こんばんは!ビー玉です。
今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・
当館【大人の美術館】は、web上の仮想美術館です。
「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します。
2019年4月、二つの大きな「クリムト」関連の展覧会が開催されます!!
・「クリムト展 ウィーンと日本1900」
・「ウィーン・モダン展 クリムト、シーレ 世紀末への道」
たまたまかち合ったちゃったぁ(;´д`)って訳ではないくてですね・・・
世界中で一足早く盛り上がっていた2018年のクリムト没後100年という騒動がひと段落して、ちょうど今年は日本・オーストリア外交樹立150周年記念ということで、日本でも少し遅れてクリムトの祭典が巡回してくることなったようです!!
本日は祝・クリムト大量来日記念ってことで、クリムト展へ行く方々の予習としてクリムトの人生を名画とともに振り返ります。
ナビゲータは、私ビー玉。
お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
アカデミックな絵を描いていたクリムト
クリムトは1862年にウィーン近郊のバウムガルテンで7人兄弟の長兄として生まれました。父は貧しい金細工職人で、クリムトは手に職をつけるために奨学金で国立工芸学校に入学し、卒業後は弟エルンストと共に室内装飾の会社を設立します。
ウイーン工房というこの会社、チェコの私立劇場やウィーンの美術館や劇場などを手がけて仕事は順調すぎるほど順調だったようです。
その頃に描いていたのは・・・・
Idylle(田園詩)1884年
意外にもこのようなアカデミックスタイルの正統派芸術で、のちのクリムトの個性や独創性はまだまだ鳴りを潜めていました。
転機は弟エルンストと父を相次いで亡くしたたことです。
しばらく仕事を休んだあと、早すぎる弟の死に何か思うことがあったんでしょうねぇ・・・クリムトの作風はガラリと変わります!
ウィーン大学から「人間の知性の勝利を高らかに歌い上げる」ような作品を
と依頼されて描かれた<哲学><医学><法>からなる3部作。
本物はナチスによって焼かれてしまって、
現存するのはモノクロ写真しか残っていません。
間違いなく近代絵画の金字塔になるはずだった絵だけに焼失は残念すぎます。
ただ、この大作は多大なる物議を醸します。
絵が受け入れられない
大学としてはクリムトの初期に見られるようなアカデミズムな
このような正統派の絵を期待して依頼したのに、出来上がってきたのが・・・
こんなエロティックな作品(^▽^;)
今よりも風紀に厳しい時代にヌード・・・
現代の感覚だと大学の校舎に巨大なヘアヌードグラビア(芸術性高め)が飾られているくらいの違和感があったんだと思います。(美大とかならアリな気もするけど・・・)
しかも人間の知性の勝利を謳いあげるどころか<哲学><医学><法>をそれぞれ皮肉ったとも取れる内容(゚∇゚ ; )
哲学も医学も「死」に負けてるし、法学なんて、罪人を裁いてるのは巨大なタコてw
賛否両論あったものの、否定派多数で大学は受け取りを拒否!
それだけではなく、新しい芸術に無理解な世論からも叩かれたクリムトは、古典的な美術からの分離と自由な芸術活動を掲げて「ウイーン分離派」を結成します。
その運動の拠点となった分離派会館の開館に際して描かれたのが・・・・
「パラス・アテナ」1898年 ※ウィーン・モダン展で見られます
ギリシャ神話の戦いの女神「アテナ」を描いた絵です。古典芸術に果敢に戦いを挑む決意が滲みます!!
注目なのがアテナの胸元で光っているゴルゴンの飾り!
ゴルゴンは見るものを石にかえる化け物です。
(同じく見る人を石に変えるメデューサはゴルゴン3姉妹の一人です。)
そんなゴルゴンが舌をだして挑発しています。
この芸術が理解できない者は石コロだと言わんばかりではないですか!!
アテナと同じコンセプトで描かれた愛知県立美術館の至宝「人生は戦いなり(黄金の騎士)」は日本で見られる数少ないクリムトです。
※「クリムト展 ウィーンと日本1900」の愛知会場で見られます!
足元をすくおうと待ち構えている亡霊は理解なき世論を表し、
行く手を阻もうとする蛇は旧体制を表しているんでしょうか?
