こんばんは、大人の美術館ナビゲーターのビー玉です。
本日は出張美術館。
大阪国立国際美術館 「ピカソとその時代」展のレポートです。
ベルリン国立ベルクグリューン美術館から、20世紀を代表するピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティを中心とした作品が97点来日。そのうち76点はなんと日本初公開です。
しかもそのほとんどが写真OK!
そんなピカソ展レポート以外にも格安チケットの入手方法や周辺の格安駐車場まで、「ピカソとその時代」展を楽しみ尽くすための徹底ガイドです。
よろしければ最後までお付き合いください。
『ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』概要
開催期間 国立国際美術館(大阪)2023年2月4日〜5月21日
世界的美術商であったハインツ・ベルクグリューンの個人コレクションを基軸に設立されたベルリン国立ベルクグリューン美術館。
ベルクグリューン美術館の改修が行われるタイミングで美術館の至宝中の至宝ピカソなど20世紀を牽引した名だたる絵画たちの貸し出しが叶いました。ベルリンから東京を経てやっと待ちに待った大阪展。
ベルクグリューン美術館開館以来、主要作品がまとめて国外に貸し出されるのは今回が初めてです。今後はもうないかもしれません。この機会に目に焼き付けましょう。
目に焼き付ける自信のない人も大丈夫です。なんと今回展覧作品のほとんどは写真撮影可です。
開催場所
展覧会場となるのは、大阪が誇る「国立国際美術館」
お隣に中之島美術館ができて少々影が薄くはなってますが、世界でも珍しい地下型美術館です。
外観は竹をイメージした近未来ぽいデザイン、地下の展示室の天井の高さは4.6m。吹き抜け部分を設けており最大9mの高さの展示も可能なんだとか。
中之島美術館ができるまでは大阪最大の美術館としてバカでかい作品はみんなここにくるか、関西を素通りしてました(地味に多いのよ素通り)。
美術館本体は地下にあり、エントランスからエレベーターで地下への降りていく構造です。
地下なので本当に静かななのが特徴の美術館なのです。
開館時間・定休日
開館時間 10:00~17:00 ※金・土は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(2023年5月1日は開館)
観覧料
観覧料 | 団体 | 当日 |
---|---|---|
一般 | 1,900円 | 2,100円 |
大学生 | 1,100円 | 1,300円 |
高校生 | 700円 | 900円 |
中学生以下 | 無料 |
【主なチケット販売所】
国立国際美術館(窓口)
セブンチケット セブンコード:097-746
ローソンチケット Lコード:52668
取り扱い:ローソン、ミニストップ店内「Loppi」
イープラス
取り扱い:ファミリーマート店内「Famiポート」
CNプレイガイド
取り扱い:ファミリーマート店内「Famiポート」
音声ガイド
\音声ガイド、好評です!/
2/12OAの「日曜日の初耳学」でも紹介された、長谷川博己さんによる音声ガイド。
長谷川さんの落ち着いた声を聴きながら、作品鑑賞はいかがですか?
番組を見逃した方は、配信もぜひ併せてお楽しみください♪https://t.co/4ZPlMwAY6Y pic.twitter.com/ZF7UsCGUwK— ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 (@picasso_berg) February 14, 2023
ナレーション 長谷川博己(俳優)さん
収録時間35分、21箇所
価格 600円
収録音楽
・プーランク シンフォニエッタFP141:第3楽章
・ラヴェル 序奏とアレグロ
・リカルド・ヴェニェス 4つのオマージュ:第1番ヴェルレーヌよりひそやかに
・J.S.バッハ 前奏曲、フーガとアレグロ変ホ長調BWV998:フーガ
・武満徹 全ては薄明かりのなかで
・レスピーギ 組曲「鳥」:鳩
初心者さんには難解な20世紀美術、私も苦手分野だったので解説があったほうがわかりやすくて理解が深まりました。長谷川さんの声も優しくてよかった♪
所要時間と混み具合
私が来展したのは祝日の15時くらい。
本当は平日に行きたかったんですが、リアル仕事が繁忙期のため休めず祝日になってしまいました。
だけど “20世紀美術”だし、フェルメールでも印象派じゃないし、それほど混まないだろうって淡い期待を抱いていたんですが、甘かったです。
ほとんど作品を写真撮影できるってことで、どの作品も人だかりができていて順番に並ばないと最前列では見れない感じ。
