こんばんは!ナビゲータのビー玉(@beedama_lab)です。
本日は15世紀のイタリアで開花した美術スタイル「ルネサンス」についてどこよりも分かりやすくをモットーに解説します。
美術スタイルを無理やり擬人化してみました
12〜15世紀 | ガチガチのお堅い優等生タイプのゴシック |
14〜16世紀 | 明るくエロを叫ぶオープンエロのルネサンス |
16世紀 | 私に近づくことは許さない!ドS女王様のマニエリスム |
16〜18世紀 | 過剰な愛情であなたを繋ぎ止めたいメンヘラバロック |
18世紀 | 楽しければいい♪盛り盛りギャルのロココ |
18〜19世紀 | 上下関係にやたらと厳しいモラハラ女子の新古典主義 |
19〜20世紀 | いつもで流行の最先端、意識高い系女子の印象派 |
19世紀 | いつもなにもないところを凝視している不思議女子の象徴派 |
19世紀末 | サークル内恋愛こじらせ女子のラファエロ前派 |
20世紀 | 個性的にしか生きられない!藝大系女子の20世紀芸術 |
明るくエロを叫んじゃうルネサンス。
「ルネサンス」という名前は聞いたことがあるという方がほとんどだと思いますが、ルネサンスとは中世で抑制されていた「萌え文化」が爆発した時代。
15世紀の「萌え」とはいったいどんなものだったのか?
よろしければ最後までお付き合いください。
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ルネサンスとはなに?
画像出典:日本タレント名鑑
るねっさ〜っす・・いや、ルネサンスという言葉を聞いたことはあると思いますが、美術においてルネサンスとは何なのか?
14世紀、イタリアから広まっていた美術スタイルです。
・芸術に肉体美とエロスを取り戻した
・遠近感・陰影、後世に多大なる影響
・オープンエロのイタリア、むっつりエロの北方
ルネサンスはフランス語でRenaissance
Re(再び)とNaissance(誕生)でRenaissance(再生とか復活の意味)となります。
いったい何を再生したのかといえば・・
『恥じらいのウェヌス』紀元前1世紀ごろ
古代ローマの美術です。
簡単にいうと肉体美でございます♡
ルネサンス以前の中世ではヌードなんてとんでもない!
中世ヨーロッパではキリスト教が絶対勢力で、罪を背負って楽園から追い出された人間ごときに美を求めるなんておこがましい!!!
ってことで、人間の美しさを表現するんなんてとんでもなくて、人間どころか聖母マリアやイエス・キリストですら「笑う」ことは許されず、赤ちゃんであっても威厳にみちて神々しくあらねばならなかったんです。
ウラジーミルの聖母(生神女)12世紀ごろ
威厳というよりは、怖いですけどね
突然のヌード解禁
そんな感じで絵画や彫刻は「美」を追求するものではなくキリスト教を伝えるためのツールだという時代が長く続いていました。
その流れが変わったのが・・・
黒船ではなく帆立の貝殻に乗ってやってきたこのお方!!
ボッティチェッリ『ヴィーナスの誕生』1485年
『ヴィーナスの誕生』。
実はこれ、ヴィーナスが誕生した場面ではなくて、海で生まれたヴィーナスが地上に漂着した場面なんですが、のちの世の人々が芸術に「美」を取り戻すきっかけになったこの絵に「誕生」と名付けました。
ヌードはもちろん笑顔さえも許されなかったのになぜ急に?
それは時代が進み絵の依頼主が変わったんです
ルネサンス以前に絵を依頼するのは教会でした。
なので、当時厳格だった依頼主(教会)の意向を汲んで描いていたので、芸術は厳格なものが多くなりました。
15世紀になるとイタリア北部の小国の間で和平協定(ローディの和)が結ばれて、北イタリアの情勢が安定します。
そこで頭角を表してきたのが商家であるイタリアの富豪メディチ家。
そのメディチ家が強力にバックアップしたのが『ヴィーナスの誕生』を描いたボッティチェッリです。
依頼者が教会だけでなく民間人も加わったことで、今まで描けなかった「美」を描くことができるようになります。
まぁまだ教会の力は強くて性風紀には厳しい時代だったので、人間の女性のヌードは御法度でした。
だけど、古代ギリシャの神々だったら裸でも当たり前(なぜだ?)ってことで女神に限っては女性のヌードが描けるようになったんです。
必然性を掲げて俳優さんをヌードにする映画監督と同じようなものだとご理解ください
一緒なんでしょうか?