それらには一瞥もくれず、前を見据えて、花の咲く野をたった一人で優雅に進む騎士にクリムト自身の心境を投影していたようです。
これは何度か見に行きましたが、凛としてかっこいいんですよ(((uдu*)ゥンゥン いつでも愛知県に行けば見られますが、今展はたくさんのクリムトが一緒に見れる良い機会だと思うので、見たことがない人は、この機会に是非♪
クリムトの描くファム・ファタール
「裸の真実」 1899年 「クリムト展 ウィーンと日本1900」で見られます
高さ225cm、横幅56.2cmとほぼ等身大で描かれた女性のヌードです。真実を映し出すという鏡は観覧者へと向けられています。
絵の上部に書かれているのはフリードリヒ・フォン・シラーの「歓喜に寄す」からの引用文。
「万人を喜ばす芸術はよろしくない」的なことが書いてあるんです。
大衆に媚びる美術ではなく、わかる人にわかればいい的になことじゃないかなと思います。
この絵、私は大好きなんですよ・・・
裸婦の足もとに蛇がいて、タンポポの綿毛が2本見えます。
これ、色っぽくないですかぁ?(*/▽\*) ←重症w
蛇は時の寓意なので「分離派の価値はいずれ時がきたらわかる」という意味にも取れますが、私には性的な意味あいを強く感じます。タンポポの綿毛は精子に見えますし、性に対する抑圧からの解放といったテーマではないかなと・・・
「性やヌードを描いて何が悪いね〜ん」というクリムトの声が聞こえてきそうです。
さて、あたには真実の鏡に何が見えますか?
そしてクリムトのエロティシズムが解放されます!!
クリムトのファム・ファタール
「ユーディトⅠ」1901年 「クリムト展 ウィーンと日本1900」で見られます
ユディトキタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ ! ! !
このテーマ大好きなんです。ユディトが手に持っているのは、自分が殺めた男の首です( ✧Д✧) カッ!!
男を破滅させてしまう魔性の女ファム・ファタールです!!
ユディトは旧約聖書に出てくる女性で、自分の体を使って敵将の寝首をかき斬首して祖国を救ったという聖書きっての猛女なんですが、19世紀になると男性を誘惑し、その命さえも取り込んでしまうほどの魅惑的な女性として大人気になりました。
かつては自分を愛撫したであろう男性の首を持って微笑む姿は圧巻というしかありません!!まばゆいばかりの金箔がなんとも禍々し!!
性の解放 ベートベンフリーズ
こちらは、ウィーン分離派会館の地下にある圧巻の壁画のレプリカが「クリムト展 ウィーンと日本1900」で見られます
苦悩を象徴する裸の男女から、助けを乞われて騎士は同情と功名心(騎士上)を連れて旅立ちます。
そんな騎士を待ち受けているのは恐ろしい怪物と苦難の数々・・・
左にいる3人に女性は怪物の娘で、見るものを石に変えるゴルゴン姉妹。その上には病気が取り憑く機会を狙っています。右には淫欲・不貞・不節制といた誘惑者がいます。
これらの危機や誘惑に打ち勝ち、ベートベンの第九(お正月によく聞く「歓喜の歌」です)が鳴り響く中、騎士は真実の幸福に行くつくというお話。
ただ、この絵の中には男性器だったり、女性器だっり、精子だったり、性的な要素が存分に散りばめられており、エロティシズムに汚染されすぎていると世紀の問題作となりました(ノ∀`)タハー
そしていつしか分離派の中で対立がおこり、クリムトは分離派を去ります。
官能の画家クリムト
その後、クリムトはつねに10人以上のモデルと生活を共にし、14人以上の子どもをもうけるといったフリーセックスな生活の中、精力的に作品を生み出していきます。
凡人には理解できない生活だけど、このころに描かれたクリムトのエロス全開の作品は本当にすばらしいのです
「ダナエ」1907〜1908年
「接吻」1907〜1908年
私はクリムトの中ではダナエが最も好きです!
入れ替わり立ち代わりやってくるモデルとは別に27年間もクリムトに寄り添い、母のような包容力で支え続けた女性がいます。
エミーリエ・フレーゲの肖像 1902年 ※ウィーン・モダン展で見られます
彼女は亡くなったクリムトの弟エルンストの妻の妹で、この時代には珍しく自立した女性でした。
エミーリエは間違いなくクリムトに最も愛された女性ではありましたが、モデルたちに混じって一緒に暮らすこともなく、二人が結婚することはありませんでした。
だけど、2人の精神的な繋がりはとても強かったらしく・・
クリムトの最後の言葉は「エミーリを呼んでくれ」だったそうです。
「クリムト展 ウィーンと日本1900」
「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」
これほどたくさんのクリムトは日本国内で見られる機会はもうないだろうなぁ・・・できれば2展とも行きたいと思っています。
来展することができたら、また詳しいレビューを書きます!
