本日は、大阪中之島美術館で開催の『モネ連作の情景』の感想&レポートです。
『モネ 連作の情景』展は、印象派の設立メンバーだったクロード・モネの作品を「連作」という切り口で紹介する展覧会です。
モネは同じ場所やテーマを異なる時間や季節に描き、光と色の変化を描き出すことを試みました。この展覧会では、100%モネ、モネだけの作品約70点を国内外の40館から大集結。
実際に行ってみると連作でしか感じることができない貴重な絵画体験ができる絵画展でした。
こんばんは、ナビゲーターのビー玉です。
本日は、『モネ連作の情景』展のレポート以外にも格安駐車場から穴場のランチ情報まで、『モネ連作の情景』展を楽しみ尽くすための徹底ガイドです。よろしければ観覧の参考にしてもらえると嬉しいです。
『モネ 連作の情景』展の概要
【展覧会名】『モネ 連作の情景』
【会 期】2024年2月10日(土)~5月6日(月・休)
【 休 館 日】月曜日 ※ただし2/12、4/1、15、22、29、5/6は開館
【開場時間】 10時〜18時(最終入場は17:30まで)
【 会 場 】 大阪中之島美術館 5階展示室
【 住 所 】〒530-0005大阪府大阪市北区中之島4丁目3-1
【 T E L 】 06-6479-0550(代表)
東京「上野の森美術館」で46万人を動員した話題の絵画展『モネ 連作の情景』がついに大阪にやってきました。国内18館、国外33館からモネの代表作70作品が一同に集められ、その内(最大)12点が関西限定の展示となります。
『テート美術館展』の会場
『モネ 連作の情景』展の会場となったのは、2022年に設立されたばかりの大阪中之島美術館。
敷地面積約1万2871㎡、延べ面積約2万12㎡。鉄骨造、地上5階建て、高さ約36.9mの巨大な真っ黒い美術館はブラックキューブとも呼ばれ、『モネ 連作の情景』の会場となっている5Fの展示室は日本最大級の約1700㎡もの面積を誇ります。
『モネ 連作の情景』展のチケット&観覧料
一般 | 2,500円 |
高大生 | 1,500円 |
小中生 | 500円 |
※未就学児は無料。
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は当日料金半額
・オンラインチケット(チケット引換不要の電子チケット)
大阪『モネ 連作の情景』展の感想&レポート
初日に行こうと思っていたんですが、少々体調がすぐれずでやっと行けたのが初日から10日後の2月20日(火)。
人気の印象派だし、絶対に混むのはわかっていたので、ど平日の火曜日に有給を取って出かけました。天気は時々小雨という私の経験上どんなに人気展でも比較的空いているであろう条件下。
初日から10日経っているとはいえ、まだまだ始まって間もないないですし、「空いてるんじゃないかな」と淡い期待を抱きつつ朝から出かけました。
結果から言うと、完全に読み間違えました。
かつてないほどの激混み!
チケット売り場には長蛇の列。チケット売り場だけではありません。入場、音声ガイド、観覧、ミュージアムショップにいたるまで、とにかく全てに並びます。
チケットを購入するだけでも大変です。チケットは事前に買っておいたほうが絶対にいいです。
私はチケットは事前に買っていたのでチケットを購入するために並ぶことはなかったんですが、入場するにも並びます。
まずは一旦外にでて美術館西側の入り口から入場。これは初体験。
1F入場待ちの列の途中にロッカーがあります。ロッカーは上の階にはないので、不要な荷物はここに預けます。展覧会場はめちゃめちゃ混んでて暑いので、上着も預けたほうがいいですよ。
rロッカーには100円が必要です。扉の内側にコインを入れる場所があるので、初めての方は戸惑うかもしれません。100円は後で帰ってくるので取り忘れにはご注意ください。
5階まで長いエスカレーターを登っていきます。いつもだったら階が上がるにつれてワクワク楽しい気分になるんですが、今回は人が多すぎて入展前から戦意喪失気味。不安な気持ちのまま5階へ到着です。
音声ガイド
音声ガイドの受付は入場前です。もちろん並んではいましたが20人くらいかな。意外と音声ガイドを借りる人は少なかったです。5分しないくらいで受付終了。
