女流画家「ベルト・モリゾ」はなぜ、かつて愛したマネの弟と結婚したのか?

印象派

こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。

現代でこそ、ワーママとして結婚して子どもがいても外で仕事をしておられる女性も多いですが、

かつては女性が家の外を1人で歩くこともままならなかった時代がありました。

そんな時代に画家として、母として、妻として凛と背筋を伸ばして歩み続けた女性がいます!

ベルト・モリゾです。

モリゾといえばマネのモデルでしょ?もしくは愛人だと認識している方も多いと思います。

だけど自身もとても優れた画家だったんです。

本日はそんなベルト・モリゾの人生に、あなたをナビゲートします。

よろしければ、最後までお付き合いください。

画家ベルト・モリゾ

1841年、フランス中部のブルージュの高級官僚の娘として生まれました。

母はロココ時代に活躍し「ブランコ」という絵で有名なジャン・オノレ・フラゴナールの孫娘です。

画家としてのDNAを受け継ぐ家系だったんです。


ジャン・オノレ・フラゴナール作「ぶらんこ」

モリゾが11歳の時に一家はパリに移り住みます。

芸術に理解があった母のススメもあり、姉エドマとモリゾはレディの嗜みとして絵画教室に通うようになり、いつしか趣味の域を超えて絵画の世界にのめり込んでいく二人なのでした!

ただ、その頃の美術学校は女性の入学を許しておらず、二人はルーブル美術館で模写をしながら絵の勉強をしていました。

姉妹はルーブル美術館で模写をしている時に、のちに印象派を結成する仲間と出会い、絵に対しての情熱と人脈を育てていきます。

マネとの運命の出会い

モリゾ作「ノルマンディーのわらぶき屋根のコテージ」1865年

二人ともにサロンに初入選を果たし、一緒に芸術の道を歩むことを固く誓い合った、その頃に新進気鋭の画家マネと出会います。

二人で絵の道を歩んで行こうと言っていた姉エドマはマネの紹介された海軍将校と結婚して、あっけなくパリを去るんですけどねw

 

ビー玉
ビー玉

女性同士の約束ってそんなものですよねw

責めてはいけません…姉はモリゾや他の画家たちの絵を間近で見て、才能の限界を感じていたのでしょう。

1人になったモリゾは尊敬するマネに「モデルになってくれないか」と誘われます。

憧れのマネに誘われたんだから、モリゾはもちろん快諾!!

だけど、そこにはマネのすぐ近くで、技法を学びたいという打算もあったと思います。

マネ作「ベランダ」1868年

そんなモリゾの気持ちをよそに、マネはモリゾをモデルとして次々と傑作を生み出していき、

モリゾは画家でもなく、モネの弟子でもなく「マネのモデル」として有名になっていくのです。

そして既婚者であるマネの愛人だという噂も・・・

モリゾはマネの愛人だったのか?

でもまぁ、マネとモリゾの父親は同じ高級官僚であり、家族ぐるみの付き合いがありましたし、その頃の上流階級の女性は一人で外出なんてできず、マネのアトリエにもモリゾ以外に付き添い人、もちくは母親がついてきていました。

なので、秘密の関係を結ぶのはちと難しいかと・・・

ただ、まったく恋愛感情がなかったのかと問われると「あったんじゃないかなぁ・・」とは思います。

マネ作「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」1872年

なぜならマネの描くモリゾはとても魅力的だから(((uдu*)ゥンゥン

モデルと画家の擬似恋愛だったかもしれませんが、少なくともモリゾは画家に対して、このような魅惑的な表情を向けていたということです。

モリゾ V.S. ゴンザレス

ゴンザレス聞くと、いかつい男性のイメージですがモリゾとライバル関係にあったのは女性です。

マネ作「エヴァ・ゴンザレスの肖像画」1849年

エヴァ・ゴンザレスはマネ唯一の弟子で、モリゾよりも8歳も年下でした。

モリゾ作「ロリアン港」1869年

その頃のモリゾの絵は、タッチこそマネの影響を受けてはいましたが、黒にこだわったマネに比べて、モリゾの絵は白を多様する柔らかい画風だったのです。

マネにいくら注意されても、モリゾは自分の画風を変えられません。

その点、エヴァは・・・

エヴァ・ゴンザレス作「一座の子供」1870年

師匠マネの教えを忠実に再現する従順な女性でした。

描いたものもマネの影武者かのようにそっくりです。

モリゾはマネに認められた唯一の女性の弟子になりました。

そんなエヴァにモリゾは嫉妬の炎を燃やしますが、ある日マネに「エヴァを見習え」と言われて、ショックを受けた上に、マネに大幅に手直しされた絵がサロンに入選してします。

