こんばんは!ナビゲーターのビー玉(@beedama_lab)です。
1970年代に大ムーブを巻き起こした『ベルサイユのばら(ベルばら)』
フランス革命を題材にした作品で、可愛い絵柄に判じてかなり骨太な歴史もの。
私が歴史好きになった原点は間違いなく『ベルばら』です。
歴史の大きな流れに圧倒され、主人公の勇気に泣き、王妃の悲劇に酔いしれた子ども時代。
歳を重ねた今は敵役として主要キャラクターたちの行手を遮った悪役にも感情を動かされるようになりました。
本日、そんなベルばらを彩った三人の悪女にスポットを当てたいと思います。
彼女たちはどうのように革命を生きたのか?悪女たちの人生にあなたをナビゲートします。
よろしければ、最後までお付き合いください。
ベルサイユのばらってどんな作品?
妙齢の女性には説明不要かとは思いますが、若い人には馴染みがないかもしれません。
簡単に説明をば!
少女漫画界だけでなく歴史漫画の金字塔
「ベルサイユのばら」とは、フランス革命を題材にした1970年代を代表する人気少女漫画の金字塔。通称「ベルばら」
西洋史好きのOver35女子で、この漫画の影響を受けていない人は皆無でしょう!
私も例に漏れず、影響を受けまくった1人です。漫画をリアルタイムで読んでいた世代ではないですが、漫画連載終了後に放送されたアニメでガッツリハマりました。
当時の私としては、なかなか大人っぽい内容(恋愛的に)で、親にバレないようにコソコソとアニメを観ていた記憶があります。
だって・・OPとか棘のある薔薇に撒きつかれた主人公のヌードから始まりますからね。
子どもにはかなり刺激的でした。
その後、漫画を読んでドラマチックなフランス革命に取り憑かれ歴史書を読み漁るようになりました。
中学生の夏休みに自由研究で「フランス革命新聞」なるフランス革命を題材に報道記事を真似た新聞を作って、ちょっとした賞を頂きました。 私の数少ない栄光の記憶です。
その後、西洋東洋問わず歴史好きなり(近代史は苦手)、中学〜高校まで他の教科は壊滅的だったのに、歴史の成績だけは良くて先生たちも不思議がっておりました(≧▽≦)
ベルばらのおかげで小難しい歴史がドラマチックな物語として楽しく読めるようになったからです。
そして、この『大人の美術館』を運営して美術よりも何故か歴史寄りなのもすべて源流は『ベルばら』に他なりません。
そして、今なおコンプリートDVD ボックスが発売されるほどの根強い人気があります。
意外に短い連載期間
大人になってから知って驚いたんですが、漫画の連載期間って1年半と意外に短いんです!!
たったの1年半で単行本10冊って恐るべきペース・・・
(本編10冊、番外編2冊)
華やかで乙女チックな絵柄なので、読まず嫌いの男性も多いかもしれませんが、今あらためて歴史物として読んでもビックリするぐらいしっかりしたストーリーです。
時代考証なんてまったく意識せず、雰囲気だけで描かれた歴史ものが多かった時代に(少女漫画の場合)、あれほどしっかりと歴史を描き込み、一気に走り抜けた池田理代子氏(作者)のバイタリティに脱帽です!!
女たちのフランス革命
「ベルばら」に描かれているのは女たちのフランス革命です。
本日は、そんな「ベルばら」に登場する実在の悪女として歴史に名を残した女性たちの最期を肖像画を交えつつ紹介したいと思います。
アレクサンドルクチャルスキー『マリー・アントワネット未完成の肖像画』1792年
マリー・アントワネットの最期は、断頭台の露と消えた・・・という歴史は教科書にも載ってますし知らない人は少ないと思います。
ジャック=ルイ・ダヴィッド『処刑前の王妃の様子のスケッチ』1993年
革命派だったダヴィットによる悪意に満ちたマリー・アントワネットの最後のスケッチですが、背筋を伸ばし処刑を恐れる様子もなく緊張感はありますが凛とした姿は隠し切れていません。
立派な最後だったんだろうと想像できます。
では、ベルばらに登場した、華やかなる三大悪女たちはどうなったのでしょうか?
