こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。
今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・
本日のテーマは「死」です。
寂しくて静かな「死」を描いた世界観に憧れた人々の心理とは?
静寂の死の世界へあなたをナビゲートします。
お時間よろしければ、最後までお付き合いくださいm(_ _)m
ちょっと照れちゃう自画像たち・・
画家という生き物は自己顕示欲が強く、自画像を描くときに、やたらとカッコよく描いちゃう人がいます。
まぁ自画像といっても当時は宣伝用として描かれることが多かったので、カッコよく描いてなんぼだとは思うんですが、ちょっとやり過ぎ感のあるものは見てて少し照れます(〃▽〃)ポッ
ロセッティ。髪を風になびかせちゃってますし・・・
ヴァン・ダイク 。筋肉いる??
アルブレヒト・デューラー。
今の感覚だと、これのどこが恥ずかしいの?って感じですが、
この自画像が描かれた当時は、人の正面顔ってイエス・キリストしか許されていなかったんですよ。
にもかかわらず真正面の構図を取ったってことは「私は神だ」というメッセージが画面から溢れ出ちゃってます!!
そして・・・・
アルノルト・ベックリン 「ヴァイオリンを弾く死神といる自画像」
アルノルト・ベックリン『ヴァイオリンを弾く死神といる自画像』1872年
ガイコツまで描いちゃって、やり過ぎ感が半端ないのに・・
か、カッコイイ(*ノД`*)タハッ
インスピレーションが降りてきている瞬間の絵だそうです。このガイコツは死神と言われていますが、私は死者だと思ってるんですよね(;´∀`)
なので以下、ガイコツのことは私の独断と偏見で死者と表記いたします。
死者が手にしているのは、G線1本しか残っていないヴァイオリン・・
G線とは、ヴァイオリンの弦の中でも最も太く、低音で柔らかい音を出す弦です。
ヴァイオリンは人間の声に最も近い音域の楽器なので、おそらくベックリンの耳元で低く響くのは、話せないハズの死者の声です。
そんなベックリンの代表作は・・・
「死の島」に思う
アルノルト・ベックリン『死の島』1880年 バーゼル美術館
「死の島」・・・
ちょっと怖いでしょ?
これは、若くして夫を亡くした未亡人からの依頼で描かれた絵です。
亡き夫を想い、瞑想するための絵。
絵に描かれているの小舟は、死者を納めた棺と死神を乗せて音もなく静かに小さな島へ向かっています。
この島に葬られるために死者は小舟に乗せられているのです・・・
今の感覚だと、こんな寂しい島に埋葬されるのは嫌っ! って感じかもしれませんが・・・この絵を送られた未亡人は、とても喜びました。
未亡人だけではありません。
ドイツ中がこの絵に熱狂して、一時期はこの絵を飾っていない家はないんじゃないかというくらいの大ブームにります。
なぜ、こんな死者を送る絵が流行ったのでしょうか?
この絵が描かれた19世紀末頃までの墓地は、腐敗臭に満ちていて死体からウジが湧き、たとえ愛する人が埋葬されていようとも、近寄りたくない場所でした。
そして、近づいてくるのは大きな戦争の足音。
人は人間としての尊厳も何もなく、不潔な墓に埋葬されたり、ただ大量に殺されるという恐怖に怯えていました。
せめて人として、まとめて穴に投げ込まれるような死ではなく、1人ひとりの尊厳を守られながら静かに葬られるのを夢見ていたんでしょうね。
ベックリンが耳を傾けていたのは、そんな死者の切ない願望だったのかもしれません。
現在の私達には少し分かりにくい感覚ではあります。人の意識というのは時代によって大きくかわるものなんですねぇ(((uдu*)ゥンゥン
あなたはどんな死を望みますか?
ちなみに私は、死んだら身体はいらないから、病院に献体するって友人に言ったら・・・大泣きされました(;´∀`) ハイ、もう言いません。
遺言には書いてるけど・・
本日は、しっとりと終わらせていただきます。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コメント
はじめまして。お洗濯ブログの方は読んでいたのですが、今日たまたまこちらを拝見して、拾い読みしているものです。タイトルでは分からない幅の広さと腹黒さ?加減に魅せられております。
で、銀河鉄道の夜、のことですが、ますむらひろしの漫画はいかがですか?
わたし銀河鉄道は、たぶんこちらしかきちんと読んだ事がなくて、しかし何度読んでも胸の詰まる想いと言い表せない広がりを感じて、静かに感動します。還暦近い年齢なので、昔からなんとなくますむらひろしは読んでいて、犬好きにもかかわらずヒデヨシにはたまらない魅力があります。
漫画が苦手な方もいますね。そうでないことを祈りつつ。
やまこさん、はじめまして(*^^*)
コメントいただきありがとうございます。返事が遅くなってしまってすいません。
洗濯ブログから、よくこちらに辿り着かれましたね。ようこそ♪
ますむらひろし氏の漫画は持ってますよ。味わい深い絵ですよね。大好きです?( ? )?
はじめまして。
思いがけずベックリンの自画像を見せてもらえて嬉しいです。
確かにカッコいいですね・・。こんな人だったのですね。
代表作の「死の島」は一時なじみのある身近な絵でした。
ある舞台で主人公の心の放浪をあらわす場面でバックに大きく使われていました。
○○○回も観劇したもので、しだいにそのバックの絵にも興味を持ち調べたりしました。
ビー玉さんの考察はとても共感できます。
これからも記事を楽しみにしています。
コゼさん、はじめまして!!
コメントをいただき、ありがとうございます。返事が遅くなり本当に申し訳ございません。
楽しんでいただけたようで、何よりです。どんな舞台なのか気になります(^^)
もし「死の島」以外にも絵画がお好きでしたら、毎週土曜日に絵画記事を書いておりますので、お時間があれば覗きに来てください♪
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