こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。
本日はあなたの心に寄り添う絵画をご案内いたしましょう・・・
テーマは「失恋」
おそらく「失恋」したことがないという方は極々少数派か、もしくはまだ恋を経験したことなない方かもしれません。
神話の世界も神々も失恋をしていますし、画家にとって「失恋」というものに向き合うことで美術史に残る名画もたくさん生み出しています。
失恋は遠い昔という方も、今まさに苦しくて救われてたいと思っている方も、古の昔から古今東西人々を苦しめる「失恋」に向き合った名画にしばしお目を拝借!
よろしければ、最後までお付き合いください。
神様だって失恋はする!!
ウォーターハウス 『アドニスの目覚め』1899年
失恋すると、自分は誰にも必要とされていない、価値のない人間だと思いがちですが、オリンポスに住う男性神のほとんどを手中に収め、どんな男性も虜にする言われた美と愛の女神ヴィーナスだって失恋は経験しているんですよ( ✧Д✧) カッ!
ピンク色のドレスを着た女性はヴィーナス。そのヴィーナスに目覚めのキスをされているのがアドニス。
ヴィーナスの息子エロスの持つ矢は射られると恋に落ちてしまうという厄介な矢。その矢が不慮の事故でヴィーナスの胸元を傷つけてしまいます。
ちょうどその時にヴィーナスが目にしたのが、まだ赤ん坊だったアドニスです。
ヴィーナスはこのアドニスに恋をしてしまうんです。
いくらなんでもショタがすぎる。
美しいアドニスを誰も目に触れさせたくなかったヴィーナスは、人気の少ない冥界のハデスにしばし預けることにしました。
それがとんだ大誤算でして・・・なんと!ハデスの妻であるベルセフォネもアドニスに夢中になっちゃうんです。
昼ドラどころの騒ぎじゃないですよw
アドニスが成長してヴィーナスが引き取りにくる頃には、もう女神同士の泥沼バトル・・・
高揚と喪失と・・
見かねたゼウスが仲裁に入って、1年の内1/3をヴィーナス、1/3をベルセフォネ、1/3をアドニスが自由にするということで、とりあえずはその場は治りました。
そして、アドニスは自分に託された1/3をヴィーナスと一緒にいるために使います。
そのときのヴィーナスはどれほど嬉しかったったかと思います。
それはそれは濃密な2/3を二人で過ごすんですけどねぇ・・・・
悲しいかな愛は永遠ではないんですよ(´-ω-`)
濃密に過ごした分、若きアドニスの「飽き」を誘ってしまったようで、ヴィーナスと一緒にいることよりも、外に狩にいくほうが楽しくなっちゃったみたい。
ティツィアーノ作 『ヴィーナスとアドニス』1554年
猟犬を連れて出かけようとするアドニスとそれを止めようとするヴィーナス です。
ヴィーナスがどんなに引き止めてもアドニスは狩に行き、その狩の最中に猪に襲われて命を落としてしまうんです。
アドニスを死に追いやった猪は、嫉妬に狂ったベルセポネやヴィーナスの恋人アレスの差金だと言われていますが、この際は正直どっちでもいい(; ・`д・´)
重要なのはすでにアドニスはヴィーナスから気持ちが離れつつあったということです。愛はすでに失われていたということ!
もちろん人にもよると思いますが、男性の場合は意中の相手からのお願いは全力で叶えようとしてくれますが、そうでなくなった場合は自分の趣味や都合を優先しがちな気がします。偏見でしょうか・・・すませんっ
男性はというよりも「人」はでしょうね
ヴィーナスはアドニスの死を悲しんでアドニスの亡骸を真っ赤なアネモネの花に変えます。
でも、もしかしたら、猪を嗾けたのは「ヴィーナス」のプライドだったのはなかったかと思たりもして(´-ω-`)
愛の女神が失恋とかあってはならないことですから・・・
そうだったら昼ドラというより火曜サスペンスw
イケメンなのにいつも失恋
ちなみに超イケメンの太陽神アポロも失恋してますよ!
というか、最後はいつも失恋してる神様なので、そろそろ失恋神「アポロ」になりそうw
失恋エピソードには事欠かないアポロですが、その中でも最も悲惨だったのは・・恋人に浮気され嫉妬に駆られたアポロは恋人の胸に矢を射り殺しちゃうんですよ。
そして亡骸に火を放ちます。どれほどの怒りだったのかが伺えます(llФwФ`)ガクガクブルブル
しばらく燃えゆく恋人を見ていて、はっと我に帰って火の中から恋人のお腹にいた我が子(誰の子?)だけは救出しますが恋人は亡くなります。
まぁ浮気するのはダメですが、殺しはもっとダメです!!