今展の「音声ガイド」ナビゲーターは女優の芳根京子さんと声優の下野紘さん。
収録時間は約35分で20項目とサウンドトラック付き。
大好きなドビュッシー(映像 第1集:第1曲 水の反射)が入っていたのは嬉しかったです。モネが活躍した19世紀のパリの雰囲気を味わえます。
会場内はゆっくり進む状態だったので、音声ガイドをじっくり聞けましたよ。
「モネ 連作の情景」展の構成
第一章 印象派以前のモネ
第二章 印象派の画家、モネ
第三章 テーマへの集中
第四章 連作の画家、モネ
第五章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭
モネの初期〜晩年が時系列に並べられています。
出品リストは入ってすぐのエントランスにあったので、必要な方は取り忘れなきよう。
1部(四章〜五章にかけて)は写真を撮ることもできます。写真を撮りたい方はロッカーにスマホを忘れないようにご注意ください。
モネの人生についてはこちらの記事を参考にしていただけたらと思います。
第一章 印象派以前のモネ
モネら印象派の画家たちは画面の明るさにこだわり、色を濁らさないために絵の具を混ぜず、キャンパスの上に色を重ねることでさまさまな色彩を表現する技法「筆触分割(ひっしょくぶんかつ)」を確立しました。
なので、色を混ぜて作る “黒” は印象派後にほとんど使われなくなります。今回展示されている『昼食』ではマネの黒がみられる希少な作品です。
描かれているのはマネ家族。マネ自身は描かれていませんが、メイドさんたちの視線、テーブルの上の小物などを使って画面前の椅子に視線誘導がされており、マネの存在を匂わせまくってます。
この絵はサロンの展覧会へ出品しますが、落選。落選したことで、のちにモネやルノアールが中心となり「印象派」が誕生することになります。
“これが観たい”と思っていたものが日本初登場の『ルーヴル海岸』はモネには珍しく都会の風景を描いたもの。ルーヴル美術館からセーヌ川の河岸を眺めた風景で、19世紀のパリの風景を垣間見ることができる作品です。
多分ですけど、向かって左奥に描かれている橋はフランスの現存する最古の橋「ポンヌフ橋」じゃないかなと思います。
橋の上にあるアンリ4世騎馬像もちゃんと描かれてますね。19世紀にはチューブ入りの絵の具が発明されて画家たちは外に出て、 “今” ある風景を描くことに熱中します。
第二章 印象派の画家、モネ
サロンの絵画展に落選したモネはサロンとは異なる展覧会を開きました。この展覧会が「印象派」の始まりです。
展覧会は話題にはなりましたが賛否が巻き起こり絵は売れず経済に的に困窮していきます。その頃、モネを支え続けた妻のカミーユが亡くなり、家庭的にもモネの人生に暗い影をおとすことになります。そんな暗い日常を光で払拭するかのように、作品は明るく光に満ちたものになっていくんです。
モネが絵を描くために造った船です。この船に絵の具やキャンパスを持ち込み、風景がを描いていたんですね。船は揺れるし描きにくかったと思いますが、水の上から陸地を眺める視点をモネは気に入っていたようです。
そんなアトリエ船の上で描いたのかなと思う作品もありましたよ。
第三章 テーマへの集中
モネはヨーロッパ各地を周り、海岸や奇岩を描きました。同じ場所でも、季節や天気、時間によって色や光が変わることに興味を覚え、絵に描くようになってきます。
マンヌポルト(La Manneporte)とはフランス語で「大きな門」と言う意味。ドアというよりもアーチのようなエトルタの奇岩。マネのこの風景を好んで描いており、絵を描くことに集中しすぎたために波にさらわれそうになったこともあるとか!
第四章 連作の画家、モネ
モネは1883年にジヴェルニーに移り住み、積みわらの連作で有名になりました。その後、さまざまテーマで連作を描き。時間の流れを絵で表現しようと試みます。
マネの代表作の「積み藁(わら)」などもあった中、「間違い探しか?」って人混みに流されながら気になったのがこちらの2枚。
橋が主役なのかと思うと間違い探しになってしまいますが、機関車の蒸気に注目すると見えないはずの “時間” が見えてきませんか?