休日の所要時間はガッツリ2時間はみておいたほうがいいですよ。
Google検索の混雑時間をみると、休日の一番混んでる時間にぶち当たってしまったようです。
休日だったら朝一番が空いてそう。
『ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』 感想&レポート
午前中に梅田で用事を済ませて、その足で中之島美術館へ
ひたすら歩いて暑かったので上着はロッカーに預けます。
ロッカーは地下1階のインフォメーションの横、ロッカー室だけでなく、ロッカー室の外にもたくさんあります。施錠するのに100円玉が必要ですが、後で帰ってくるのでとり忘れないようご注意を。
上着がなくても展覧会場は熱いくらいでした。
今回は事前に電子チケットを買っていたので、チケット売り場の列に並ぶことなくスムーズに会場に入れました。エスカレーターで地下3階まで降りて行きます。
電子チケットだと手元に半券が残らないのが寂しいのですが、ここ国立国際美術館ではいつも半券をもらえるのでありがたい。
「ピカソとその時代」展は序章を加えて7つの章で構成されていました。20世紀美術の流れがピカソを通してわかる感じです。
序 ベルクグリューンと芸 術家たち
Ⅰ. セザンヌ― 近代芸術家たちの師
Ⅱ. ピカソとブラック― 新しい造形言語の創造
Ⅲ. 両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊
Ⅳ. 両大戦間のピカソ― 女性のイメージ
Ⅴ. クレーの宇宙
Ⅵ. マティス―安息と活力
ピカソの人生について知りたい人はこちらの記事をご参照ください▼
名画『ゲルニカ」はいかにして描かれたのか?絵画界のゲス野郎ピカソが愛した女神(ミューズ)たち
20世紀美術をサラッと予習した方はこちらの記事がおすすめ▼
分からないけど面白い。10分でわかった気になれる20世紀芸術
では、今展で私が印象に残ったものをいくつか紹介します。
ピカソに影響を与えたポール・セザンヌ
セザンヌ『セザンヌ夫人の肖像』1885-86年
世界でも有数のピカソコレクションを築いたハインツ・ベルクグリューンは、コレクションをより研ぎ澄ませるために、すでに持っていた美術品をたくさん売りに出したそうです。
その時、残されたのが19世紀に活躍したセザンヌの絵。
セザンヌはいかに本物に近づけるかを追い求めた長い西洋美術の歴史に一石を投じたひとりです。
セザンヌのまったく新しい美術表現はピカソに多大なる影響を与えました。天才画家ピカソのルーツとして第1章を彩っておりました。
セザンヌ『庭師ヴァリエの肖像』1906年
ヴァリエは変わり者で孤独だったセザンヌの世話をしていた老庭師を描いた作品。セザンヌの絵では珍しくモデルに愛情とリスペクトが感じられて印象深かったです。
ピカソの画風遍歴
ピカソ『ジャウメ・サバルテスの肖像』1904年
友人の死をきっかけにピカソの絵を悲壮感で染めた「青の時代」末期の作品。モデルはのちにピカソの秘書となって苦楽を共にした友人です。
表情も暖かく、唇にも血色が伺え悲壮感は感じられません。
ピカソ『座るアルルカン』1905年
恋多き画家ピカソの最初の恋人と言われるフェルナンド・オリヴィエ、彼女の愛情をうけてピカソの絵は青からバラ色に染まっていきます。
この時代は「サーカスの時代」とも呼ばれサーカスで活躍する道化師たちをたくさん描きました。
旅をしながら生活する道化師に常に変化を求めていたピカソ自身を投影していたのかもしれません。
ピカソ『アプサントのグラス』1914年
ピカソの造形物。
アプサントとはアルコール度数26度、悪魔の酒の異名を持つフランス生まれのお酒です。
当時フランスでインスピレーションの源としてピカソたち芸術家たちに愛飲されましたが、主成分が幻覚作用のあるニガヨモギであることから現在では製造を禁止されています。
どことなく禍々しい感じがしますよね。酔っ払ったらグラスがこんな風に見えてたんでしょうか。
ピカソ『緑のマニキュアをつけたドラ・マール』1936年
モデルはドラ・マール。この絵は『ピカソとその時代』展のポスターやフライヤーにも使われたりしてますね。私も大好きな1枚
ピカソの代表作『泣く女』のモデルを務めたのがピカソの愛人だったドラ・マール。
ドラ・マールは気分によってマニキュアの色を変えることで有名だったそうです。
緑のマニキュアをつけた指が意思の強そうな大きな瞳を強調するように添えられています。
緑って現代では優しいイメージもありますが、かつて毒のある色として有名だった緑。エキセントリックでドラマチックなドラ・マールを象徴しているようです。
クレーの宇宙
パウル・クレー『夢の都市』1921年
深緑に染められた1室まるまるパウル・クレーの絵が飾られてました。その数30点!