中世 | ルネサンス | |
依頼主 | 教会 | メディチ家などの富裕層 |
ヌード | 絶対ダメとんでもない!!! | 女神だったら、まぁOK |
エロ・・いえ「美」を表現できるとなると俄然張り切るのが芸術家たちです。
遠近法が確立されて、絵に立体化と奥行きが生まれました。
当時の感覚だったら、今のVRくらいの衝撃だと思います。
まぁ・・あれですわ、裸体をより本物に近づけたいとう情熱のたまもn(自主規制)
ちがいますよっ
いえ、大きな声では言えませんが真理だと思ってます(コソッ)
そんなルネサンス期には後世に多大なる影響を与えた多くの天才たちが現れます。
イタリアルネサンスの画家たち
では、そんなルネサンス期に活躍した主なる画家を紹介します。
サンドロ・ボッティチェッリ
先ほど紹介したサンドロ・ボッティチェッリです。
芸術に「美」を取り戻した立役者。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった大金持ちのロレンツォ・デ・メディチと友人関係だったことでキリスト教絶対でヌードなんてとんでもないという時代にキリスト教とは相反する多神教のギリシャ神話の世界を描き、革命的なヴィーナスの誕生(ヌード)を世に生み出すことができました。
ジョルジョ・ヴァザーリ 『ロレンツォ・デ・メディチの肖像』
ボッティチェッリはルネサンスを代表するというよりは、ルネサンスを牽引した画家です。
人間の女性ではなく女神ならばヌードもエロもOKという風潮の礎を築き上げました。
これ以降、ヴィーナスは性愛の神にふさわしく欲望をあらわにしていきます。
ジョルジョーネ 『眠れるヴィーナス』1510年 室外、裸で横たわる女神 | → | ティツィアーノ 『ウルビーノのヴィーナス』1538年 |
室内のベットに横たわるヴィーナスとか、ほぼほぼ人間!ほぼほぼエロ(; ・`д・´)!!
そして、この流れでヴィーナスは美術界のセクシーアイドルとして長く君臨することになります。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
『モナリザ』1503ー1519年頃
遠くの風景が霞む空気遠近法、陰影だけでモノの輪郭を表現するスフマート法、人の顔が優美に見えるの3/4斜めアングルの肖像画を確立!!
生涯で完成させた作品は数点しかないのに、「偉大なる画家」と言われる由縁は名画『モナ・リザ』を描いたことにあります。
ダ・ヴィンチは美術だけじゃなく、兵器の開発や科学者としても有名だという話を聞いたことがあるかと思いますが、実は当時の技術がダ・ヴィンチにまったく追いついておらず、実際に使われた武器は1つもありません。
万能の天才だけど、実現したものはほとんどないという(^▽^;)
ミケランジェロ
『最後の審判』1536 〜1541年
ダ・ヴィンチはインテリでミケランジェロは無骨な職人気質の芸術家というイメージありますが、ミケランジェロは確かに無骨な職人気質ではありましが、本物のインテリはミケランジェロです。
貴族階級出身のエリートで高学歴。ダ・ヴィンチが話せなかったラテン語もマスターしていました。
ただ・・人嫌いな一面があり、どんな大きな仕事もほとんど1人でこなし、必ずやり遂げるストイックな性格で、気まぐれにしか仕事をしないダ・ヴィンチとは犬猿の仲でした。
ミケランジェロの絵は少々筋肉がすぎますが、圧倒的な躍動感を表現することに成功。
ラファエロ・サンティ
『大公の聖母』1505年-1506年頃
生まれ持った天性の人懐っこさから、気難しいダ・ヴィンチから3/4斜めアングルなど構図の美しさを、人嫌いのミケランジェロから躍動感を表現する肢体が捻れるような螺旋状の形態(セルペンティナータ)を学び、
そこにラファエロの特徴である優美さをプラス。
ゴシック時代にはこれでもかと主張していた聖人たちの頭にかかる光輪もよく見ないと分からないくらいに薄く描かれています。
そのことで、近寄り堅かった聖母に親やすさが生まれました。
以降、ファラエロの絵は19世紀に印象派が現れれるまでの350年に渡って西洋絵画のお手本とされ続ける完成度の高さを誇ります。
イタリアルネサンスの巨匠たちについてはこちらの記事もご参照ください
北方ルネサンスの画家たち
北方ルネサンスとは、イタリアルネサンスと同時期にネーデルランド(現代のオランダあたり)を中心に発展した美術様式です。
カトリックのお膝元のイタリアよりも教会の支配を受けておらず、聖書を主題にしながらも当時の風俗が描かれていることが多いです。
イタリア絵画は卵と顔料を混ぜたテンペラ画が中心でしたが、北方では油絵具の発達によりリアルで精密というのが最大の特徴です。
イタリアはヌードに沸き、北方では細かさに萌えました。
ヤン・ファン・エイク
『アルノルフィー夫妻の肖像』 1434年
ヤン・ファン・エイクが確率した油絵具の技法は、今まで表現できなかったような透明感のある細密描写を可能にしました。この油彩技法は現在も西洋絵画の主体となっています。
洋服の素材すらわかってしまうようなリアルな質感にも驚くんですけどね、ヤンファン・エイクの凄さは「神の手を持つ男」と称された信じられないほどの精密な表現です。
部屋の奥の鏡のご注目ください(; ・`д・´)!!