これは連作で見てこそ見えてくる情景です。
もっとゆっくり静かな空間で見たかったー(ノД`)シクシク
ビー玉さんが心配しないくて大丈夫です
第五章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭
モネは、ジヴェルニーの自宅に理想の「モネの庭」を作りました。自ら設計した「花の庭」と「水の庭」を題材に、色と光の変化を捉えた〈睡蓮〉シリーズを描き続けました。晩年は視力の衰えに苦しみながらも、家族の助けを借りて86歳に亡くなるまで庭の風景を描き続けました。
第五章ではモネが生涯描いた200枚以上の「睡蓮」のうち6作品が集結しております。モネの愛した「水の庭」に没入体験しちゃってください。
今回、グッズに関しては、私は見てません。すいません。
ものすごく並んでいて、完全に戦意喪失してしまいました。
図録は3,000円。特殊な加工で角度によって輝きが変わる仕様なんだとか、モネ展の会場だけでなく蔦屋書店のオンラインショップでも購入できるそうです。
体力の残っている方はミュージアムショップでモネグッズをGETしてください。
モネ展で何も買えなかったけど
帰りに100円ショップのセリアで
ミュージアムシリーズ「ビニールバッグ」を見つけてホクホクなのです🥰 pic.twitter.com/Mp2FYhSqUm
— ビー玉@真夜中の美術館 (@beedama_lab) February 20, 2024
所要時間と混雑時間
私はド平日(火曜日)の午前中に来展したんですが、めちゃめちゃ混んでました。平日だからと甘くみてました。チケットと売り場も長蛇の列だったので事前に買っておいたほうが無難です。
会場も人人人...モネの絵を最前列で見ようと思ったら最低でも3時間くらい必要なのではないかと思います。全部満遍なくみようと思ったらもっと時間がかかるかも。時間に余裕を持って来展してください。
係の方に聞いてみたところ、平日休日ともに夕方の4時過ぎだとゆっくりみられるそうです。「モネ連作の情景」展は夕方6時まで。4時に入っても2時間あるので空いていたらゆったり鑑賞できるのではないでしょうか。
大阪中之島美術館へのアクセス
【京阪】
京阪中之島線 渡辺橋駅(5番出口)より 徒歩7約分
※2番出口のほうが美術館に近いんですが長い階段をのぼらないといけないので、改札前にあるエレベーターに乗って5番出口から出るのがおすすめ
【Osaka Metro】
四つ橋線 肥後橋駅(3番出口)より 徒歩約10分
御堂筋線 淀屋橋駅(7番出口)より 徒歩約15分
【JR】
大阪環状線 福島駅/東西線 新福島駅(2番出口)より 徒歩約10分
大阪駅より 徒歩約20分
【阪神電車】
阪神福島駅より 徒歩約10分
【阪急電車】
阪急梅田駅より 徒歩約20分
【大阪シティバス】
絶対に歩きたくないという方は大阪駅からバスに乗るのがおすすめです。
JR大阪駅の御堂筋南口出口を出てすぐのバス乗り場
1番乗り場 53系統 船津橋行き
3番乗り場 75系統 なんば行き
このどちらかに乗り「田蓑橋(たのみばし)駅」で降りると美術館は目の前です。電車の駅はどれもそこそこ距離があるので、雨など足元が悪い時はバスが便利です。
穴場の駐車場情報
大阪中之島美術館の駐車料金と周辺のお得な駐車場を紹介します。車で来館する方の参考になれば嬉しいです。
大阪中之島美術館には隣接する有料の駐車場があります。ただ、料金は少々高めです。
そこで、大阪中之島美術館近くの穴場の駐車場を紹介します。
美術館から南東、土佐堀川を超えたあたりの駐車場が日祝日は格安です。ビジネス街なので日曜のほうが安いのですよ。
その中でもおすすめなのが大阪市立土佐堀地下駐車場です。地下なので屋根があり台数も210台あります。土日はいつも空いているので停めやすいですよ。
月〜土曜 当日1日最大料金1,200円(20分200円)
日・祝 当日1日最大料金700円 (20分200円)
美術館へは徒歩約7分ほどです。
中之島は美術館以外にも見どころがいっぱいあります。モネ展の観覧のついでに街並みも散策してみてはいかがでしょうか。
美術館周辺の見どころとグルメ
美術館の周辺は新しさと古さが混在する素敵スポットがたくさんあります。ぜひゆっくり散策してみてください。素敵なカフェで川を眺めならが休憩も素敵です。
穴場ランチは「カフェテリアアゴラ」
大阪大学中之島センター2階に位置するカフェテリア・アゴラは、まるで美術館のような洗練された空間が広がるカフェです。運営はリーガロイヤルホテルが担当しており、ホテルメイドのクオリティの高い料理を気軽に味わえます。