これだけ数多くのパウル・クレーをまとめて見たのは私は初めてです。
ピカソよりもインパクトあったかもw
その中でももっともインパクトを感じたのは『夢の都市』
音楽家だったパウルクレーは絵にも音楽的要素を感じることができます。
この絵は同じフレーズが次々と追尾する反復するフーガを模したもの。
絵の前に立つとズームアップとズームアウトを繰り返しているように見えて不思議な動きをする絵画でした。
クレーの絵がこれだけ揃うとまるでオーケストラのように個性的な多重構造の、でも不思議と統一感のある音楽を感じます。
ぜひ実際に行って体験してみてほしいです。
個人的なメインイベント!マティス
アンリ・マティス『雑誌ヴェルヴ 第 4巻13号の表紙図案』1943 年
色彩の魔術師と呼ばれたアンリ・マティス。
それまでの見たままの色を描くという常識の垣根を少し低くしたのがゴッホやゴーガンなどのポスト印象派。
垣根の形を大きく変えたのがセザンヌやピカソ。
そして、その垣根を完全に取り払い自由になったのがアンリ・マティスです。
現実を描く手段だった色彩が、感情を揺さぶる表現の手段として用いられるようになりました。
マティスにとって色彩は引き立て役ではなく主役なのです。ものの形はもはや重要ではなくなりました。
マティスは極限までものの形をシンプル化して、色が主役ゆえ色に影を落とすことはせずにパワーある画風を確立しました。
難しいことは置いといて、マティスの絵には単純に元気を貰えます。
「自由に生きて良いんだ」という開放感を感じます。
晩年に体を壊してからも、絵よりも体力を使わない切り紙を使ってたくさんの作品を残しました。
今展では15点ものパワーあふれる作品が来日してます。お疲れ気味の方はぜひ元気をチャージして行ってください♪
『ピカソとその時代』展 まとめ
ピカソ『本を読む女』1953年
ピカソって何故かわかんないんですが、「本を読む女」シリーズができてしまうくらい何枚も描いてるんですよ。それもモデルはいろいろ。
多分だけど、こんな風に自分以外の何かに夢中になってる女を振り向かせるのが好きだったのかなって下世話な私は想像しちゃうんですけどね(ΦωΦ)フフフ…
こんな静かな絵に邪な想像をするのは自分だけじゃないっかって後ろめたい気分になったところで最終章フィニッシュです。
今回の『ピカソとその時代』展は20世紀の美術館の歴史を変えた芸術家たちの熱量を感じるよい展覧会でありました。
一部の作品以外は写真OK。
賛否あるとは思いますが、絵だけでなく額縁も記録に残せるというのは個人的には嬉しいことだなと思ってます。ルールを守って鑑賞者の邪魔にならないように楽しみましょう♪
【国立国際美術館へのアクセス】
地理的に少々不便な国際国立美術館。公共機関を使ってのアクセス方法を紹介します。
電車
【京阪】
京阪中之島線 渡辺橋駅(5番出口)より 徒歩7約分
※2番出口のほうが美術館に近いんですが長い階段をのぼらないといけないので、改札前にあるエレベーターにのり5番出口から出るのがおすすめ
のちほど道順を写真付きで紹介します
【Osaka Metro】
四つ橋線 肥後橋駅(3番出口)より 徒歩約10分
御堂筋線 淀屋橋駅(7番出口)より 徒歩約15分
【JR】
大阪環状線 福島駅/東西線 新福島駅(2番出口)より 徒歩約10分
大阪駅より 徒歩約20分
【阪神】
阪神福島駅より 徒歩約10分
【阪急】
阪急梅田駅より 徒歩約20分
バス
【大阪駅からバス】
JR大阪駅前より53号・75号系統で「田蓑橋」下車、徒歩約3分
時間によりますが、美術館開館時だと約20分ごとに運行。運賃210円
●大阪駅バス乗り場
●淀屋橋からバス
平日なら中之島ループバス「ふらら」が便利です。
淀屋橋駅(4番出口からすぐ)より「市立科学館・国立国際美術館前」下車すぐ
30分ごとに運行していますが、平日のみです。 運賃210円
ふらら「淀屋橋」バス乗り場
十数人乗りの小さくて可愛いバスです。
【画像あり】京阪中之島線 渡辺橋駅から美術館へのルート
