ハプスブルク家血の呪い!ラス・メニーナスに込められた想いとは?

バロック、ロココ

こんばんは!ビー玉です。

今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・

本館、【大人の美術館】は、素人の素人による素人のための妄想美術館です。

ゆる~い気持ちでリラックスしながらご観覧ください。「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します・・・

今日は、先週に引き続きベラスケスとハプスブルク家に焦点を当てていきたいと思います。

お時間よろしければ、最後までお付き合いください٩( ᐛ )و

 

スペイン・ハプスブルク家

ハプスブルク家は、中世ヨーロパにおいて神聖ローマ帝国とオーストリア王朝の王として、ヨーロッパで長く頂点に君臨した名門中の名門です。

もとはスイスの小さな貴族でしたが、婚姻によって領土を広げ、莫大な富と
権力を築き上げました。

そんな巨大帝国となったハプスブルク家ですが、大きくなると分裂はつきもので、のちにフェリペ2世率いるスペイン系とフェルディナンド1世率いるオーストリア系に分かれました。

本日は、スペイン・ハプスブルク家のお話です。

まずは、スペイン・ハプスブルク家の家系図をサラッとご覧ください。

スペイン・ハプスブルク家の簡易家系図

※画像をクリックしてもらうと大きくなります。

この辺りの家系図は本当にややこしくて、眺めているだけで頭が爆発しそうになるんですが、枝葉の部分を全部取り除いて単純な血筋を書くと、こんなにシンプルな感じになります。

間違ってたらすいません。ここ違うよ、という箇所があったら、教えていただけると嬉しいです。

でもまぁ・・細かいところは今日は見なくて大丈夫です!テストには出ません・・・ぼんやり眺めてもらえたら充分ですよ(*´﹀`*)

本来、家系図というのは末広がりで、木が根を張るように伸びてゆくのが
普通なんですが、スペイン・ハプスブルク家の場合は血筋を守るために血縁婚を繰り返し、根を張るどころが下に向かって狭まります。

その極端に濃い血は遺伝子を蝕み、生まれる子どもは短命で、最後のカルロス2世にいたっては、生まれながらにして数々の精神疾患に加えて身体的なハンディも数多く抱えていました。大人になってからも、一人で立つことすらままならなったほどです。もちろん生殖能力もなかったと言われています。

フアン・アレーニョ・デ・ミランダ作 「甲冑姿のカルロス2世」

先日の「プラド美術館展」にも、この彼の絵はありましたが、本当はこんな風に甲冑を着て立つことはできなかったんだろうなぁ・・・

ちなみにカルロス2世は・・

こっちのカルロスくんの弟です。王位継承順位1位だったカルロス(兄)が亡くなり、精神疾患もあって話すこともままならないカルロス2世が王位を継ぐことになってしまいます。

肖像画は最大限に美化されていると思いますが、それでもか弱さは伝わってきます。

カルロス2世が生まれた頃、すでにベラスケスは亡くなっていたんですが、ベラスケスが生きていたら、カルロス2世をどんな風に描いたのか気になるところではあります。

宮廷画家のうるさい余白 1

宮廷画家のうるさい余白 1

宮廷画家のうるさい余白 1

[著]久世番子

ベラスケスとスペイン王宮の物語

ハプスブルク家の血

そんなハプスブルク系の特徴は・・・

中世に描かれたマクシミリアン1世と、その家族・・・

絵画でも一目瞭然、突き出た下顎とワシ鼻。

うん、子どもたちは全員ハプスブルク〜٩( ᐛ )و

そして時代は進み・・・フェリペ4世

と、その息子・・

うん、しっかり血は守られていたようですね(^▽^;)

ちなみにフェリペ4世の2人目の奥さんでカルロス2世のお母さんも・・・

ディエゴ・ベラスケス作 「マリアナ・デ・アウストリア」

 

