愛に翻弄された狂気の彫刻家カミーユ・クローデル

20世紀美術

こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。

テレビをつけると連日の不倫騒動にうんざり気味の毎日です。

東出昌大さんの3年不倫が話題ですが、美術の世界では親子ほど年の違うロダンとカミーユ の10年不倫が有名かな・・

『カミーユ ・クローデル』(1988年)
『カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇』(2013年)
『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』(2017年)

3度ほど映画化もされています。

うんざりといいながら、本日は不倫!時流には乗っておこうかなと(^▽^;)スイマセン

本日は、愛に狂わされたカミーユ ・クローデルの人生へ、あなたをナビゲートします。

よろしければ、最後までお付き合いください。

カミーユ ・クローデルって誰?

カミーユ ・クローデルは1864年、フランス北部の小さな町で裕福な家庭の長女として生まれました。

実はカミーユ には兄がいたんですが、生まれてすぐに亡くなっています。

その悲しみが癒えないうちにカミーユ を産んでしまった母ルイーズはカミーユ を愛することができず、後に生まれた妹ルイーズ(母は次女に自分と同じ名前を付けました)だけに愛情を注ぎます。

カミーユ はそんな母との確執を抱えたまま父親の愛情だけを受け育ちました。

若くして芸術的才能に恵まれたカミーユ は、12歳の頃には彫刻の天才少女として名が知られる存在になっていきます。

雑誌アート

ロダンとの禁断の恋

オーギュスト・ロダン ロダン美術館の『考える人』1902年

そしてカミーユ 19歳の時にオーギュスト・ロダンに才能を見出されて助手として作品制作を手伝うようになり、間も無くロダンと愛人関係に陥ります。

その時ロダンは43歳。親子ほど歳が離れた初めての恋人でした。

ビー玉
ビー玉

カミーユ は絶対にファザコンだったと思う

館長
館長

父親の愛情だけを受けて育ちましたし、しかたないですね。

ロダン『地獄の門』1880〜1917年

ロダンの考える人は、この「地獄の門」の上部に位置していて、考えているのではなく、本当は門を見てるんです。

 

才能溢れる若いの愛人

そして、この「地獄の門」の共同製作者がカミーユ です。

今でこそ、カミーユ はロダンの共同制作者とされていますが、長らく「ロダンの恋人」と言われ続け、どんなに優れた作品を作ってもロダンのコピーでしかないと、まったく評価されない彫刻家でした。

当時の美術界、特に彫刻は男の仕事だとされていて、同じヌードの彫刻を作っても女性だとぜったいに認められないような世界でしたから(;´д`)トホホ…

個人的にはロダンのほうこそがカミーユ の若い才能の影響を受けていたような気がしなくもない(^▽^;)

カミーユ ・クローデル『ワルツ』1889〜95年
(画像出典:https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-bold-female-sculptor-inspired-rodins-sensual-work)

カミーユ が男だったらロダンを超える彫刻家になっていたんじゃないかと思うほどの才能でしたが・・悲しい(?)かなカミーユ は弱い19歳の女性で、母親の愛情こそ薄かったけど、世間知らずのお嬢様育ちです。

それに対してロダンは百戦錬磨の下半身がだらしないタイプw

常に幾人ものモデルと関係を持っているような肉食系芸術家(しかも才能あり)。

そんな経験豊富なロダンに口説かれからひとたまりもありません。

世間的にはカミーユ の才能はロダンの若い愛人というスキャンダルに掻き消されてしまったんです(ノД`)シクシク

カミーユ ・クローデル『シャクンタラー』(1888年)

カミーユ はロダンとの結婚を夢見て、若い体だけでなく斬新な構図やアイデアもロダンに差し出してしまいます。

全てを受け入れるロダンの内縁の妻

だけど、ロダンには20年連れ添った4歳下の内縁の妻(子どものいる事実婚)がいたのです。

まぁ、事実婚なので、厳密に癒えば不倫じゃないんですけどね(^▽^;)

彼女の名は、ローズ・ブーレ(ビューレット)。

ただひたすらロダンに尽くし続けた女性です。

オーギュスト・ロダン『花飾りの帽子の女の子』1897年
(画像出典:https://www.flickr.com/photos/theellsworth/2210212267/in/gallery-141121888@N03-72157666170114503/)

カミーユ はローズの存在を知っていましたが、自分の美貌と才能に自身を持っていたしたし、何よりもローズよりも20歳も若いのです。自分のほうがロダンの愛を多く受けるだろうって思い込んでいても不思議じゃありません。

