こんばんは!ビー玉です。
今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・
当館【大人の美術館】は、web上の仮想美術館です。
「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します。
「触れると火傷」するという危険な人をさす言葉ありますが、火傷よりも恐ろしい!近づくと破滅するだけど近づかずにはいられない、そんな危険で魅力的なファム・ファタールの世界へあなたをナビゲートします。
お時間よろしければ、最後までお付き合いくださいm(_ _)m
ファム・ファタール
あなたは「ファム・ファタール」という言葉を聞いたことがありますか?フランス語でFemme Fatale、「運命の女」という意味だそうです。
今、ちょっとトキメいちゃった男性諸君!!
危険ですので、黄色い線の内側まで下がりくださ?いp(*≧ω≦)/
運命の女といっても、ひと目合ったその時にぃ・・とか、なぜか小指に赤い糸が巻き付いていたぁ・・などというフワフワした幸福感とは程遠い存在です。
ファム・ファタールは、近付いた男性をもれなく破滅させます(llФwФ`)ガクガクブルブル
日本語でいうところの「魔性の女」に近いかな??
歴史上、ファム・ファタールと呼ばれた女性の中には、ローマの皇帝を暗殺に導いた「クレオパトラ」、愛する男性の首を欲した「サロメ」、悪女の代名詞として名高い中国の「妲己」などなど・・・錚々たる顔ぶれ
そして・・もう一人
グスタフ・クリムト『ユディトI』1901年
旧約聖書に登場する祖国を救った猛女「ユディト」
※ユーディトとかユーディットともいいますが、ここではユディトで統一します
ちょっとセクシーすぎますが、比較的に紹介しやすいクリムトのユディト(*ノД`*)タハッ
・・・というのも、画面右下、彼女が手に抱えてるものが何かわかりますか?
観覧注意です。
猟奇事件ですよ!!
カラヴァッジョ『ホロフェルネスの首を斬るユディト』1598-1599年
正解は・・斬り落とした生首!!
ユディトは祖国の危機に色仕掛けで敵将ホロフェルネスの油断を誘い、その首を切り落として祖国の窮地を救った、という旧約聖書随一の勇敢な女性と言われている人物です。
上の絵画では、こんな清楚な女性が身体を張って祖国を救うとは・・・なんと健気な( ;∀;) といった印象でしょうか?
穏やかに(?)毒殺でもいいやん? なんて思うんですが、首斬りです!斬首です・・・斬首は完全に相手の息の根を止める(破滅させる)という印象で、ファム・ファタールの象徴みたいに言われているんですよね(^▽^;)
首を斬り落としてこそファム・ファタール!!
この題材は画家にとって創作意欲を刺激するらしくて、上にあげた以外にも、クラーナハ、ミケランジェロ、ボッティチェッリ、ジョルジョーネなど、錚々たるオールドマスター達が描きまくってます!!
一番リアルで賞
アルテミジア・ロミ・ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』1620年
もう妖艶さが鳴りを潜めまくってますけど、この上ない本気を感じますよね((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
作者のジェンティレスキ氏は女性画家でして、過去の経験から男性嫌いで有名でした。
男性への怒りが滲み出ちゃってますね・・・
そして・・・・私がもっとも好きなユディトは?
摂氏マイナス40度の瞳
アレッサンドロ・アローリ作『ホロフェルネスの首を斬るユディト』1599年
この絵は本当に大好きで・・
何が好きって、ユディトの顔が超好みなのと、この美しく冷やかな表情!!
実物を見たことがあるんですが、正面から観るよりも、ちょっと下から見上げると・・・それはもう冷ややかで、温度でいうと零下40℃ぐらいかな・・寒さも相まって震えますw
なんでも、アローリを手ひどくフッた女性がモデルなんだそうで(高級娼婦とも言われてる)、きっと画家本人がこんな冷やかな顔でフラられたんだろうな・・・ってと思うと泣けますな(´;ω;`)
ちなみに斬首されたホロフェルネス(首)のモデルは、画家本人だそうです。
実は同じ構図で、ほぼ同じ絵が3枚も描かれていたりします。アローリさん、その執念がちょっと怖いです( ノД`)シクシク…
しかし、自分をフったモデルをここまで綺麗に描くってことは、アローリさん・・こんな顔で見下されるのもお嫌いではなかったのではないかと邪推しちゃいますが・・・たぶん間違ってないと思う(((uдu*)ゥンゥン
いろいろなユディトを紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?これらは全て同じ旧約聖書の同じ話を題材にしているんですが、作者によって随分とイメージが違って見えますよね。
なんの先入観も持たずに観ると、ただの惨殺場面で、面白いと思う人は少数だと思いますが、祖国を救う背景とは別に、画家の理想像を描いたファム・ファタールだと思って観ると、惨殺絵画がすこし色っぽく見えてはきませんか?
危険だと承知していながら、「近付かずにはいられない」・・・そんな、魅惑的な女性。あなたはファム・ファタールに近付く勇気がありますか?
本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
宗教画を読むために、持っていると嬉しい書籍紹介
鑑賞者のための キリスト教美術事典
何かおすすめの書籍はある?と聞かれたら、必ず紹介する1冊です。
宗教画を読むためにあると便利は一冊です。
表紙だけみると、お堅めの本に見えますが・・・・
イラスト満載。オールカラーでイラスト満載でわかりやすいっっ!!
絵のタイトルや説明書きで、わからない単語が出てきた時に、辞書のように “あいうえお” 順に単語から検索できるようになっています。たくさんいる聖人の特徴やアトリビュートも網羅されていて、絵画を読む上で、とても実用的に使える事典です。
聖書に書かれた専門用語を覚えるのが苦手な人
カタカナ名がとにかく苦手という人
これから絵画を勉強したいという人はとりあえず1冊買って損はなしです♪
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