おねだりが過ぎてフランス革命の火種を作ったポリニャック夫人
「文句があるならベルサイユへいらっしゃい」の名セリフでお馴染みのポリニャック夫人。
ポリニャックとは夫の姓で、彼女の名前はヨランド・マルティーヌ・ガブリエル・ド・ポラストロン。
ガブリエルさんです。
革命前のベルサイユでは最も美しい女性の人と言われ、マリー・アントワネットも彼女の美貌に魅了された一人です。
ヴィジェ=ル・ブラン『ポリニャック伯爵夫人の肖像』
王妃に取り入り、おねだりしまくって国の財政を傾けさせた一因となった女性とされています。
肖像画を描いたのは盛って描くと評判の女性画家のル・ブラン。
なので、盛って描いていることを差し引いても、かなり可愛らしい。
ル・ブラン『ポリニャック夫人』1783年
どの肖像画も美人というよりは可愛い♪
小悪魔的なおねだり上手だったのかなぁ
マリーがポリニャック夫人のために費やした金額は莫大で国を傾けさせ、フランス革命の火種になったとも言われていますが・・
ボリニャック夫人がマリーの側にいた14年間で彼女に使われた金額は、ルイ15世の愛妾だったポンパドゥール夫人が1年分の経費とほぼ同額。
それは大金だったかもしれませんが、国王が寵姫に貢ぐ金額に比べれば多すぎる金額でもない。
マリーから特別扱いを受け、ポリニャック家が不当な出世を果たしていたのは事実。
それを面白く思わない人も多かっただろうし噂話も誇張されて伝わったんでしょう。
ポリニャック夫人はバスティーユ襲撃の後に家族でスイス、トリノ、ローマ、ヴェネツィア、オーストリアへと逃避行。
その間、幽閉中のマリー・アントワネットと手紙のやり取りが残されていて、ポリニャック夫人の足跡をつぶさに辿ることができます。
1793年10月、マリー・アントワネットの処刑を聞いたすぐ後の1793年12月に44歳の若さでこの世を去りました。
死因は心臓発作だったともガンだったとも言われ、一部では結核説もあったりして謎です。
マリーアントワネットを見捨てて逃げたイメージを持っている方も多いかもですが、とどまろうとしたポリニャック夫人を説得して逃したのはマリーです。
ポリニャック夫人は逃亡先から自らの危険を顧みず手紙を出し、マリーの愛人だったフェルゼンと協力してマリーの国外逃亡の計画を立てていたといいます。
最後まで良き友として牢獄のマリーの心の支えとなったんだんじゃないかなぁ
そう思いたいなぁ(゚∇゚ ; )

願望ですかっ
あの世で美しくも華やかなお茶会が開かれているかもしれませんね。
幼い王妃を屈服させたデュ・バリー夫人
本名は本名マリ=ジャンヌ・ベキュー
娼婦から当時の最高権力者ルイ15世の公妾(王妃の次に高い位)にまで上り詰めるリアルプリティーウーマンです。
その経歴からお嬢様育ちのマリーの反感を買い、嫁いできたばかりのマリーとベルサイユ宮廷でバトルを繰り広げる話は有名。
そのバトルはベルばら1巻にも描かれています。
ヴィジェ=ルブラン『マダム デュ・バリーの肖像』
若いマリーを屈服させるほどの権力を持ち、傲慢なイメージが強かったデュ・バリー夫人ですが、実際は朗らかで愛嬌のある親しみやすい女性だったそうです。
超可愛く盛ると評判の画家ル・ブランをもってしても、隠しきれない庶民感。
こちらもルブランの作品です。
豪華な衣装とは裏腹に、垢抜けない気の良い下町娘風な容貌です。
ルイ15世が亡くなった後はベルサイユを追放されますが、遺産により喧騒から離れて静かに暮らしていたようです。
革命時には必死の命乞いも虚しく処刑されてしまいました。
処刑人として有名なアンリ・サンソンは、こんな一文を残しています。
「みんなデュ・バリー夫人のように泣き叫んで命乞いをすればよかったのに・・そうすれば人々もことの残酷さに気付き、恐怖政治も早く終わっていたかもしれない」と
デュ・バリー夫人最後の言葉は
"De grâce, monsieur le bourreau, encore un petit moment"
(お願い、死刑執行人さん、もう少しだけ待って)
最後まで気高く処刑された生まれながらの貴族が多かった中、たまたま国王に寵愛受けて権力を持ってしまったデュ・バリー夫人。
本当に普通の女性だったんだろうなと思います。
王妃の評判を地に落とした詐欺師ジャンヌ・ド・ラ・モット・ヴァロア
首飾り事件という王妃を巻き込んだ詐欺事件の首謀者とされるジャンヌ。
作者不明
・・・なんか悪そう?詐欺師顔(;''∀'')
加害者でありながら「王妃憎し」の国民から同情を一身に集め、投獄先から反国王派の手引きにより脱獄します。
こちらはル・ブランが描いた “ジャンヌであろう肖像画”
さすがル・ブラン、うまく盛ってます。
ジャンヌは王妃の名を語ってローアン枢機卿を騙しネックレスを騙し取ろうとしたんです。
そのお値段160万リーブル。
今の価値に換算すると30億円とも190億円とも言われています。
(現代の貨幣システムと違い過ぎて換算が難しいらしい)
幅がありすぎるけど、どちらにしても個人の詐欺レベルじゃない(((;꒪ꈊ꒪;))):
ネックレスのレプリカ
裁判の結果、ジャンヌは捕まって有罪となります。
ただこの裁判、ダメージを受けたのはジャンヌではなく名前を使われただけの被害者だったマリー・アントワネット!
