こんばんは!ナビゲーターのビー玉(@beedama_lab)です。
女性に絶大な人気を誇るアール・ヌーボー。
なぜ他の時代に比べて女性人気が高いのか?
アール・ヌーボーの女性像は “エロ”より “高貴” に感じるものが多いのはなぜ?
それは女性の気持ちに刺さるように生まれたアートだからです。
本日、そんなアール・ヌーボーの世界にナビゲートします。
よろしければ、最後までお付き合いください。
アール・ヌーボーってなに?
アール・ヌーボーはフランスでおこった美術運動の一つ。
アールは英語でアート(芸術)、ヌーボーはボジョレー・ヌーボーのヌーボーで “新しい”という意味です。
直訳すると「新しい芸術」
何が新しかったのかといえば、それまで美術の中心であった古典的なアカデミックでは工芸は美術よりも劣るいう考えだったのですが、それを否定し家具や建築、食器などの工芸、グラフィックアートなどの商業ポスターも含めた総合芸術だったとこ!
もともとイギリスでおこったアーツ・アンド・クラフト(美術工芸運動)が発端となり、ドイツ語圏でクリムトらが分離派を結成、少し遅れてフランスで発展したのがアール・ヌーボー(新芸術)です。
・曲線的、平面的な装飾性
・植物や昆虫、きのこなど自然をモチーフにしている
・鉄やガラスなどの新素材をつかう
アール・ヌーボーとアール・デコの違い
アール・ヌーボー | アール・デコ | |
時代 | 19世紀後半 | 20世紀前半 |
特徴 | 植物や昆虫など自然のもの | 幾何学的なもの |
場所 | フランス、ベルギー | ヨーロッパ、アメリカ |
イメージ | 優美 | 合理的 |
理念 | 大量生産否定 | 大量生還肯定 |
作品 |
名前は似てるけど、実は正反対と言っていい芸術運動なのです。
アール・ヌーボーは手仕事にこだわり、当時の機械では作ることが難しかった曲線にこだわり、芸術性の高いものを求めているヨーロッパのブルジョワ階級の人々の間で流行りました。
第一世界大戦が終わり、戦勝国であったアメリカに世界の中心地が移動し、合理的で大量生産に向く直線的なデザインのアール・デコが一般庶民の間でブームになったのです。
アール・ヌーボーは日本の浮世絵の影響を受けてると言われてますが、アール・デコは逆に日本に影響を与えて旧帝国ホテルの中央玄関(明治村に移転)はアール・デコの建築家フランク・ロイド・ライトの設計です。
画像出典:明治村公式HP
今日のテーマはアール・ヌーボーですよ
アール・デコの説明が長くなっちゃいましたね。
アール・ヌーボーの芸術家たち
では、優美なアール・ヌーボー築きあげた芸術家たちを雑n・・いえ簡単紹介いたしましょう(^▽^;)
エミール・ガレ
『ひとよ茸ランプ』(画像出典:サントリーミュージアム)
きのこフェチのガラス工芸家
ガラスだけでなく陶器や家具なども作っていましたが、なんといってもきのこや昆虫をモチーフにしたガラス作品が印象的!
これが暗闇に光っていたら毒茸感が半端ないですが、それほどリアルなきのこをガラスで作るってすごいことですから(; ・`д・´)
ちなみにガレは作品ひとつひとつに大きな意味を持たせていました。
ひとよ茸の “ひとよ” は一夜のこと。
傘が閉じたきのこから傘を開いた茸まで3本。
一晩だけ傘を開く茸は生と死そして輪廻。巡る命を表しています。
ルイス・カムフォート・ティファニー
『フジテーブルランプ』
ティファニーといえば、オードリー・ヘプバーンの『ティファニーで朝食を』を連想される方が多いでしょう・・・
安心してくださいそのティファニーですよ♪
有名な宝石店のティファニーを作ったのはルイスのお父さんです。
ルイスは宝飾品のデザインもしていましたが、なんといっても「ティファニーランプ」といわれるステンドグラスをあしらったランプですね。
たくさんデザインされていますが、私は「フジテーブルランプ」が好きです。繊細な光のグラデーションがとても綺麗。ガラスなのに触ったら揺れそうな布のような柔らかな質感がすごい。
モチーフは日本の「藤の花」です。
ルネ・ラリック
香水瓶(画像出典:美術手帳HP)
小さな香水瓶に取り憑かれた作家です。
元々は宝飾品の人気デザイナーだったのですが、ラリックは1905年に香水瓶のデザインを頼まれたことで、ガラス工芸にどハマり。
香水が特権階級の人だけのものでなくなり、より多くの女性客にアピールするために香水瓶にデザイン性を持たせました。
今も香水瓶に多彩な形があり、瓶のデザインが話題になったりしますが、この時代からの慣習です。
ラリックが生涯で作った香水瓶の数はなんと500種類以上!!
