシャ神話の世界にあなたをナビゲートします。

こちらの2種類の絵、同じ画家が描いた同じような場面なんですが・・・その内の1枚には驚くべき秘密が隠されています!

最後には「ああっ!」ってわかるようになるかと思います。

お時間よろしければ最後までお付き合いください。

 

ギリシャ神話の神々

日本ではギリシャ神話といえば、星占い、ゲームや物語の題材として人気ですが、「歴史」なんだという認識はあまりないのではないのではないでしょうか?

歴史なんです( ✧Д✧) カッ!!

でもまぁ・・現代では日本の「古事記」を日本の歴史だと認識してる人が少ないように、西洋においても「歴史」だと思ってる人は多くはないと思いますけど、実際はどうなんだろう?

キリスト教圏だと、ギリシャ神話よりも旧約聖書の創世記だろうし・・

ただ、絵画の世界においてギリシャ神話はあくまでも「歴史画」扱いです。

絵画のヒエラルキー

19世紀以前の西洋絵画では絵画のジャンルにはヒエラルキー(ピラミット型の階級)が存在しました。

こんな感じです。

宗教画、神話画、寓意画などの歴史を描いたものが最も高貴で位が高いとされていたんです。

サイズが大きな歴史画を描ける画家というのが画家の世界では最も地位が高く、そして大きな絵=歴史画なんです。

なので、何が描いてあるかわからなくても、サイズが大きければ「なんか歴史が描いてるぞ」と思ってOKです( *• ̀ω•́ )b グッ

王侯貴族の肖像画とかもデカいけど、今となってはそれもりっぱな「歴史」ですから・・

なので、より高い地位を目指す向上心のある画家は、どんなに風景画や風俗画が描きたくても歴史画を描かねばならんのですよ(((uдu*)ゥンゥン

↓この絵を描いたクロード・ロランは確実に風景画を描きたかった人です。

クロード・ロラン作 「アポロンとマルシュアスのいる風景」

どうしても風景画が書きたかったロランは、風景にギリシャ神話などの歴史画を小さめにねじ込むというスタイルを確立しました。

完全に主役は風景w

この「アポロンとマルシュアスのいる風景」にも風景の中で神話の世界が “こっそり” 描き込まれています。

音楽対決でアポロンに負けたマルシュアスが罰として生きながら皮を剥がれるという恐ろしい場面です(llФwФ`)ガクガクブルブル

なぜに、こんなのどかな風景の中に、とーとつに残酷な場面を?って思うんですが・・

「その方が風景の美しさが引き立つじゃんっ?」って思ったとか思わないとか(^▽^;)

雑誌アート

本当に難しいのは神話画です

なんとなく楽しい物語というイメージのあるギリシャ神話ですが・・

実は絵画を本当に理解するという意味では難しいジャンルです。

なぜなら、宗教画は一般大衆に向けて宗教をわかりやすくするためのメディアだったので、庶民に向けて描かれた、実はわかりやすい芸術なんです。

それに対して神話画というのは、しっかり教育を受けた王国貴族だけが鑑賞する絵画であり、そのインテリジェンスを試すための絵画だったからです。

 

私個人が感じる難しさの図はこんな感じ。

寓意画は全てを読み解くのは専門家でも難しいです。(寓意画に関してはまたいずれ)

その次が神話画ですね・・・

 

ではインテリジェンスを試す絵を1枚・・・

 

・・・・・。

えっと・・何プレイですか(;//́Д/̀/)?

この絵はですね。

若い女性の肢体を覗き見る老人の図のようにみえますが・・

この女性と老人は実は夫婦です。女性は女神ヴィーナスで老人は彼女の夫で鍛治の神であるヘファイストスです。

夫婦で変態行為をしているわけではありません。

鏡に映ったヘファイストスの後ろ姿がなんとも間抜けて見えますが・・・じつはこれ、鏡ではなく盾です。

この盾の持ち主がどこかにいるはずなんです。

いました!軍神マルスです。

ヴィーナスとマルスは恋人同士ですが、不倫カップルです(; ̄Д ̄)

この絵は・・妻が浮気中に夫に浮気現場を抑えられちゃったというド緊迫の場面です!

ティントレット作「ヘファイストスに見つかったヴィーナスとマルス」

私たちは「ヘファイストスに見つかったヴィーナスとマルス」というタイトルを見て、この絵がどんな場面を描いたものなのかわかりますが、当時はタイトルなんて付いておらず、絵を見ただけで何が描かれているのわからなければインテリ失格とばかりに失笑されたとかしないとか・・

確かに難しいとは思うけど・・

これは・・・インテリジェンスを駆使する絵なんだろうか(^▽^;)?