この鏡のサイズはわずか5センチ!!
そこに部屋の全貌と手前にいるであろう画家本人が描かれています。
このわずか5センチの描き込みによってこの絵の中に無限の広がりを感じることができます。
ちなみに鏡の周りに10枚のキリストの受難を描いたタイルが書き込まれていますが、これは1枚わずか5ミリです。
どれでもどんな場面が描かれているのがわかるほど!
精密画の変態画家(褒めてます)ヤン・ファン・エイク
こちらの絵画も描き込みがすごい!
部屋の外に描かれた風景に注目です。
橋の上では何やら人だかり、よく見ると対岸に火事🔥
えっと・・ここまで書き込む必要あります(^▽^;)? pic.twitter.com/4fIJvaTG8T
— ビー玉@真夜中の美術館 (@beedama_lab) June 24, 2021
精密萌えにも程がある(゚∇゚ ; )💦
だけど・・実はまだ上が(^▽^;)💦
更なる変態が・・
ピーテル・ブリューゲル
『バベルの塔』1568年
この絵の大きさは・・・・
約60×75センチ。テレビのサイズに例えると38インチぐらいだと覚えておいてください。とても小さい絵なんです。
このバベルの塔は神の怒りをかい滅ぼされる運命なんですが、ブリューゲルの描くバベルの塔は滅ぼされる前の絶賛建築中。
その建設の様子がこと細く描かれているんです!!
上から落ちてきた石灰を頭からかぶって逃げる人たちとか・・
低層階ではすでに生活を始めている人たちがいたり・・
この絵に描かれた人間を数えてた強者がいましてね、なんとその総勢は1400人なんだそうです。
一人一人はゴマ粒よりちいさいミクロサイズなのに、表情までわかるような精密さ!!
この細かさこそが北方ルネサ〜ンスっ٩(●˙▿˙●)۶
まとめ
人間の肉体美(ようするにエロ)を極めたイタリアルネサンスと
精密を極めた北方ルネサンス。
同時期に発生した美術形式でしが、ここまで違うのも面白いですね。
だけどどちらのルネサンスも人間讃歌。人間萌えです。
中世はキリスト教を広めるツールとしての絵を描きましたが、時代が進むと職業画家が生まれて美を追求していきます。画家一人一人の個性が際立ってくるのも特徴です。
「美」を描くということは画家の中にある美意識を表現するってことですからね。
それが絵の個性となって後世に引き継がれていきます。
名も無い修道士たちが神様を思って描いた絵画もいいですが、人間の美を追求する画家たちが織りなすルネサンスも面白い。
本日は以上です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
またのご来館を心よりお待ちしております。
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本日は以上です。お読みいただきありがとうございます。
しばらく美術形式について書いていく予定です。
次は劇的表現のバロック!!
またの御来店をお待ちしております。SeeYou(*ˊᵕˋ*)੭
コメント
はぁ~今回も勉強になりました
ルネサンスは知っているつもりでしたが、北方ルネサンスと並べてみたことはなかったので、新鮮でした。しかし、メディチ家よ、ありがとう(*´ω`*)やっぱり人間は解放されたがっている。誰かコロナを吹っ飛ばしてくれないかな(T_T)
北方ルネッサンスバンザーイ\(^o^)/
細かすぎるところまでこだわっちゃうって、精神的な闇を感じるけど、それとは別に米粒に絵を描けるような技術はやっぱりすごいっ◎
かっこいい( ´∀`)bグッ!
なんか…途中からWPテーマのデザインが激変してる。(;^_^A そして、世界を変えるのはエロなのだ。
結局、物事を変化させるのはエロと萌えの力なのかなーと思ったりしました。