プライドを大いに傷つけられたモリゾはマネと決別し、マネが参加を反対していた第一回印象派展に出展したのです。

マネとの決別

モリゾ作「ゆりかご」1872年

モリゾは、美術界の中心だった「サロン」に反発するように結成された自由な芸術表現を掲げる印象派の創立メンバーの一人だったんです。

一緒に出展したドガやルノワールの絵は世間から酷評を浴びましたが、モリゾの「ゆりかご」だけは好評を博し、パリの画壇に名を知られるようになりました!

ちなみに当時の絵の買取価格はモリゾの作品は平均にして250フランに対して、ルノワールは100フランだったというから、人気がほどが伺えます。

モリゾが選んだ結婚相手は思い人の弟

そして、この時代の女性としては遅い33歳で結婚をします。

お相手の名はウジェーヌ・マネ。

なんと!マネの弟です∑( ̄□ ̄;)ナント!!

愛するマネへの当てつけで弟と結婚したとも言われていますが、私は違うと思います。

 

ウジェーヌはモリゾの絵を高く評価し、モリゾのマネージャーに徹して生涯支え続けました。

ウジェーヌの支えもあってか、結婚したあとからモリゾの描く絵は輝きを増します。

モリゾ作「ブージヴァルの庭のウジェーヌ・マネと娘」1881年

 

モリゾ作「庭のウジェーヌ・マネと娘」1883年

娘と夫を描いた絵です。愛情溢れるよい絵ではありませんか!!

だけど単純に愛情だけではなかったんじゃないかなぁ。

おそらくモリゾは芸術家として、何よりも「絵を描く」ことが大切だったんです。

この頃のモリゾが絵を描くために必要だったのは個性を押し付けてくる「絵の師匠」でははく、「最高の環境を与えてくれる人」だったんじゃないかなと私は思うのです。

「私は、私を心から愛し、信じてくれる誠実な男性と巡り会えました。これでようやく積極的に生きていける」

こんな手紙を姉に送っています。

モリゾが生涯の伴侶に選んだのは、男尊女卑が当たり前の世にあって、芸術家である自分を全力でサポートしてくれる男性でした。

ウジェーヌがモリゾをサポートできたのは、資産家の息子で “無職” だったってのもあると思いますけど、画家として成功していたモリゾにとっては夫が有職だろうか無職だろうと、どうでもいいことだったんでしょうw

モリゾの描く女性像

モリゾ作「ダイニングにて」1885-1886年

これは自分の使用人だった女性を描いたもの。

誇りを持って仕事をしている人の顔です。とてもかっこいい(((uдu*)ゥンゥン

上流階級の女性だったモリゾは男性が普通に立ち入ることのできた当時人気のバーやキャバレーには、簡単には入店させてもらえませんでした。

なので、身の回りの女性たちをきめ細かく観察し、女性目線で人格ある一人の人間として描くことができたんです。

モリゾ作「おとぎ話」1883年

 

モリゾ作「庭で縫い物をする女性」1881年

モリゾ作「植木に水をやる女性」1883年

モリゾの描く飾らない等身大の女性像が好きです。

今の世の中だと、印象派の誰よりもモリゾの絵に共感を覚える方も少なくないと思うんですが、どうでしょう。

モリゾの描く自画像も素敵なのですよ。

モリゾ作「自画像」1885年

絵筆も持ち、凛とした笑顔をこちらに向けている自信に満ちた自画像です。

何にも媚びない…だけど女性らしさも忘れない凛とした姿は素敵です。

私もこんな風に歳を重ねていきたいなぁ(((uдu*)ゥンゥン

 