京阪中之島線「渡辺駅」から美術館の道順を画像を交えて案内します。
最寄駅は京阪中之島線 渡辺橋駅(2番出口)と書いてあることが多いすが、この2番出口って
たしかに美術館には近いんですが、長い階段をのぼらないといけないので、
改札前にあるエレベーターにのり、5番出口から地上に出るのがおすすめ
エレベーターで最上階の5番出口へ登ります。
遊歩道を西へ進むと国立国際美術館とその隣の中之島美術館が見えてきます。
陸橋を使うと信号なしで美術館まで行けます。
緑いっぱいなので歩いていて気持ちいいですよ。
ピカソとその時代展をお得に観覧するためのチケット購入方法
前売り券を買い逃した方はチケットショップで購入すると前売り料金でチケットが購入できます。
私が確認した限り、現在の相場は前売り券と同じ1,900円。展覧会の最終日が近づくと格安でGETできるかもしれません。金額は日によって変動します。
【美術館に近いチケットショップ】
第2、第3ビルにチケットショップが多数あります。私が行った時はほぼ一律料金でしたが、展覧会の後半になっていくると前売り券よりも安く買えることも多々。
梅田から歩いて美術館へ行く方はぜひチェックしてみてください。
周囲の格安駐車場情報
国立国際美術館には駐車場はありません。
隣接する駐車場はありますが、1時間1,000円と少々高め。
お金よりも時間だという方はこちらが徒歩1分くらいで近いです。いつも空いていて停めやすいですよ。
もうちょっと安い駐車場がいいなって方はちょっとだけ足を伸ばして土佐堀駅付近まで行くと、土日なら1時間200円くらいが相場になります。
タイムズ大阪市立土佐堀地下駐車場は210台のキャパシティーあって停めやすく、美術館へも徒歩7分。最大料金も設定されているので国立国際美術館に来たついでに隣の中之島美術館、中之島を散策するなど1日楽しめます。
【タイムズ大阪市立土佐堀地下駐車場】
大阪府大阪市西区土佐堀1
美術館まで徒歩7分
月〜土 | 日・祝 | |
最大料金 | 当日1日最大料金1200円 | 当日1日最大料金700円 |
時間料金 | 7:00-18:00 20分 200円 18:00-07:00 60分 100円 | 7:00-18:00 20分 200円 18:00-07:00 60分 100円 |
美術館周辺の見どころ
堂島川
日本銀行大阪支店 旧館
大阪府立図書館
大阪市中央公会堂
こども本の森 中之島
美術館の周辺は新しさと古さが混在する素敵スポットがたくさんあります。ぜひゆっくり散策してみてください。素敵なカフェで川を眺めならが休憩も素敵です。
本日は以上です。お読みいただきありがとうございます。
素敵な1日の参考になれば嬉しいです。
コメント
いつも楽しく読ませていただいています。
ピカソはノーマークだったため関東在住にもかかわらず国立西洋美術館の展覧会には足を運ばなかったのですが、こちらのブログで大好物のパウルクレーが30点も展示されていることを知り愕然としました。しかも見たことのない作品がザクザク。
これは行くしかない!ということで、来月の大阪行きが決定しました。
土地勘がないので淀屋橋からのバスの情報など、大変助かります。
ビー玉さんに大感謝です。
つさん、コメントありがとうございます。
関東から大阪まで来ていただけて、参考にしてもらえるとか、そんな嬉しいことはございません。こちらこそ大感謝です。
行きました!東京で。
充実しな内容でしたし、新鮮でしたね。新しいピカソに出逢えた(*´ー`*)
ヨウコさん、コメントありがとうございます。
ピカソ展よかったですよね。現代美術は少々苦手ではありますが、そんな私でも楽しめました♪
写真OKのものが多いって嬉しいですねー。昔は写真はダメだったけど、最近はOKのとこが増えてきてる気がします。
ピカソもいいけど、クレーが結構好きなので、気になる。
Nickちゃん、コメントありがとう♪
わたしもピカソよりもクレーがすき(*´罒`*)ニヒヒ
柔らかな感じがしますよねー