サムソンを破滅へと導くファム・ファタール「デリラ」の魅力を名画とともに解説!

聖書(宗教画)

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こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。

本日は聖書に登場する美女の誘惑によって破滅することになったイスラエルの英雄サムソンの物語を絵画をまじえて解説します。

サムソンの物語は絵画だけでなく映画やオペラ、文学にも登場し今なお人気のテーマとして親しまれているのはなぜなのか?

よく使われる題材だから、物語を知ると新しい発見も生まれるでしょう。

そんなサムソンの活躍する聖書の世界にあなたをナビゲートします。

よろしければ最後までお付き合いください。

サムソンとデリラってなに?

サムソンとデリラとは旧約聖書の「士師記(ししき)」に登場するお話です。

士師とは英語ではJudge(ジャッジ)、裁判官のことですが物語の意図を考えると「指導者」とか「英雄」という言葉が正しいんじゃないかな?

士師記ではオテニエル、エホデ、シャルガル、デボラ、トラ、ヤイル、ギデオン、エフタ、イブザン、エロン、アブドン、サムソンとイルラエルの民を導く12人指導者が幾人か現れ、指導者が死ぬと民が堕落するということを繰り返しています。

西洋絵画ではあまり人気の題材ではないらしく、1人を除いてはほどんど絵画では描かれていません。

その唯一の例外が最後の士師であるサムソンです。

あらゆる画家たちの創作意欲を刺激したサムソンとはどんな人物だったんでしょう。

仕事はできるけど女性にはめっぽう弱い愛されキャラ

ライオンを引き裂くサムソンの噴水(ペルテゴフ/ロシア)

サムソンは聖書一の暴れん坊として登場します。

サムソンは怪力の持ち主で、ライオンを素手で引き裂きイスラエルの敵であるペリシテ人に大打撃を与えたイスラエルのイケイケの英雄ですが、ペリシテ人の放つハニートラップにことごとく引っ掛かる女性にめっぽう弱いところが愛されポイントです。

ペリシテとは現代のパレスチナの語源になった国でイスラエルの宿敵。
ちなみにサムソンの使命はイスラエルに奪われた「ガザ地区」奪還って言うんだから、旧約聖書の時代から現代まで、この戦いはいまだに続いてるんだと思うと、なんともいえない気分になります。

デリラはサムソンを捕らえるためのハニートラップを実行した美しい刺客です。

色仕掛けでサムソンの強さの秘密を探るデリラ、それを交わそうとするサムソン。

そんなドラマチックなデリラとサムソンの男女の駆け引きが後の画家たちの創作意欲に火を付けたに違いないっ

ソロモン・ジョゼフ・ソロモン作「サムソン」1887年

サムソンの強さの秘密

じつはサムソンの怪力には秘密がありました。

それは髪の毛。

髪の毛を切られると神に与えられた怪力がなくなってしまうのです。

その秘密を聞き出すだめにペリシテ人に目を付けられたのが、サムソンがお気に入りだった娼婦のデリラ。

デリラは5人のペリシテ人からそれぞれ銀貨1100枚で裏切りを持ちかけられます。

その当時の銀貨は現代の価値で換算するのは難しんですが、「西洋古代資料集」によると1アスがだいたい80円くらいだったと記載されています。

銀貨1枚で16アスの価値があったので・・・

5人 × 1100枚=5500枚

約7,040,000円(銀貨にもランクがあったのであくまでも概算です)

敵国の男客を裏切るには充分すぎる金額ではないでしょうか?


Jose Echenagusia「サムソンとデリラ」1887年

 

デリラの駆け引きとサムソンの最後

デリラはサムソンにお酒を飲ませて「あたなは強くて素敵だけど、弱みってないの?」とかなんとか言います。

館長
館長

会話は想像です。

サムソンは最初しぶりますが、「乾いてない弓弦で縛られたら流石ににげられないなぁ」とつぶやきます。

ほくそ笑むデリラ。

その日のウチにペリシテ人たちは寝てるサムソンを乾いていない弓弦で縛り上げますが、サムソンは何なく弦を引きちぎり難を逃れます。

それを見ていたデリラは

デリラ
デリラ

私を騙したの?

