こんばんは、大人の美術館ナビゲーターのビー玉(@beedama_lab)です。
2021年、細田守監督のアニメ映画「竜とそばかすの姫」が大ヒットしましたが、その元ネタとなった「美女と野獣」にもさらに元ネタとなった物語があるのをご存知でしょうか?
その物語とは、ギリシャ神話の「エロス(クピド)とプシュケー」
ギリシャ神話では珍しく、愛する恋人たちがハッピーエンドで終わる美しい物語は、多くの画家を刺激して作品も多く残されています。
だけど、本当に美しいだけの話なのか?
本日はそんな愛と魂の物語の世界にあなたをナビゲートします。
よろしければ最後までお付き合いください。
女神の嫉妬から始まった愛の物語
【主な登場人物】
プシュケー・・・Psyche(英語ではサイキ)、世にも美しい人間の少女
エロス・・・Cupido(英語ではキューピット、ローマではクピド)、ヴィーナスの息子
ヴィーナス・・・Venus(ローマではウヌス、ギリシャではアフロディーテ)、愛と美の女神
※本来プシュケーはギリシャ神話で語られる話なので、ヴィーナスはアフロディーテと表記するのが正しいかと思うのですが、当ブログではより解りやすくするためにヴィーナスと表記します
プシュケーは女神よりも美しいと評判になったばかりに美の女神ヴィーナスの嫉妬をかってしまった可哀想な美少女。
ヴィーナスは怒りに任せて息子のエロス命令します
プシュケーを、この世で最も醜い者と恋に落とすように仕向けて!
愛する母からの命令は絶対なので、エロスはプシュケーを見つけ、誰にでも恋するようになるという金の矢をプシュケーに向けて射ろうとしたものの・・
美しいプシュケーに見惚れて、こともあろうか金の矢で自分の腕を傷つけてしまうんでんです。
E.バーンジョーンズ『プシュケーを見つけるクピド』1865-67年
一瞬でプシュケーの虜となるエロスw
策士策に溺れる
溺れるほどの策でもなかったですけどねw
このまま連れ去るとヴィーナスの更なる怒りをかうことになりますからね、エロスは一計を案じます。
占いによって「森の魔物に嫁がせるように」とプシュケーの両親にお告げを出すんです。
E.バーンジョーンズ『プシュケーの結婚』1895年
バーンジョーンズはプシュケーの結婚の場面をまるで葬列のように描いていますね。
お告げには逆らえない両親は泣く泣くプシュケーを森へ連れていき、言われるままに岩山に置き去りにします。
1人残されたプシュケーは不安のあまり泣き出しますが、泣き疲れたころに西風が吹きプシュケーは立派なお屋敷の前まで飛ばされます。
顔を見せない夫
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『クピドの庭に入るプシュケー』 1849-1917年
この立派なお屋敷でプシュケーは何不自由ない生活をおくります。
ただ、自分の夫である森の魔物の顔を見ることだけは禁止されていました。
もちろんここはエロスの隠れ家。
ヴィーナスにバレることを恐れて顔を見ることは禁止しつつ、夜になると暗闇を利用してプシュケーの元にちゃっかり忍んできてはおりました。
ジャック=ルイ・ダヴィット『クピドとプシュケー』1817年
童話の「美女と野獣」とは違って大人の関係です
だけど、姿は見えないけど優しく愛してくれる夫
もし、醜い姿だとしても見てみたくなるのが女心ってもんです(((uдu*)ゥンゥン
ヤコポ・ツッキ作『クピドとプシュケー』 1541-1590年
で、見ちゃいますw
ヤコポのプシュケーは手にナイフを持ってますね、思った以上に恐ろしい化け物だったらやっつけようとでも思っていたんでしょうか。
足では恋の発端となった金の矢を踏んでますし、この関係が終わることを暗示しています。
ヴィーナスの嫁いびり
一粒づつ種類ごとに分けよ
「そんなの無理」と泣き崩れるプシュケーに同情した蟻が仕分けを手伝います。
黄金の毛を刈り取ってきて
「そんなの無理」と泣き崩れるプシュケーに同情した川の神がコツを伝授
美人って徳すぎませんか?
それが現実ですよ
冥界へ行って、アンチエイジングの薬を取ってきて!
“塔”にまでっ
好奇心を抑えきれないプシュケー
なぜだろう?素直に喜べない
ストレスで不眠症になり、本気で冥府の睡眠薬が欲しかっただけかもしれません。
大団円
ラファエロ工房《神々の会議》1518年
本来永遠の命を持つ神と有限の命しか持たない人間は結婚できません。
ヴィーナスとエロスはゼウスを説得してプシュケーを神に加えてもらえるよう説得。
ヴィーナスとエロスの願いは聞き入れられ、プシュケーは不死の酒「アンプロシア」を飲み神化
ウィリアム・アドルフ・ブグロー『プシュケーの誘拐』1895年
永遠の命を得たプシュケーは末長くエロスと幸せに暮らしましたとさっ
愛(エロス)+精神(プシュケー)=責任?
プシュケーは英語でPsyche(サイキ)、魂や精神という意味を持ち「サイコパス」の語源にもなった言葉です。
サイコパスはとても魅力的に見えます。
だけど基本的には自己中心的です。
自分が傷つけ去っていった恋人をひたすら追いかけたり、愛する人が自分の意にそぐわない場合は排除も厭わなかったり・・。
プシュケーって、実はサイコパスな性質を持っているのかもって思うのは私だけかな?
人を操る(いつもなぜか助けられてのはなぜ)
深く考えず衝動的に行動(約束は守れない)
刺激を求める(好奇心には勝てない)
自慢しがち(無意識に姉たちの嫉妬を掻き立て)
依存性(自分を嫌ってるヴィーナスにまで頼ってしまう)
かつて、愛に疑問を持ったエロスはプシュケーの元から空を飛び逃げ出しました。
だけど神化したプシュケーは羽を得て空を飛べるようになったんです。
エロスはもう逃げられないってことです。
末長くお幸せに〜♪
めでたいしめでたし(ΦωΦ)フフフ… ←意地悪w
でもまぁ、多少問題があっても永遠に美しい妻がいるってのは、何だかんだでやっぱり羨ましいな(((uдu*)ゥンゥン
本日は以上です。お読みいただき、ありがとうございます。
コメント
最後のプシュケーって、実はサイコパスな性質を持っているのかもって思うのは私だけかな?、で背筋が凍りました(笑)
人を操る(いつもなぜか助けられてのはなぜ)
深く考えず衝動的に行動(約束は守れない)
刺激を求める(好奇心には勝てない)
自慢しがち(無意識に姉たちの嫉妬を掻き立て)
依存性(自分を嫌ってるヴィーナスにまで頼ってしまう)
確かに~~~!
これがすべて計算ならほんとサイコパス!
そして、ハッピーエンドでもなくなりそうなエンドレスな愛が完全にホラーでした^^
サイコパス…(;゚д゚)ゴクリ…
最後のハッピーエンドの絵、プシュケーの幸せいっぱいのちょっと勝ち誇ったような、「私、幸せよー」アピールをしているような顔が、なんとも言えず、やっぱりサイコっぽいような気もする。(なんかぐちゃぐちゃの文章ですんません)
ヴィーナスって神様なのになんか意地悪なのね。