作ったなぁ(^▽^;)
アルフォンス・ミュシャ
『ジスモンタ』
アール・ヌーボーを確立したシンデレラボーイ
大女優だったサラ・ベルナールの公演ポスターを描いて一躍時の人なったのが画家のミュシャ。
アール・ヌーボーの代名詞とも言える画家です。
サラに依頼されて描いた『ジスモンダ』は画面全体に目が行き渡る目線誘導。頭部をアーチで囲うことでアーチがまるで光輪のように見えて人物を神々しく見せるなど、写真がすでにあった時代にイラストポスターの新たな可能性を生み出しました。
ミュシャはもともと印刷会社でカレンダーや本の挿絵を描いていました
挿絵の経験があったからこそ、人々が最も見たいという思う場面や構図を切り取ることができたんだろうなって思います。
こちらはタバコ会社のポスターです。
今まで男性のものというイメージが強かったタバコを、女性たちにも吸ってもらうためにイメージアップを狙って制作された商業ポスターです。
アール・ヌーボーはこのように女性をターゲットとした作品が多いのです。
**ミュシャの詳しい記事はこちら↓**
グスタフ・クリムト
『接吻』
黄金に輝く愛の伝道師グスタフ・クリムト
ドイツ語圏でのアール・ヌーボーは『ユーゲントシュテュール』
クリムトが活躍したオーストリアでは分離派と呼ばれます。
とろけるようなキスを交わす恋人たちを描いた『接吻』は柔らかな曲線、永遠に変わらない金色の輝き、崖の上で愛し合う刹那性が絶大な人気を誇るクリムトの代表作。
描かれた女性はクリムトが生涯愛し続けたエミーリエだと言われています。
溶け合っているようにみえる2人の男女の服装に注目すると直立する正方形と柔らかい丸いモチーフ。それぞれ男性器と女性器を暗示しています。
色っぽいですな
アントニオ・ガウディ
着工から130年たっても完成しない夢を描いた建築家
スペインでのアール・ヌーボーは『モデルイスモ』と呼ばれています。
代表的な建築家はアントニオ・ガウディ。
最も有名なサグラダ・ファミリアはゴシック建築に近い感じがするせいか、ガウディが20世紀の人なんだと知ると驚く方もいらっしゃいますが、アール・ヌーボー、意外と新し時代の人なんです(^▽^;)
完成まで200年以上はかかるだろうと言われていましたが、建築技術が進歩したおかげで、ガウディの死後100年にあたる2026年に完成するそうです。
多少工期が伸びたとしても、私が死ぬまでに間に合いそうで嬉しい(* ̄∇ ̄*)
※2022年現在、世界中で猛威をふるった新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で工期は無期限で伸びることが決定しました(ノД`)シクシク
ジャンヌ・パキャン
ジョルジュ・バルビエ『ジャンヌ・パキンのガウン』
女性の女性による女性のための洋服を作ったデザイナー
ジャンヌ・パキンは当時はとびきり珍しい女性ファッションデザイナーでした。
芸術と同じく、19世紀後半になってくると、ファッションもブルジャワ層だけの楽しみではなく、一般市民にも裾野が広がっていきます。
女性たちは皆おしゃれをし、体を締め付けるコルセットからようやく開放。
自動車や鉄道の発達により、車輪に巻き込みやすい裾の広がったドレスは姿を消します。
身軽になった女性たちは社会にでて活躍をし始めるんです。
キレイでまぁるくやわらかい・・・
ロココ宮廷文化の一時を覗いて、芸術は男性のためのものでした。それが一気に女性に向けて比重が傾いたのがアール・ヌーボー。
アール・ヌーボーとは女性たちが活躍するための助走のような時代だったのです。
アール・ヌーボーの新しさは芸術が女性に向かい合ったことも大きいのではないでしょうか。
本日は以上です。お読みいただき、ありがとうございます。
またの御来館をお待ちしておいます。
コメント
気付いてみれば、アールヌーボー大好きでした。特にここに紹介されたアーティストは全員ファンです。何でしょうね。ガラスや木材がその硬質な質感で曲線や局面を描く時、そこには空間と視界を癒すなにかが発光してきますよね(*´ー`*)
きのこフェチ♡( ˘ ³˘)♥すてきだ~
『アール・ヌーボ』って言葉は聞いたことあったけど、なるほどこういうことだったのね!
たしかに女性ウケ抜群ですね( ´∀`)bグッ!
サグラダファミリアは完成したら観に行きたいって思ってるけど、年齢的には間に合いそうだけど、海外旅行へのハードルが上がってしまったので・・・行けるかどうか不安(´;ω;`)
アール・ヌーボーと聞いてもよくわからなくってなんか新っぽいもの、という認識でしたが、
丁寧に説明してくださったおかげでちょっと理解できますた(“´∀`)bグッ!
サグラダファミリアもなんですねー、ほんとに完成するのかしら…(;´∀`)
あ、知ってる!なんか好き、という芸術家さんや芸術作品が全部アールヌーボーだった件^^;
無意識に「好き」と選んでました。
やっぱり曲線美なんですかね~。惹かれます( ´艸`)
ガラス工芸の繊細さって格別ですよね。アールヌーボー、めっちゃ勉強になりました^^
男ですが…ティファニーランプは好きなのです。(`・ω・´)シャキーン
サクラダって完成するんですね、2026年に。ソレにビックリ。楽しみですな。
はじめてガレのランプを見た時、それはちょっとデコすぎてグロいくらいの感じがした記憶があります。でもガラスでこれを表現できるのは凄いなーと思ったのでした。ティファニーのランプが好きだなー。
サグラダ・ファミリアはいつか見に行くのが夢なのです。