サムソン
サムソン

愛するデリラに弱いところは見せらないじゃないか

イチャイチャ・・・

 

デリラ
デリラ

あたなを愛してるから、あなたの弱い部分も知りたいのよ

サムソン
サムソン

デリラにだけだよ、他のだれにも言っちゃダメだよ

「さすがに一度も使ってないような強い縄で縛られたひとたまりもないなぁ」と耳元でささやくサムソン。

そして、ほくそ笑むデリラ。

以下同文

 

もちろんサムソンは縄などなかったかのようにあっけなく断ち切ります!!

ペリシテ人が現れたのは偶然だと言い張り泣き出すデリラ・・

デリラ
デリラ

私を信じてくれないなんて酷いっ!やっぱり私のことを愛していないのね

(泣)

さすがにこの状況で本当の秘密を言うやつはいないだろう?って思うのだけど。サムソンは言っちゃいます。

 

サムソン
サムソン

デリラ疑ってごめん。本当は髪の毛を切られてしまうと、力はなくなる。こんな大切な秘密を言うのは愛するデリラだけだよ。

 

イチャイチャ・・・

 

館長
館長

えっと・・サムソンさんは、少々お頭がお弱いんでしょうか?

ビー玉
ビー玉

館長、ほら強い男って好きな女に自分の弱い部分をさらけ出したいって願望あるじゃないですか?

そこをデリラは上手くついてるんですって(*´д`*)アハァ

 

 

館長
館長

そんな高度な駆け引きでもない気もしますが💦

案の定、サムソンは髪を切られて囚われてしまいます。

ちなみにハニートラップはデリラだけでなく過去にも痛いめにあっているサムソンさんであります。

ほんと懲りない男だわ(  ˙-˙  )

レンブラント「ペリシテ人に目を潰されるサムソン」1636年

囚われるときに目をくり抜かれ、拷問された哀れな姿を晒すために死刑にはならかったサムソンさん。

数年して髪がのび、神の御加護で期間限定ではありますが、怪力も戻るんです。

その怪力でもってペリシテ人の神殿の柱を砕き、多くのペリシテ人を道連れに神殿の下敷きとなりサムソンは滅びました。

おしまい!

これがサムソンのお話の簡単な概要。

オールドマスターたちのデリラ

この話しの中でどんな場面が多く描かれたと思います?

答えは、サムソンが髪を切れれる場面です。

厳密にいえば、髪を切れるシーンでのデリラです。

デリアの心情やサムソンが捕まったとのデリラの記載は聖書には全くありません。

なので画家たちは裏切り者であるデリラの心情に思いを馳せて思うままに描くことができたいんです。

では、有名な「サムソンとデリラ」の絵画を観ていきましょう♪

ルーベンスの「サムソンとデリラ」1609年

これめちゃくちゃ興味深い絵なんですよね・・・

壁にはヴィーナスとエロスの親子の像が飾ってあって彼らは性愛の神々であり親子です

そして、このデリラはまるで聖母のよう。

デリラにとって敵であるサムソンではありますが、デリラへの愛に殉じたことで、初めて本当の慈愛を受けたのかも・・・

サムソンの背中に添えられたデリラ手がなんとも抒情的。

ヴァン・ダイクの「サムソンとデリラ」

このデリラはなかなか怖い。

憎しみを露わにする兵士たちと、まるで引き裂かれる恋人の同士のように描かれたサムソンとデリラではありますが・・・

デリラが横たわるベッドの下にはサムソンの髪が落ちてます。

このデリラは自らサムソンの髪を切っているのですよ。

それなのに、この愛おしそうな悲しそうな顔!