そんな風に神様だって我を忘れちゃうんだし、人間が我を忘れるのは仕方ないことかも(´-ω-`)
アポロのように取り返しのつかないことにならないといいけど・・・
ちなみに恋人の浮気を密告したカラスは「喪に服せ」とアポロに黒くさせられちゃったのです。これまた理不尽な話w
失って初めて・・
お付き合いしている間は、そこにいるのが当たり前になって、ただ一緒にいる幸せって見えなくなっちゃうことってありますよね・・・
ついつい相手に過剰な要求を押し付けたり、勝手な振る舞いをしちゃったり・・・
そして、そのとんでもない勝手な振る舞いをしたのが『エゴン・シーレ』です。
シーレにはヴァリという恋人がいまして同棲していました。
ヴァリがどういう出生の女性だったのかはよくわかっていません。
モデルとしてシーレと出会い、おそらく孤独な人生を歩んできたヴァリは目の前に現れた天才画家に愛されて、どうしようもないほど心酔してしまったんだと思います。
シーレに全身全霊で尽くし、どんなポーズも厭わず、自分の全てを投げ打ってシーレを支え続けました!!
なのに、シーレはヴァリではない中流階級の女性と結婚してしまうんです。
シーレは、ヴァリに対して絶対に自分に逆らわないんだと思っていたんでしょう・・
「結婚しても関係は続けよう」と持ちかけます!!
意外にもヴァリはこの屈辱に争いました。「それはできない」とシーレを捨てて準軍看護師として戦地へ旅だったんです。
私はこのエピソードでヴァリに恋しましたよ(ノД`)シクシク
大好きな人には引きずられがちですけどね、よく踏ん張った(ノД`)シクシク お互いに依存していたんだと思いますが、そこから抜け出したのはヴァリでした。
エゴン・シーレ『死と乙女』1915年
「死と乙女」はヴァリに去られたあとに描かれたシーレの代表作です。
シーレは妻(安定した生活)も愛人ヴァリもどちらも手にできると、なんの疑いもなく思い込んでいたんだと思います。ヴァリに去られたシーレは心底驚いたことでしょう。
絵の中に描かれているのは乙女を地獄へ連れ去ろうとする死神。
通説では、死神の右手は女性を遠ざけようとしていると言われますが、私は押し度止めようとしているように見えます。
なぜなら絵の中の女性の瞳は死神ではなくカンヴァスの外側で鑑賞している私たちの元へ向かっているから・・乙女はギリギリのところで死神の手を振り払い、絵の外に飛び出したんだと思います。
干からびたような死神だけを絵の中に残して・・・
ヴァリは戦地で病死し、2度とシーレの元には帰ってきませんでした。
ヴァリに去られてからのシーレの絵からは「痛み」や「悲しみ」が消え、なんとなく平凡な絵になっちゃうんですよねぇ・・・
そしてシーレも、ヴァリを捨ててまで得ようとした「安定した生活」をおくる間も無く28歳の若さで病死。
シーレが長生きしていたら、ヴァリと一緒にいた頃のようにナイフみたいに尖った絵をまた描けたんだろうか・・それとも安定した生活を手に入れて、全く違う境地を見せてくれたんだろうか・・などど考えずにはいらえません。
エゴン・シーレの詳しい記事はこちら(内容が重複する箇所もあります)
そして浄化していく
今まさに!寝ても覚めて浮かんでは消える苦しい泥泡のような気持ちと戦っている方もいらっしゃるでしょう・・
そんな苦しい気持ちを生涯に渡って描き切った画家います。
『叫び😱』で有名なエドヴァルト・ムンクです。
ムンクはすれ違っただれもが振り返るほどのイケメンだったらしい・・・
個人的には若かりしころの写真よりも、渋みのある老齢のムンクが好きですが(;//́Д/̀/)'`ァ'`ァ
そんなイケメンなムンクは少し変わった性癖の持ち主でして・・
童貞を人妻(ミリー・タウロヴ)に奪われて以来!!
極度の人妻フェチ( ✧Д✧) カッ!!