はい!ハプスブルク〜(๑•̀ㅂ•́)و✧

ハプスブルクが守りたかったのはシャクレ&シャクレーヌ(@伏兎さん)の血だったのでしょうか・・・

ちなみにこの方の名前はマリアナ・デ・アウストリアといいまして、もともとは「騎乗のカルロス(兄)」の婚約者だったんですけどね・・結婚前にカルロス(兄)が亡くなってしまったので、カルロス(兄)の父でアリアナからは叔父にあたるフェリペ2世に嫁いできたというわけ、突然父親くらいの伯父と結婚させられたら、こんな仏頂面にもなるよね(;´д`)トホホ…

決して美男美女ではない王家の肖像画を描き続ける、ベラスケス他の宮廷画家たちの苦労が伺えます。

親子ほど年の離れた若い後妻さんを貰って有頂天になるのかと思いきや、フェリペ4世は若い奥さんに気後れしていて、2人が並んだ肖像画というのは存在しません。

 

ある一枚を除いて・・・・

 

宮廷画家のうるさい余白 1

宮廷画家のうるさい余白 1

宮廷画家のうるさい余白 1

[著]久世番子

ベラスケスとスペイン王宮の物語

 

大作「ラス・メニーナス」

 

ディエゴ・ベラスケス作 「ラス・メニーナス」

ベラスケスの代表作である「ラス・メニーナス」は、16世紀初めから17世紀末まで栄華を誇ったスペイン・ハプスブルク家繁栄の歴史最後を彩った大輪の花です!!

構図の天才!ベラスケスの集大成!!

ベラスケスの想い

この絵はベラスケスの優しさで出来ている(ノД`)シクシク

一見小さなレディを主役に据えたポートレートにみえるんですけどね・・実は、違います。

この絵画の視点となるはずの画家は、なんと絵画の存在します。だとすると、誰の目線で描かれた絵か、お判りになりますでしょうか?

ヒントは、画面正面の鏡です。

これまで【大人の美術館】を読んできてくれた “あなた” には、鏡に映っているのが誰か分かりますよね?

そう、鏡に映っているのはフェリペ4世と、その妻マリアナです。

ちょっと画面が暗いですが、絵の左端で絵筆を握っているのがベラスケス本人です。

この絵は、国王夫妻の肖像画を描いている真っ只中に二人の娘であるルゲリータが遊びに来た!という一場面を切り取ったもの。

そして、この絵は国王夫妻・・・いや、フェリペ4世の目に映る風景なのです。

国王は、マルガリータ王女が5歳になった時に、「書斎に飾る家族の絵がほしい」とベラスケスに依頼します。

フェリペ4世は、二人目の妻を迎える前に長年連れ添った愛する妻と息子を相次いで亡くしています。

そんな国王にベラスケスは、幸せな家族の日常を絵に写し取り、描き上げたのです。

フェリペ4世は、この絵を見る度に、愛おしい家族と友を・・懐かしいざわめきに思いを寄せて余生を過ごしたんだろうなぁ・・

 

 

フェリペ4世からのプレゼント

「ラス・メニーナス」を描き上げて間も無く、ベラスケスは過労で亡くなるのですが、フェリペ4世は後世に残るプレゼントをベラスケスに贈ります。

分かりやすいようにライトア〜ップ♪

絵の中のベラスケスの胸に、当時最高の栄誉である「サンチアゴ騎士団」の一員であることの証(十字章)を描き入れたんです。

王が自ら描き加えたという説もありますが、私の想像するフェリペ4世はそんなに起用じゃないようなぁ・・・でもちょっと泣けちゃいますよね(ノД`)シクシク

この「ラス・メニーナス」は、主従関係を超えた二人の友情の絆でもあるのです。

※ベラスケス本人が後から描き入れたという説もありますが、ここはまぁ・・よりドラマチックに(^▽^;)ネエ・・

 

本日は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

宮廷画家のうるさい余白 1

宮廷画家のうるさい余白 1

宮廷画家のうるさい余白 1

[著]久世番子

ベラスケスとスペイン王宮の物語

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コメント

  1. […] […]

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