美術館の芝生広場から連絡通路で繋がっているのも便利です。
平日の昼間は近辺で働いている方や大阪大学センターで行われている講義やセミナーに来た人で賑わっているんですが、土日はお昼時でも空いていてゆったりと過ごせます。
カウンター席からソファー席まで店内は80席以上のテーブルが用意されているので、グループでも一人でも気軽に立ち寄れるカフェです。
毎月変わるシェフランチはスープ、パン、サラダが付いて1,580円
アゴラバーガーセットはポテトとコーヒーが付いて1,480円
コーヒー350円、ケーキセットは700円からとお値段はカジュアルだけど、味は高級ホテルクオリティでとても美味しいです。
「モネ 連作の情景」展が開催中は睡蓮をイメージしたホットチョコレートドリンク(500円)を飲むことができます。とても濃厚なチョコレートでミルクで濃度を調整できます。
美術館からは徒歩で約2分、すぐ隣です。
レトロな建物のカフェ「喫茶ブーチック」
大阪中之島美術館の最寄り駅である京阪「渡辺」駅に地下で直結する中之島ダイビル本館は2013年に建て替えられた近代的な高層のオフィスビルです。
だけど、低階層は1925年にネオ・ロマネスク様式で建設された旧ダイビルの面影を残していて、内装もレトロで素敵なんです。
そのダイビルの2階にカフェ「喫茶ブーチック」があります。
「喫茶ブーチック」は1972年創業の老舗喫茶店。レトロな雰囲気が漂う店内は、まるでタイムスリップしたかのような懐かしさを感じさせます。
木製のテーブルや椅子、温かみのある照明、居心地抜群で長居したくなる心地よい空間です。
じつは中之島ってパリのセーヌ河畔に似ているんですよ。
『モネ 連作の情景』展 まとめ
『モネ 連作の情景』展では、連作作品を通してモネは単なる風景描写にとどまらず、時間の流れやそれを目にする人々の情景も表現しようとしていたことが伝わってきた作品群でした。
同じ風景を見ていても、光の加減だけでなく見る人の心情でも違ったものに見えてくる時ってありますよね。モネはそんな心情の動きも描こうとしたのかな。思っている以上に実験的な絵画表現を模索していたんだなと感じました。
ただ、本当に人が多くてモネの絵を真摯に対話できなかったのは残念でした。機会があれば今度は夕方にゆっくり来展したいと思います。
モネ好き、印象派好きな方は印象派誕生150年を記念する貴重な機会なので、ぜひ来展してみてくださいね。
人酔いしちゃって早々にモネ展を後にしたんですが、少々欲求不満で同時開催の「女流画家たちの大阪」展へ行きました。匂い立つような美人画、可愛いのに毒々しさも感じで最高にゾクゾクしたので、お時間が許せばこちらも激しくおすすめです。
2024年3月9日からは「女性画家たちの大阪」にかわり、「福田平八郎」の回顧展が開催されます。
#福田平八郎 展のプレス内覧会に招待していただきました
大阪中之島美術館にて
モネ連作の情景展と同時開催です
日本画壇に一石を投じたという意味では日本の印象派と言えなくもないと思うんですよね
ポップでモダンでかわいらしい
日本画の印象が変わるかもモネ展とともにぜひ#PR pic.twitter.com/qqccdmSEDx
— ビー玉@真夜中の美術館 (@beedama_lab) March 8, 2024
日本人のノスタルジーを呼び覚まされるような展示に個人的に胸がキュッと切なくなりました!モネ展とともに鑑賞してみてはいかがでしょうか?
モネが好きな方はこちらも胸に響くのでないかと思います。
これ、何が描かれている絵か分かりますでしょうか
主役は雨です☔️
降り始めた雨が瓦(かわら)に染み込んでいく様子が描かれています
瓦屋根を見たことがない人も多いかもですが
昭和世代はほこりを含んだ雨の芳ばしい香が漂ってくるのではないでしょうか pic.twitter.com/EdI8DbNoV9
— ビー玉@真夜中の美術館 (@beedama_lab) June 13, 2023
私の大好きな「雨」は4月9日からの展示で観られずでした。また改めて観に行こうと思います(ノд-。)クスン
本日は以上です。最後までお付き合いいただきありがとうございます。
お隣の国立国際美術館で開催中の特別展「古代メキシコ」レビューはこちら
コメント
本当に凄い人でしたね!私も平日の2月14日(水)に行って来ました✨モネの連作をじっくり鑑賞したかったのですが無理でしたね。平日の空いてそうな時間帯をチェックしてリベンジしたいですね。