まぁイケメンが人妻フェチというは夢のある話ではありますが・・・悲しい結末がまっているのは仕方ありません。
ムンク作「窓辺の接吻」1892年
窓辺=世間ですね。
世間から隠れるようにキスする二人です。
秘密の恋の始まりでした。
この接吻シリーズは、いろんなバージョンが描かれています。
ムンク『接吻』1892年
恋も盛り上がってくると、隠すよりも世間アピールしたくなるんでしょうか・・・もうカーテンの影に隠れたりはしません。見せつけるように愛し合う二人です。
高揚感が伝わるような作品ですね(((uдu*)ゥンゥン
だけど、ミリー・タウロヴは一筋縄ではいかない女性。
社交界の花と歌われた彼女の恋人はムンク1人ではなかったんです。
ムンクと交際中に夫と離婚するも、すぐにムンクではない別の男性と結婚します。
ムンク作『別離』1896年
ミリーの再婚に傷心していたころに描かれた作品ですね。
別の道を行こうと歩き出す男性。その前途と阻むように何やら不気味な植物(゚∇゚ ; )
赤い植物と木に阻まれて男性は身動きがとれなくなっているうに思えます、
そして、そんな男性の体に女性の髪が絡みつき、じわじわと男性を絡みとろうとしているよう・・・
それは思い出なのか未練なのか執着なのか・・・見ていると本当に苦しくなような作品
だけど・・苦しい気持ちも「時間」が解決してくれることもある。
思い出へ
ムンク『月明かり、浜辺の接吻』1914年
こちらは、ミリーと別れてからずいぶんたってからの『接吻』です。
最終形態と言っていいでしょう。
二人が抱き合っている場所は世間もなにもない心のなかだけにある風景です。
穏やかな風景に溶け合うように抱き合う二人・・極端に単純化されて、もう誰ともわかりません。
水面に浮かぶ月と月明かりは女性器と男性器を表しているのですが、この2つが静かに十字架を形成しているんですよね・・・なんとも美しい情景
これは苦しかった気持ちが思い出へと変化したことを表しているんだと思います。
どんなに苦しい気持ちも、最後はこのように静かに浄化してくじゃないかと思えて、この絵を観ていると泡立った心が凪ぎます。
恋愛に限りません!今、何かに苦しんでいるあなたの気持ちが、いつの日か、良くも悪くもただ静かな思い出へと浄化されますように・・・
「大人の美術館」は動画でもお楽しみにいただけます
本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
大人の美術館は毎週土曜か日曜の夜にオープンします。
また来週お会いしております。またの御来館をおまちしております
コメント
いや~。。。。
ものすごいチカラを持ってる神々も恋愛事情は人間と同じですな~(;´∀`)
まぁ・・・ゼウスさんからして恋愛心情が手足はやしてるような方ですもんね( *´艸`)
それにしても、人妻ばかりを好きになってしまうとは・・・
ある意味運命に翻弄された人生になってしまいましたよね(*´ω`*)
ヴァリ(T_T)あっぱれな女性ですね。エゴン・シーレは自画像以外はあまり好きになれず(^_^;
ムンクは胸苦しいが好きです。でも、ゴッホもそうだけど作品は愛していても付き合いたくない芸術家って多いですね。エゴン・シーレなんか変態だし(笑)、ゴッホはかわいそう過ぎて一緒にいたくない(-ω-;)
それにしても、ギリシャ神話の皆さんはやりたい放題、ビーナスも全裸でしがみつかれても…ねぇ(^_^;ところで猪って昔から怖い動物だったのね。
あ~面白かった( ^o^)ノビー玉さん、ありがとう!
ムンクって叫びの印象強すぎて、こんなにイケメンとは露知らず…。
人妻好きもすごいけど、そんな若き人妻好きを何人も翻弄するミリー・タウロヴ‥。私、次生まれ変わったらこういうふうになりた~い!!
失恋したのが途方もなく昔過ぎて、胸をかき乱されるほど泣いたこととかすっかり忘れて、ついこんな↑感想しか書けない自分が悲しかった~(ノД`)・゜・。
やっぱり画家も人間だからいろんな恋をしてる。てか、普通の人より激しく恋したりすったもんだしたりしてる感じがするねぇ。そして、そのすったもんだが如実に絵に表れてたりするのが、なんだか面白い。
神様たちの恋はもう何でもありすぎて、オソロシイ。人殺し(いや、神殺し)まで、、、神様なのに、、、
神様ってあんまり全能じゃないのね~(;´Д`)
恋して盲目になったり、フラれたり、すがったり・・・普通の人と同じだわ(*´ω`*)
ん~ディープはやのぅ…。( ゚д゚)ウム しかし、神様は人間臭いな…。(笑)