こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。
ミレーの描くオフィーリアはなぜ狂気を孕んだ美しさをとどめているのか、名画にまつわる裏話をまじえながら、美しき狂気の世界にナビゲートします。
よろしければ最後までお付き合いください。
狂気のオフィーリア
ジョン・エヴァレット・ミレイ作 「オフィーリア」1851年
こちらは前回、フェルメールのことを書いた時に、ブログ仲間のNickNickさんが、「ミレイのオフィーリアの狂気も好きです。」ってコメントを入れてくれて、「私も好き!」ってことで今回、取り上げる運びとなりました。
よろしければ、しばしお付き合いを♪
オフィーリアとは
オフィーリアとは、シェイクスピアの四大悲劇の一つ「ハムレット」の一場面。恋人に実父を殺さて、発狂した上に溺死してしまう無垢な乙女。
なので、この絵の中の女性は水遊びをしているわけではなく、死出へ向かっているのです。
オフィーリアの口は少し開かれ、歌を口ずさみながら水に沈もうとしています。その目はすでに、この世ではない何かを捉えているようです。
このオフィーリアの表情・・・まさに狂気!!
この絵を描いたのは、史上最年少の11歳で王立美術学校(アカデミー)に入学したという天才ミレイです。
オフィーリアを描いたのはミレイが22〜3歳ぐらいの時。
完璧な構図。緻密すぎる描写。美しさの境地 。
植物は6か月もかけて写生し、描き上げたといわれており、どんなに近くで目を凝らして見ても、筆跡ひとつ見付けられないほど病的に美しく仕上げられています。最初に見た時は「ポスター?」なんて思ったぐらい平面ツルツル(。-`ω-) ←価値ないw
ミレイはリアルさを追求するタイプの画家だったので、オフィーリアを描くにあたってモデルを起用し、ドレスを着せて、実際にバスタブに沈めた状態で写生されました。
オフィーリアのモデルは、エリザベス・シダル。通称リジー。
当時、ミレイの画家仲間の中では、絶大な人気を誇ったモデルです。
季節は真冬。バスタブの下に石油ランプを置き、お湯が冷めないように工夫されてはいたようですが、途中でランプ火は消えて、どんどん水は冷たくなっていきます。
リジーは耐え忍ぶタイプの女性だったようで、この状況下において文句ひとつ言わず、ただひたすら冷たい水に耐えていたそうです。
冷たい水の中で、みるみる生気を失っていくリジー。ミレイは消えたランプに気付かなかったと言いますが、本当かな?と私は疑っています。
生気を失っていくリジーに魅入られてしまったのか、ミレイの情熱にリジーが引き込まれてしまったのかはわかりませんが、そこにはただならぬ感情があったように思えてなりません。
そんな狂気を伴った色気を「オフィーリア」には感じます。
まぁ、このことが原因でリジーは浴槽で昏倒し、肺炎寸前で病院に担ぎ込まれちゃったので、シャレになんないんですけどね(;´∀`)
後々、リジーの父親から慰謝料を請求されますが、ミレイさんったら値切った末に示談に持ち込みました。現実は全然ロマンチックじゃないww
死への恍惚
余談ではありますが・・
ひたすら冷たい水に耐え続けた従順すぎる性格。この性格が仇となり、リジーは悲劇的な死を迎えてしまうんです。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ作『ベアタ・ベアトリクス』1863年
この崇高な表情を浮かべた女性は、先ほどのオフィーリアのモデルと同じリジー。
製作者はミレイの画家仲間であり、リジーの夫であるロセッティ。
この「ベアタ・ベアトリクス」は、リジーが亡くなったことを悼んで描かれたものですが、亡くなり方がなかなか悲劇的。
他の女性との噂が絶えないロセッティとの7年にも及ぶ婚約期間を耐え抜き、すでに精神を病んだ状態で結婚を果たすも、子どもを死産・・・
いつしかアルコールと薬物(アヘン)に溺れ、自殺のようなカタチでリジーは亡くなります。
死の使者である赤い鳩がベアトリーチェ(画中ヒロイン)の手に落とそうとしているのは、ケシの花。つまり、アヘンの原料です。
まるで、死への誘惑を恍惚とした表情で受け入れているように見えて切ない。
どこか死を受け入れているような、オフィーリアに通じるものを感じます。
リジーの夫であるロセッティは、本当に女性の敵とも言える嫌な奴だし、ロセッティを中心とした画家仲間は皆兄弟(意味は自分で考えよう)状態で、ドロドロしていて興味深いんですが・・
▼▼ドロドロ愛憎劇についてはこちら▼▼
本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コメント
わー。オフィーリアだ。そして紹介してもらってありがとー♪ とても嬉しいです!
私ね、このミレイの絵、どこでか忘れたけど、本物観賞しました。ほんとに美しい人でした。死に向かいつつあるあの透き通る肌が怖いほど綺麗なんですよね、、、そして歌を口ずさんでいる半開きの口、、、そこに狂気を感じる。
実は英文科だったので、ハムレットは何度もお芝居でみたり、本で読んだりもしました。それも重なってくる。
けど、モデルをしたリジーがロセッティの奥さんだったとは知らなかったなあ。
ビー玉ちゃんのブログからはほんといろいろ教わってます。ありがと♪
Nickちゃん、おはようです。
コメントいただき、ありがとうございます♪
実は、私はハムレットを一度だけ本で読んだだけで、内容も殆ど忘れてるしww
なんどもお芝居をみたってすごいね?Σ(・ω・ノ)ノ!カッコイイ!!
そうそう半開きの口もしかり、表情がね!!ただならぬ狂気を感じるよね(゚д゚)(。_。)ウン 作品自体は意外なほど明るい光に包まれてるんだけど、死の存在感はしっかりあるというか・・
こちらこそ、よいお題を頂いて感謝です(^^)ありがとう??!!
こんにちは
この絵は初めて観ましたが…写真のようで驚きましたΣ(・□・;)
こういう時代の芸術家たちの奥さんって…どういう生活をしているのかな
(芸術家は変わった方が多いので苦労しそうという…)と思っていたので
今回、その断片が垣間見られて…何というかやっぱり…と思ったりかわいそうに思ったり。それでも一緒にいたいと思わせる魅力があるんでしょうけども…と
ちょっと複雑な気分です(*´艸`*)
勉強になりました?!
それにしても、ビー玉さんもニックさんもさすがですねぇ。
はのんさん、おはようございます。
コメントいただき、ありがとうございます。返事がおそくなってしまってすいません。
奥さんは苦労したでしょうね( ̄▽ ̄;)実はそういう話大好きなんです。そのうち、「画家の愛した女性」的な本の紹介もさせてもらおうかなぁって思ってます。
才能に惚れる女性はけっこう多いですからねぇ。
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