あなたのすべてが欲しい・・・「サロメ」の恋

聖書(宗教画)

こんばんは!ビー玉です。

今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・

本館、【大人の美術館】は、素人の素人による素人のための妄想美術館です。いわゆる “常識” とされている見解と違う箇所もあるかとは思いますが、ゆる~い気持ちでリラックスしながらご観覧ください。「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します・・・

さて、本日の題材は・・・

 

サロメ

サロメ・・・時代の移り変わりと共に、従順な乙女から情熱的なファム・ファタールへと変貌した女性。

「サロメのイメージは?」と聞かれて、サロメのことを知っている人であれば、ほとんどの人が「自分の欲望を満たすために愛する人の “すべて” を(命をも)奪う妖艶な悪女・・・と、答えるのではないでしょうか?

もともとサロメは、素直すぎるほど “母親に” 従順なだけの乙女だったんですよぉ・・・

 

聖書の中のサロメ

サロメは聖書に登場する人物で、1世紀の古代パレスチナに実在した女性です。

サロメの母である王妃ヘロデヤは、不倫の末に夫の異母兄弟であるヘロデ王と結婚しました。そのことを洗礼者ヨハネに糾弾されて、ヨハネに恨みを持っていたんですよね・・・

王妃ヘロデヤは娘を使って洗礼者ヨハネを陥れることを画策!

夫の誕生日に娘のサロメを踊らせます。

サロメのキレキレダンスを喜んだ義理の父は、好きなものを褒美に取らせる!と、サロメに言いました。

「どんなものが欲しい?宝石か?ドレスか?」

モジモジと照れるサロメ・・

「何でも望みのものを与えよう、遠慮なく言ってみなさい・・・」

上目遣いに小さく囁くサロメ・・・

「ヨハネの首がほしい・・」

 


ベルナルディーノ・ルイーニ作 「サロメ」

はーい、ヨハネさん斬首?( ノД`)シクシク…

もちろん、そう言わせたのは母ヘロデヤです。サロメは母に言われたまま、褒美にヨハネの首を欲しただけです。?もともとの悪女はサロメではなく、母のヘロデヤだったんですよねぇ・・

なので、絵画の中のサロメもヨハネの首には興味ゼロ・・・

 

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作「サロメ」

私、こんなの要らないんだけどなぁ・・と、困惑気味のサロメ。

このサロメ超カワイイ(;''∀'')

 

カラヴァッジオ作 「サロメ」

もう興味がない以上にメ?ッチャ嫌がってる(;''∀'')

あなたは、このような絵に色気を感じますか?私はね・・それほどw

なので、サロメを題材にした絵画は一部のマニア以外にはそんなに人気は無かったんですよ・・・

 

そんなサロメが変貌を遂げたのは19世紀になってから!!

 

冷たい美少女からヤンデレ美女へ

 

ギュスターヴ・モロー作「出現」

きっかけは、モローの「出現」です。

な、何?!このサロメ!!聖書に出てきた母に従順なだけの乙女じゃない!!

サロメがヨハネの首を見据え、今まさに踊ろうとしている場面。

これはたぶん死の舞踏の前(だと思うw)・・サロメが踊り始めたら、誰にも止められない・・・

ヨハネは預言者でもあるので、もう自分の運命は見えているんです。踊り出すのをやめさせたいっ・・でも動けない!・・そう、この絵はヨハネの見ている未来のビジョン・・・

そして、運命の魔女は踊り始める・・そんな感じ!!

 

いや〜カッコいいわ(ノ´∀`*))

 

この絵の出現によって、サロメのイメージは一変します。

 

1891年には、劇作家オスカー・ワイルドによって書かれた戯曲で、単に親の言いなりに過ぎなかったアイデンティティーの感じられない美少女に息が吹き込まれます。

その頃から、サロメは自ら望んで愛する人の首を欲するようになるんです。

サロメは幼い頃から妖艶な魅力を漂わせていた美少女で、 すべての男性は彼女を性の対象として見ていました。義父も例外ではなく、そんな状況に辟易していたサロメは自分を顧みないヨカナーン(ヨハネ)に恋心を抱きます。

だけど、サロメの愛はことごとく拒まれ、ついにサロメは宣言するのです!

「どんなことをしても、あなたに口づけをしてみせる」

そこでサロメは、父王の誕生日の宴で妖艶な舞を披露します。

喜んだ父王はサロメに褒美を取らせるのですが、サロメが欲したのは・・・

「ヨカナーン(ヨハネ)の首」

※私の解釈では、ダンスは比喩。実は父王と一夜を共にし、処女と引き換えにヨカナーンの首を得たんだと思ってるんですけどね( ̄▽ ̄;)

?

ビアズリー作「お前に口にくちづけしたよ、ヨカナーン」

サロメは宣言通り、生首となった愛するヨカナーンの唇と口づけを交わす・・・

もうサロメの目は逸らされるとことなく、ひとえにヨカナーン(ヨハネ)を見据えます。

男を滅亡へと導く運命の女、「ファム・ファタール」として・・・

このサロメに世の中は熱狂するんです!

この時代の“世の中”とは男性社会を指すんですが・・・

男性には破滅願望がある人が多いのかな? 私にはイマイチ理解できませんが( ̄▽ ̄;) どの時代にもファム・ファタールに憧れる男性って多いんですよね・・・不幸になるのは分かってるけど、それでも抗えないほどの女性に巡り逢いたい?火傷じゃすまないよ(;゚Д゚) 止めませんけどね、気を付けてねww

こちらの記事は動画でもお楽しみいただけます。

別館YouTubeの更新は不定期

 

本日は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。

またの御来館をお待ちしております。

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鑑賞者のための キリスト教美術事典

何かおすすめの書籍はある?と聞かれたら、必ず紹介する1冊です。

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これから絵画を勉強したいという人はとりあえず1冊買って損はなしです♪

コメント

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