館長
館長

ビー玉さんはもう充分歳を重ねていらっしゃいますよw

ビー玉
ビー玉

・・・・。手遅れ感w

夫ウジェーヌは死の直前まで病気を押して妻の個展の準備をしていたといいます。

そしてモリゾはインフルエンザにかかった娘の看病中にインフルエンザに感染し、54歳で死去。

娘のジェリーは16歳で孤児になってしましましたが、ドガをはじめ印象派の画家たちがジェリーが結婚するまで大切に面倒をみていたそうです。

印象派の画家たちも硬い友情で結ばれていたんですね・・

世間からバッシングを受ける印象派の画家であること、そして上流社会の女性でありながら仕事をもっていたこと・・多くの苦難があったとは思いますが、しなやかに強く人生を駆け抜けたモリゾは本当に美しい。

好きなことに邁進できた人生はおそらく幸せだったのだろうと思います。自画像には「気負い」も「盛り」もない年相応の美しさがにじみ出ています。素敵ですよね。

 

「大人の美術館」は動画でもお楽しみにいただけます

\\ ✨ 動く大人の美術館です ✨ //


 

本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。

また次の更新日にお会いいたしましょう(*ˊᵕˋ*)੭

コメント

  1. 弟さんとご結婚されてからの画がなんか、家庭の日常を描いてるせいか、その前よりも暖かい感じになってる気がしますよ(*´ω`*)

    • ビー玉 より:

      えたさん、コメントありがとうです♪
      日常がキラキラして見えますよね(((uдu*)ゥンゥン 日本ではモリゾが絵を書いてるって知らない人もいるけど、このご時世には合ってると思うんですよねぇ(((uдu*)ゥンゥン
      私もあまり知らなかったので、これからたくさん絵をみたいなと思います♪

  2. marimo より:

    人間の印象は切り口によって大きくかわりますね^^
    ビー玉さんの解釈が今の時代ではとっても受け入れやすく共感がわきますね♪
    それ以上でもそれ以下でもない、自身が与えられた職業をただただ全うしている女性がとても美しく見えました☆

    • ビー玉 より:

      marimoちゃん、コメントありがとうです♪
      marimoちゃんもモリゾに通じるかっこよさとか美しさがあります(((uдu*)ゥンゥン 私の知り合いのワーママでいつも忙しくて子どもを急かしてばかりいる人がいるんだけど、大変だと思うけど美しさは感じません。
      marimo親子は好き〜♡

  3. Nick Ollie より:

    この時代にこんなに自分の道を進める女性は珍しかったんじゃないかなー。そして絵が日常だけど、とても温かいなと思いました。

    私も手遅れ感~。いや、今からも頑張って進むのだ。

    • ビー玉 より:

      Nickちゃん、コメントありがとうです♪
      モリゾの進んだ道はこの時代は苦難の道だったと思うんですが、そう思わせないかっこよさがあります(((uдu*)ゥンゥン
      Nickちゃんはちゃんと栄養と健康を考えたご飯とか、旦那様のサポートとか、あったかいハンドメイドとか・・かっこいい( *• ̀ω•́ )b グッ
      私も頑張らねばっ(´-ω-`)

  4. ヨウコの川歩き より:

    マネが近くにいたら、影響されないわけはありませんよね。マネって見れば見るほど、あの筆の跡にやられます。
     そのマネのあのモデルのお話、面白かったです。
    最近「美の巨人たち」が面白くない。ビー玉さんの「大人の美術館」の方が面白い!( ^o^)ノ

    • ビー玉 より:

      ヨウコさん、コメントありがとうです♪
      今回触れなかったけど、モリゾのライバルだったエヴァも実はものすごくいい絵を残してるんですよぉ(((uдu*)ゥンゥン
      後世では完全にモリゾ優勢ですけどね(^▽^;)
      え〜〜〜美の巨人たちより??うわ〜〜なんたる褒め言葉(ノ∀`)タハー ヨウコさんにそんなこと言われたら一週間くらい飲まず食わずでも頑張れそうですよ(ΦωΦ)フフフ…
      ありがとうございます!!頑張ります♪

  5. (`・ω・´)シャキーン 顔がね、なんか意志が強そうな顔してますね。良き環境は…わかる気がするなぁ。

    • ビー玉 より:

      ましゅーさん、コメントありがとうです♪
      良き環境は男性のほうがわかるんじゃないかと思ってます(((uдu*)ゥンゥン
      意思の強さは顔に出ますよね!私だって(*´﹃`*)〜

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