この絵を読み解くヒントは盾だけではなく、画面中央上の寝たふりをしているエロス(キューピット)と兜を被っている浮気男。男に吠え掛かっている番犬。

この場合、エロスがヴィーナスのアトリビュート(トレードマーク)で、兜はマルスのアトリビュート、番犬はヘファイストスのアトリビュートです。

ド修羅場ではありますが、戦いの神マルスがヴィーナスにうつつを抜かしている間は武装を解くので、世の中平和だという意味が込められています(^▽^;)

そう思うとなんとも微笑ましい絵に見えなくもない・・かなwww

雑誌アート

オリンポス十二神

ちなみにヴィーナスは “英語名”でマルスは “ローマ名”

本来は統一しなくてはいけないのですが、このブログではより分かりやすいであろう呼び方を採用しております。

この機会に表にしておきます。

権能 ローマ名 ギリシャ名 英語名 主なアトリビュート
 全能 ユピテル ゼウス ジュピター 鷲・雷
出産・結婚 ユノ ヘラ ジュノー 孔雀
海神 ネネプトゥヌス ポセイドン ネプチューン 三つ叉の矛
愛と美 ウェヌス アフロディーテ ヴィーナス 赤いバラ、エロス
軍神 マルス アレス マーズ 鎧兜、武具
光明 アポロ アポロン アポロ 竪琴、月桂樹
狩・月 ディアナ アルテミス ダイアナ 三日月の髪飾り、矢筒
酒神 バックス ディオニュソス バッカス 果物の冠
使者 メルクリウス ヘルメス マーキュリー 伝令の杖
豊穣 ケレス デメテル セレス 麦穂の冠
鍛治 ウスカヌス ヘファイストス ヴァルカン 金槌、番犬
知恵・軍略 ミネルウァ アテナ ミネルヴァ 盾、鎧、勝利の女神ニケ

これらの神々が繰り広げる乱痴気騒ぎが、権威ある 歴史画「神話」なのです(゚∇゚ ; )

どれほどエロくても、バカバカしくても、宗教画と地位的には同等( ✧Д✧) カッ!!

エロくても歴史!

そして冒頭に紹介した絵です。

この絵には誰が描かれているか分かりますでしょうか?

先ほどの十二神の表にヒントを書いております。

女性の一人は三日月の髪飾りをつけているし、矢筒や仕留めた動物たちが絵が描かれているので、狩の女神ディアナ(アルテミス)です。

フランソワ・ブーシェ 作 「水浴するディアナ」

ディアナは男性嫌いの処女神で、側に従事するのも女性か少年のみ!

この絵「水浴のディアナ」はそんなディアナが狩の後で侍女のニンフ(妖精みたいなもの)と体を清めている場面です。

女性たちの透明感のあるピンクかがった白い肌が滑らかで本当に美しいっ!!

女性たちのキャイキャイした感じが女子校っぽくて可愛らしいです!百合(女性同士のあれこれ)好きの著者としては萌え要素のありありの絵であります(ノ∀`)タハー

ディアナは月の女神でもあるので、青い布は夕方から夜になり、ディアナが月の女神として輝くことを象徴しているのかもしれません。なんとも美しい情景です。

似てるけど、まったく違う絵

それに対してのもう1枚!

こちらも同じくディアナと侍女を描いた絵ですね。

三日月の髪飾りをつけているので、ディアナに違いはないのですが・・・

確実に百合度を増してます(;//́Д/̀/)カーッ

 

館長
館長

いや、そこじゃないでしょっ?

 

 

実は・・・この人物はディアナではないんです!!!

秘密はこちら

ディアナの横には鷲!!

鷲のアトリビュート持った神様といえば・・・・

そう、ゼウス!!

ゼウスが女神ディアナに化けて、ディアナの侍女カリストを今まさに手篭にしようとしている場面です。

フランソワ・ブーシェ 作 「ユピテル(ゼウス)とカリスト」

この鷲に気づけば、カリストもこれから起こる理不尽ともいえる悲劇を回避できたんですけどね。

この後、カリストはゼウスの子どもを懐妊して、男性に対して潔癖すぎる処女神ディアナの怒りをかい、森を追い出された上に・・ゼウスの妻ヘラの嫉妬によって熊に姿を変えられます。

その後、成長した息子に狩られそうになる寸前にゼウスによって息子共々天に上げられて星座になったというのが、大熊座と子熊座にまつわるお話。

息子に狩られるという最悪の自体は回避したものの・・怒りが収まらないヘラの策略により、大熊座と小熊座は海に沈むことを許されず、夜空を不眠不休で駆け続けることになるんですよね(;´д`)トホホ… 理不尽すぎる!!

