こんばんは!ビー玉です。
今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・
本館、【大人の美術館】は、素人の素人による素人のための妄想美術館です。いわゆる “常識” とされている見解と違う箇所もあるかとは思いますが、ゆる~い気持ちでリラックスしながらご観覧ください。「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します・・・
本日は、二次元に恋して(厳密にいえば立体だから三次元だけど・・)、その恋を実らせちゃった男の話・・・
ピグマリオン
この絵を観て、どんな場面を想像しますでしょうか?
まぁ、裸の女性に求愛?ですよねw・・・まぁ、突っ込みどころは多々ありますが、西洋では男性が肩肘をついて女性の手をとれば、それは求愛です。だけど、状況はちょっと特殊です(;'∀')
この絵の作者は、エドワード・バーン=ジョーンズ。タイトルは、「ピグマリオンと彫像」・・・ん?彫像?
男?女?どっちがピグマリオンでどっちが彫像?って感じですが・・・彫像なのは女性です。
絵とはいえ、彫像には見えませんよね・・では、そのタイトルの秘密を読み解いていきましょう♪
二次元に恋して・・・
アイドル(偶像)や二次元の異性に恋する・・・彼女(彼)らは自分の理想であり、けっして裏切ることのない永遠の恋人・・・
それは現代に限ったことではなく、神話の世界からず~~っと語られてきたことです。
触れられないハズの二次元の女性に恋をして、見事にその恋心を成就した人物がいます。
ギリシャ神話の時代・・キプロスの王ピグマリオンです。
ピグマリオンは現実の女性に強い不信感を抱いており(お金や地位目当てで近寄ってくる女性が多かったのかな?)、現実の女性を愛することができないでいました。
そんな彼は、けっして自分の期待を裏切ることのない理想の女性を象牙で彫りあげます・・・が、こともあろうにその彫像にガラテアという名前を付けて恋をしてしまうんです!!
まぁ、彫像なので厳密にいえば3次元なのだけど・・・
ガラテアに洋服を作ってあげたり、宝飾品をプレゼントしたり、さすったり、触ったり・・・それはもう甲斐甲斐しく尽くします。
挙句の果てにはベットに横たえ添い寝をしたり変態行為・・・・でも、ガラテアの肌は冷たいままで、なんの反応もない( ノД`)シクシク… 当たり前だけどww
おっとぉ・・・怪しげな絵がww (これは13世紀フランスで発行された、「薔薇物語」という写本の中のピグマリオンの一場面。作者は不明です。)
思い余ったピグマリオンは、女神ヴィーナス(アフロディーテ)の祭壇に、「ガラテアに似た娘をつかわしてください」と懇願し続けました(さすがに彫像を人間に変えろとは言えなかった模様w)。
そんなピグマリオンを哀れに思ったのか、ヴィーナスは願いを聞き入れて、ガラテアを人間の女性へと変容させたのです!!
まさに人間ガラテアの誕生シーンを描いたのが冒頭のエドワード・バーン=ジョーンズの絵です。
その後、二人はめでたく結ばれて、子どもにも恵まれるんですよ!!
これぞまさしく「虚仮(こけ)の一念岩をも通す」です(⦿_⦿)!!
このことわざのコケって、苔じゃないんですよwww
「愚かだと思えることも、一途に取り組めば成就する」という意味です(๑•̀.•́ฅ✧
そんな一念を突き通した男、ピグマリオンの物語を最もセクシーに描いたのは・・・
ピグマリオンとガラテア
ジャン=レオン・ジェローム作 『ピグマリオンとガラテア』
アカデミズム絵画の巨匠「ジェローム」ですね(・∀・)ウン!!
恋焦がれた女性に息吹が吹き込まれ、しかも自分の手中にある!という喜びが画面からあふれ出そうです。
少しでも近くへと急ぐ足先・・・
温かい肌を愛おしみ引き寄せようとするピグマリオンの指先・・・
その指をさらに深層へと導くようなガラテアの手も色っぽい(≧∇≦)
驚く仮面www
いや~~なによりもガラテアの背中の美しさといったら(ノ´∀`*))♡
ジャン=レオン・ジェロームって・・・誰??
あなたはジェロームの名前をご存じでしょうか?
生前は巨匠といわれながらも後世においては、すっかり人々から忘れられた画家でした。
ジェロームは印象派が大嫌いで、「印象派」の画家たちを画壇から爪弾きにした張本人。後世は印象派の人気が高まるにしがったて、出番がなく なっちゃったんですよねぇ・・・
時代をせき止める大黒幕、悪役として語られることが多いジェロームですが、国立美術学校では後進の育成に尽力して、生徒から慕われる人格者だったそうです。
なので、すっかり悪役にされるのは気の毒な気がしちゃいます。自分とまったく違う価値観を受け入れるのは、歳を重ねると難しいことですから・・(;´д`)トホホ
現代では、そんなジェロームの絵画も見直されて、ファンも多いんですよ♪
5年くらい前に彼の絵を通して彼の世界に触れ、その圧倒的な世界観に魅了されました!!
ちょっと退廃的な絵が多くて苦手な人もいるかもですが、絵の前に立つ者を一瞬にしてその絵画世界に引きずり込む力量を持つスゴい画家さんです(・∀・)ウン!!
理想の女性を育てるという快感
女性は年下男子を育て上げることを夢としている人は少ないと思いますが・・・男性の中には理想の女性を育て上げてみたいという夢を持っている人は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
ピグマリオンの物語は、そんな男性の夢を形にしたお話という側面も持ち合わせておりまして、そんな願望を19世紀に現代風にアレンジしたものが「戯曲 ピグマリオン」です。
映画「マイ・フェア・レディ」の原作といえばピンとくる人もいるでしょう。
主人公のヘギンズ教授が粗野な花売り娘をどこに出しても恥ずかしくないレディに育て上げて、その娘に恋する話です。
ちなみに、このお話には現実のモデルがおりまして、そんな二人がどうなったのかは下記の記事確認ください(;''∀'')
また、心理学用語に「ピグマリオン効果」というのがありまして、人は他者から期待されるとその期待に応えようとする、という心理的効果です。
このピグマリオンのお話の場合、期待に応えたのは「ガラテア」ってことになってますが・・・
もっとも期待に応えたのは誰?
ピグマリオンの必死の願いに応えて人間となったのはガラテアですが、人間になりたくて努力したピノキオと違ってガラテアはなんの努力もしていません。
彫像だったガラテアに心があったら、尽くしてくれる相手に応えたいという気持ちも生まれたかもしれませんが、さてどうでしょう??
ガラテアを人間にしたのは、愛の女神ヴィーナスです。
ピグマリオンとガラテアの間にはパポスという息子が生まれるんですが、そのパポスはヴィーナスに感謝し、ヴィーナスのために立派な神殿を立てて、布教に努めました。
ヴィーナスの期待は見事に実を結びました!!
さすが驚異の肉食女子・・長い年月を費やして理想の息子を育て上げたわけですねっ╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !
本日は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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コメント
愛は国境をも越えると言いますが、国境どころの騒ぎじゃないものまで越えましたねΣ(゜Д゜)
でも、これは2次元にハマったものとしては、夢のある話ですねぇ(笑)