裁判では勝訴したものの「本当は王妃が手引きしたのでは」と噂され有罪以上のダメージをうけ、フランス革命への足並みを早める結果となりました。
裁判結果とは裏腹に市民たちはマリーに有罪を突きつけたということです。
ジャンヌは捕まって「盗人」の烙印を押せれますが、その後脱獄して逃亡。
事件に関する暴露本で一稼ぎしたあと、ロンドンにて転落死。暗殺とも言われています。
悲惨な最後を遂げたジャンヌですが、激動の時代を強く強かに生きました。
番外編 女性たちを描いた画家 ルイーズ・ヴィジェ=ル・ブラン
自画像1790年
「ベルばら」の三大悪女とされた全員がル・ブランに肖像画を描いてもらっています。
宮廷の女性たちにとってル・ブランが人気だったかわかるでしょう。
人見知り気味だったマリー・アントワネットを手中に収め、革命時にはフランスを離れてヨーロッパ各地を転々としていましたが、その各地で権力者に気にいられて何不自由なく暮らしていたそうです。
『麦わら帽子をかぶる自画像』1782年
フランスに戻ってからは、かつての親友マリー・アントワネットと敵対していたナポレオンにも温かく迎えられて優雅な余生を送りました。
ル・ブランのコミュニケーション能力恐るべし!!
私はル・ブランを目指したいっ( ✧Д✧) カッ!! ←人見知りw
ただ、ル・ブランの夫は博打に狂い、娘はグレて家庭崩壊寸前だったようなので、世間の華やかな評判とは裏腹に家庭では別の顔を持っていたのかもしれませんね・・・まぁ大きなお世話です。はい!

本日は以上です。いかがでしたでしょうか・・「ベルばら」を彩った貴婦人たちはイメージ通りでしたか?イメージと違いましたか?よかったら感想を聞かせてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
またのご来館をお待ちしております。
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池田理代子 聴く歴史・海外『王妃マリー・アントワネットの生涯』
コメント
ベルばら、献血ルームで読んでる最中だったのに、献血行けなくなったなぁ・・・( ;∀;)
(ベルばらは献血以外でも読めるでしょw)
女性同士のドロドロってほんと怖いっ(/ω\)
オスカルはそういうドロドロの中にいなくて正解だったのよ・・・きっと。。。
aiaiちゃん、コメントありがとうです♪
いや、むしろ献血センターにベルばらがあるのが驚きよ∑( ̄□ ̄;)ナント!!
女性同士のドロドロは子どものころから免疫つけておかないと無理なレベルよね(;´д`)トホホ…
流行ったよねー、ベルばら。アンドレとオスカルもほんとにいるのかのように、お話の中に組み込まれていたけれど、それ以外はほんと歴史に忠実。フランス革命を勉強したけりゃベルばらを読むのがいい、とベルばら大好きな友だちが言ってた。
ルブランは自画像も盛ってるのかな。すんごいかわいい。私好みなんだけど。
Nickちゃん、コメントありがとう。
流行ったよねぇ(((uдu*)ゥンゥン
あれでどっぷりハマっちゃって今に至ります(゚∇゚ ; )
ルブランは私も大好き♪いい感じに盛ってくれる♡
(  ̄っ ̄)ムゥ 聞いたことはあるが、マジメに読んだ事は無いのよね。漫喫にでも行ってみるか。
ましゅーさん、こめんとありがと♪
満喫には古しぎてないんじゃないかなぁ(゚∇゚ ; )
「ベルサイユのばら」かぁ、懐かしすぎます。全10巻、何回も読み直して今も持ってますよ(笑)
ヨウコさん、コメントありがとうです♪
私も盛ってますよぉ(ΦωΦ)フフフ…
読み返しすぎてボロボロなので愛蔵版を買おうかと思ってます(*´罒`*)ニヒヒ