雑誌アート

口実でしょ?

 

そんな感じで、エリートたるもの「鷲」に気づかなくてどうする!という絵でございます。

でもまぁ・・私が思うに、ちょっと色っぽい絵をまじまじみるための口実のような気がしてならない( •ὢ•)

いや〜インテリジェンスを磨いても、行き着く先はエロなのね・・・「人間だもの」ってことで、本日は以上です。

\\ ✨ 動く大人の美術館です ✨ //


最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

当館は毎週土曜か日曜の深夜に開館する大人のための美術館です。

来週はギュスターブ・モロー展のレビューを予定しております。

よかったら、また来週お会いいたしましょう(*ˊᵕˋ*)੭

 

コメント

  1. miyukitty より:

    面白かったぁ~。
    我が家のマルス(マース)の横取り癖があるのは
    名前のせいかぁ~(^▽^;)

    • ビー玉 より:

      miyukittyちゃん、コメントありがとうです♪
      楽しんでいただけて、何よりでございます。
      そうかマルスくんは横取り癖があるのかぁ・・それは名前のせいかもしれないwww
      だけど、可愛いからOK( *• ̀ω•́ )b グッ

  2. えたばりゅ より:

    私利私欲に嫉妬・・・( *´艸`)
    全知の神々も人の世と変わりありませんな( *´艸`)

    いや~・・・でも
    風景画に神々を小っちゃく入れるとは考えましたね(^^♪
    ・・・皮をはがれるのはホラーやけど((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

    • ビー玉 より:

      えたさん、コメントありがとうです♪
      神は神に似せて人間を作ったので、人間が欲深いのも嫉妬するのも全ぶ神様から受け継いだのです( ✧Д✧) カッ!!
      そう思うと、罪深いのもしかたないかなとww

  3. ash より:

    きゃ~面白い~。でも私、ぽーっと見てるのか、鷹も三日月も全く気がつかず‥。ビー玉さんのテキストないと「わ~キレイな絵」だけで終わりそう~エリートになりたいのにぃ~。
    あ、エロは野生の感性でわかります(*´Д`*)

    • ビー玉 より:

      ashさん、コメントありがとうです♪
      面白がってもらえてうれし〜〜〜〜(≧∇≦) エロの野生の感ってなんだ??だけど私にも備わってるかも(ΦωΦ)フフフ…
      なんかあるなって、なんとなくわかるもん٩( ᐛ )و 絵だけじゃなくてねww

  4. Nick Ollie より:

    毎回、とても面白い!

    エロチックな絵をじっくり見たいから、アトリビュートを見えにくく描いたりしたのかな。所詮、インテリジェントな人たちも、エッチだったという、、、

    • ビー玉 より:

      Nickちゃん、コメントありがとうです♪
      面白がっていただいて何よりでございます( ✧Д✧) カッ!!
      インテリジェンスがあると理由づけが必要になるのかもよぉ〜〜(≧∇≦) 素直に見たらいいのにねww

  5. ゼウスはホントいかんやっちゃですね~(;”∀”)

    大熊座とこぐま座…
    もっと優しい心で見てあげよう。可哀想すぎます(;´∀`)

    • ビー玉 より:

      もりりんさん、コメントありがとうです♪
      大熊座・・日本から見ると、さらに逆さ吊りみたいになってて可愛そうなのだ(;´д`)トホホ…
      ゼウスめ〜〜〜〜〜〜っっ( •ὢ•)

  6. pope より:

    戦いの神マルスが火星、ジュピターが木星なのは太陽系で一番大きいからか?金星がヴィーナス、水星はマーキュリーなどなど、実は神話の登場人物は星座だけでなく結構星の名前にもなっていたりするんですよね。しっかし今回はエロ爆発でしたやん!年甲斐もなく鼻血が・・・そうかと思えば何気ない風景画の中で皮剥がされそうになってるしwwごっつあんでした!

    • ビー玉 より:

      pope兄さん、コメントありがとうです♪
      地球もガイヤ(女神)ですもんね+.d(・∀・*)♪゚+.゚
      鼻血でるほどエロかったかなぁ・・pope兄さんもまだまだお若くていらっしゃる(ΦωΦ)フフフ…
      次はもうちょっと頑張るぞ〜〜(๑•̀ㅂ•́)و✧ ←エロをですw

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