サムソンにとて、憎しみを露わにしている兵士たちより、このデリラが理解できず恐ろしかったのではないかと思うのです。

そう思うと、このサムソンの表情に恐怖と絶望がみて取れる気がします。

本当にサムソンを滅ぼしたのはそんな「絶望」だったのかもしれませんね。

それに比べたら狂喜の表情を浮かべた

こちらのデリラはわかりやすく恐怖心は薄いかも(((uдu*)ゥンゥン

 

レンブラントの「サムソンとデリラ」

レンブラントのデリラも怖い

サムソンへの愛情は微塵も感じません。

戦利品のようにサムソンの髪を掲げるデリラはまるでミッションをやり遂げた戦士のよう。

何度も肌を重ねた男にこのような表情をむけるデリラもなかなか怖いけど、なにかサムソンに恨みがあって、やっと思いが叶ったという爽快感がみてとれる気もします。

なかなかドラマチックなデリラの表情です♪

ヘラルト・ファン・ホントホルスト「サムソンの髪を切るデリラ」1615年

ドラマチックに動きある絵が多い中。ホントホルストのサムソンとデリラは静かです。

なにも知らないで観ると、眠る恋人の髪をお守りにでもするかのようにひと房切り取る女って感じですが、このひと房は滅びのひと房。

老女は「音を立てるな」と闇に隠れているのであろう兵士に合図を送っています・・次の瞬間にこの静けさが怒号とともに切り裂かれるかと思うと緊張感が走ります。

そんな妄想をかき立てる嵐の前の静けさ的な絵画でございます(((uдu*)ゥンゥン

 

ギュスターヴ・モローの「サムソンとデリラ」

来たわぁファム・ファタール

近づくと男を破滅へを導く女神。

度重なるデリラの死への誘惑に、何回裏切られつつも自分の弱点を晒し、一見バカだと思われたサムソンが、じつは抗いつつも自ら破滅へと飛び込んだ勇者なんじゃないかって思えるじゃないの(;//́Д/̀/)’`ァ’`ァ

 

館長
館長

私にはよくわかりませんがw

破滅するとわかっていても止めることができない魅力的なファム・ファタール

それに身を委ねるのも悪くない。地獄へでもどこへでも連れていけ〜〜〜〜٩(●˙▿˙●)۶

画家たちがデリラをこぞって描きたがったのは、聖書に登場する誘惑者がそれほど魅力的だったからに違いないっ!

詳しく描かれていないからこそ、時代にあった自分なりの誘惑者を作り上げることができる。

そんなデリラに画家たちは熱狂したんでしょうね。

あなたを魅力するのはどんなデリラでしょう?

 

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本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがあとうございます。

では、また次の更新日にお会いいたしましょう(*ˊᵕˋ*)੭

来週はおやすみ予定です。すいません。

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コメント

  1. marimo より:

    私はルーベンスかヴァン・ダイクですかね~
    少なからず愛情はあったと思うんですよね。。。
    「仕方なかったのよ…」っていう声が聞こえてきそう。

    ヘラルト・ファン・ホントホルストは静かでキレイな絵だけど逆に怖くて。冷静に作業しているように見えてしまいました><

    相手を魅了したり騙すだけの器量がない身なので、ただただこういう光景は私にとって別世界、ですw

  2. Nick Ollie より:

    自分の弱みを話すと、その通りのことをされるのに、疑わなかったのかしら? それだけデリラにメロメロだったのかー。

    女は怖い。私も女だけどね。ふふふ。

  3. aiai より:

    ああ、サムソン・・・
    なんで弱み言っちゃうかなー
    これ男女逆だったら絶対言わないよね( *´艸`)(わたしだけ?w)

  4. デリラはその後、どうなるんだろうか…。( ゚д゚)ウム 怖いケド、知りたいのぅ…。

    • ビー玉 より:

      ましゅさん、コメントありがとう♪

      デリラのその後は聖書に記載されてないのよ・・完全にトンズラしたと思われます(^▽^;)

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