二つのクリムト展の概要
名称 | クリムト展 ウィーンと日本1900 | ウィーン・モダン展 クリムト、シーレ 世紀末への道 |
開催場所 | 東京都美術館 2019年4月23日〜7月10日 | 国立新美術館 |
巡回 | 豊田市美術館(愛知) 7月23日〜10月14日 | 国立国際美術館(大阪・中之島) 2019年8月27日〜12月8日 |
時間 | 【東京】 午前9時30分~午後5時30分 【愛知】 午前10時~午後5時30分 | 【東京】 10:00〜18:00※毎週金・土曜日は、4・5・6月は20:00、7・8月は21:00まで。 【大阪】 10:00~17:00 (入場は16:30まで) |
休館日 | 【東京】 【愛知】 | 【東京】 【大阪】 |
料金 | 一般 1,600円(前売り1,400円) 大学生・専門学校生 1,300円(前売り1,100円) 高校生 800円(前売り600円) 65歳以上 1,000円(前売り800円) | 一般 1,600円(前売り1,400円) 大学生・専門学校生 1,200円(前売り1,000円) 高校生 800円(前売り600円) |
チケット購入 | 【東京】 東京都美術館 公式サイト(オンラインチケット) セブンチケット ローソンチケット チケットぴあ イープラス CNプレイガイド【愛知】 前売り:2019年4月20日~7月22日 | 【東京】 【大阪】 |
本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
当館は土曜か日曜の深夜に開館します。また来週、ご来館お待ちしております。
コメント
ゴリ氏、ハーレム状態( *´艸`)
って思ったら、ゴルゴン三姉妹だったのですな(T▽T)シカモチチオヤ
僕が騎士なら…うん…たぶん、逃げる(T▽T)
えたさん、コメントありがとうです♪
ハーレムどころは魑魅魍魎よ(llФwФ`)ガクガクブルブル ゴリ氏はゴルゴン三姉妹のお父様らしいです。できればお近づきにはなりたくないなとwww
ビー玉ちゃん、この美術館
わたし大好きで、ムフフとほくそ笑みながらいつも読ませていただいていまーす。
dearyumiさん、コメントありがとうです♪
本当ですか!!めちゃめちゃ嬉しいです(≧∇≦)
これからもムフフと思ってもらえるような記事をガンガン書いていきますよ〜٩( ᐛ )و どうぞよろしくです♪
これ、すごい行きたいのよね。エゴン・シーレも退廃感が好き。
ただクリムトのこんな絵は、子どもつれては行けないよねー。一人で行くかな。
Nickちゃん、コメントありがとうです♪
そうなの行きたいの(≧∇≦) 名古屋でもいんだけど、どうせなら東京へ行って色々みて回りたいっっ!!
クリムトもだけど、シーレはとくに子ども連れでは難しいですもんね(^▽^;) 娘ちゃんが学校へ行ってるスキにぜひ( ✧Д✧) カッ!!
ユーディトが来る!ひゃ~なんか、興奮するわ。クリムト好きの友人と連休中に観にいく予定です。
ビー玉さんのブログで予習ができました。知らない事ばかりでした。ありがとうございました
ビー玉さんも「クリムト好き」ですよね。分かります、同類だから(笑)私も「ダナエ」が1番好きです。こんなに美しくもエロティックな絵はみたことがありません
ヨウコさん、コメントありがとうです♪
ユーディトきちゃいますよ(≧∇≦) 私もこれは絶対にみたいと思ってます。本当に東京に引っ越したいっっ( •ὢ•)
私は多分、名古屋かなぁ・・・もし東京に行けたら行きたいのだけど、今年は難しいなぁ(ノД`)シクシク
クリムト大好きです。ルドンの次に好きです( ✧Д✧) カッ!! クリムトではやぱっぱりダナエですよねぇ(((uдu*)ゥンゥン わかります。もちろんです!!
YouTubeを見ようと、”エロス”で探したら、((゚д゚; 三 ;゚Д゚))ヒィィィン となったんやからな!(笑)
ましゅーさん、コメントありがとうです♪
私はね、「おお〜♪」ってなったわwww
見つかったかなぁ・・・寄り道しないで、ご視聴どうぞよろしくで〜す( ✧Д✧) カッ!!
ビー玉さぁん、リクエストに応えてくださりありがとうございます!
4月から多忙すぎて、やっとブログをまとめてチェックすることができました。
いつ読んでも「大人の美術館」は素人にわかりやすく、とても魅力的で忙しい中でも美術館に足を運びたくなる魔術にかかったようになりますね。
クリムト展 ウィーンと日本 1900の前売り券買ってありますよ。
とても楽しみです
今後もグイグイと引き込んでくれるこちらのブログ、期待してま~す(*^▽^*)
3nekoさん、コメントありがとうございます。返信遅れてすいません(; ・`д・´)
3月4月は多忙になりますよね!!やっとGWまでこぎ着けました♪わかりやすいといってもらえると何よりも嬉しいです(*´﹀`*) 目指しているところがそこなので٩( ᐛ )و
今後ともわかりやすくをモットーに書いていきますので、よかったらまたお立ち寄りくださいね〜♪
クリムト店は関西にもくるので、私も楽しみにしております( *• ̀ω•́ )b グッ