そんな傲慢さもロダンにとっては新鮮で魅力的だったんだと思います。

実際に二人で古い邸宅を借りて一緒に暮らしていたりもしたんですけどね・・・結局ロダンが選んだのはローズでした。

オーギュスト・ロダン『ローズ・ブーレ』1880ー82年

ロダンはカミーユ と暮らしつつローズに「本当に愛してるのはあなただ・・」と、手紙を送っていたんです。

オーギュスト・ロダン『永遠の偶像』1889年

ロダンにとってカミーユ は生活を共にする女性ではなく、いっとき自分の制作意欲を掻き立ててくれる美しき偶像、ミューズだと思っていたんでしょうね。

破局はカミーユ を狂わせる

身勝手なロダンは、自分の身勝手さをどこまでも許し、母親のようにいつでも優しく迎え入れてくれるローズが必要だったんです。

お嬢様育ちでプライドも高かったカミーユ にはそれが許せず、ロダンのもとを去ります。

カミーユ ・クローデル『壮年(分別盛り)』1913年
(画像出典:https://www.iltermopolio.com/archeo-e-arte/camille-claudel-lamore-tormentato-per-rodin)

去っていく男性に手を伸ばしてる若い女性はカミーユ 自身。

その手を振り切るかのように、老人は老女に導かれて彼女のもとを去って行きます。

この作品はロダンと別れたあとにフランス政府から依頼を受けてカミーユ が制作したもの・・・

こんな、モデルもはっきり誰だかわかる作品は「生々しすぎる」ってことで受け取りを拒否されます。

今で言う「匂わせ」炎上です。

私小説のようなカミーユ の作品はスキャンダラスであり、新しく作った作品は全て「ロダンの真似」だといわれ、恋にも仕事にも絶望し精神は徐々に崩壊していきました。

10年も共同制作をしていたら、お互いに影響を受けるのは当たり前です。

非常に似ていたロダンの作品は世に認められていたというのに・・・カミーユの作品は酷評。

「ロダンが私のアイデアの盗みにくる」
「ロダンが私の作品を盗みにくる」
「ロダンが私の成功を邪魔しにくる」

こんな妄想に取り憑かれ、作品を作っては金槌で壊すことを繰り返し、30年以上も精神病棟から出ることを許されず、母親の「それみたことか」という罵声に耐えながら78歳という意外にも長く辛い人生に幕を閉じました。

「ロダンが盗みに来る」

ロダンがまだ自分を求めているんだと言う叫びにも聞こえます。

彼女の人生はけっして幸せなものではなかったとけど、残された作品はどれも胸に迫ります。

正直、私はロダンよりもカミーユ の作品が好きです。

 

ロダンに選ばれたロースは幸せだったのか?

そして、ロダンの生活を全面サポートをし続けたローズがロダンと正式に結婚できたのは73歳のとき!

全く売れなかった時代はロダンを金銭的に支え、数々のスキャンダルにも耐えたローズは、結婚に安心したのか結婚の2週間後に息を引き取ります。

ロダンはローズの後を追うように10ヶ月後に亡くなるんですが・・・

最後の言葉は「パリにいる若い恋人に逢いたい」でした。

 

館長
館長

とんだゲス野郎ですね

ビー玉
ビー玉

激しく同感です

巻き込まれたら悲劇でしかない、不倫だけども・・

個人的には芸術家に性的モラルを求めだしたら美術界は終わりだなと思っております。

品行方正な画家や作品ばっかりだと、見る方も疲れちゃうと思うんです(;´д`)トホホ…

ダメな人間ほどダメな人間の救いにもなるんですわ(´-ω-`)

 

※あくまでもダメな人間(私)の個人的な意見です。ムカっときたら、スルーしていただけると幸いですm(_ _)m

 

\\ ✨ 動く大人の美術館です ✨ //


 

本日は以上です。お読みいただき、ありがとうございます。

「大人の美術館」は毎週土曜か日曜の深夜にオープンします。また来週お会いいたしましょう。

 

コメント

  1. marimo より:

    タイトルを見て、どっちが狂っちゃったのかしら~と読み進めました^^
    お互い、ですねきっと。
    ただ、居場所があるという優越感だけがロダンの勝利、みたいな。
    カミーユの孤独がまた良い作品を生んだんですね。
    ほんと、品行方正だけでは芸術はうまれない、、、これは納得です!

  2. Nick Ollie より:

    なんか、写真の顔が、美しいけど、すごく寂しそうだなと思ったもの。しかし、ロダンはとんだゲスヤロウなんだね。美術界には下衆が結構多いのか?

  3. 芸術に才能がある人っていろいろ問題がある人が多いよねぇ。(´・ω・`)

  4. ヨウコの川歩き より:

    芸の為なら女房も泣かす~それがどうした文句があるか~って感じですかね。
    そうか、ロダンの愛人カミーユ。まぁね、作品が生まれる背景には作者の本能の芯を揺さぶる刺激が必要なんでしょうね。倫理観に縛られてちゃいられない…う~ん、芸術家とはつきあいたくないな(^0^;)

  5. ねぇやん より:

    百戦錬磨の下半身(笑)

    芸術には激しい(はしたない)恋愛はつきものなのでしょうか?

  6. pope より:

    確かに優れた作品を制作する芸術家には、堕落とか人間失格とかのレッテルが貼られている気がしますね。鑑賞していて息がつまりそう!となるものは製作者が真面目な芸術家なのか?う~ん、これもそんな気がする。

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