こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。
2021年初の大人の美術館は・・
誰でも知ってるような有名名画にはいったい何が描かれているのか、知ってるようで知らない聖書や神話の基礎の基礎をおさらいしたいと思います。
最後の晩餐でダ・ヴィンチが描きたかったものとは?
ヴィーナスが美しいのはなぜなのか?
よろしければ最後までお付き合いください。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 最後の晩餐
《最後の晩餐》1495〜98年 🇮🇹サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院
名画と聞くと、この絵を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
絵のタイトルは『最後の晩餐』
描かれているのはイエス・キリストとその12人の弟子たちです。
イエスが十字架にかけられて処刑されることはご存知の方も多いので、最後の晩餐っていうくらいだから別れをおしみつつ最後の食事を共にしている場面なのでは?と思われるかもですが、ちょっと違います。
描かれているのは人間ドラマ
ここに描かれているのは極限の人間ドラマ
イエスが「この中に裏切り者がいる」と言い放った瞬間。
弟子たちの驚き戸惑い怒り、そして悲しみなどの感情が一気食卓を駆けめぐる緊張感溢れるひと場面なのです。
裏切り者はユダ。
イエスの追手であるローマ軍に銀貨30枚で居場所をバラします。
最後の晩餐で描かれるユダはこの人。「なぜバレたんだ」という驚愕が表情を浮かべて手にした銀貨を右手に握りしめています。
ちなみにこの時代の銀貨30枚は諸説ありますが38,400円ほどではないかと言われています。
ユダはイエスの処刑の後に自殺し、そのご2000年後の現在でも全世界で裏切りの代名詞のように言われるのですから、その代償としては安すぎるますよね!
▼『最後の晩餐』を詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです▼
ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』
ボッティチェリ《ビーナスの誕生》1485年ごろ 🇮🇹ウフィッツ美術館
大きなホタテの貝殻が開いたら美しいヴィーナスが生まれた
日本のかぐや姫よろしく「竹を割ったら中にお姫様がいた」みたいな物語を想像しちゃうかもですね。
いやいやヴィーナスはホタテではなく海の泡から生まれたんだと子どもの頃に読んだ神話物語の絵本に書いてあったという方もいるでしょう。
ある意味正解ですが、ヴィーナス誕生の本質まではもう一声!
その泡がなぜできたかご存知でしょうか?
その泡は両親の夫婦喧嘩の末に切り落とされた父親の男性器を海に投げ込んだ際にできたものです。
なかなか激しい夫婦喧嘩ですね(((;꒪ꈊ꒪;))):
ヴィーナスは愛の女神ですが、愛は愛でも「愛欲」ですからね。
誕生もなかなかハードコアなんですよ(^▽^;)
愛は美しだけじゃない
そんな暴力的な愛欲を秘めたヴィーナスを繁殖力の強さで定評のあるホタテの貝殻に乗せて、なんとなく幸せな気分になる春風をまとわせ、目眩しの花をちらしつつ・・・地上ではヴィーナスの暴力的な魅力(裸体)を覆い隠すように季節の女神が布を纏わそうとしています。
えっと、ビー玉さんは愛になにか恨みでも?💦
私の過去はさておき、ふわふわと幸せな気分は愛の本質を覆い隠しますからね。
水面に生えているガモはたくさんの種を擁することとその形から男性器の象徴とされています。
淡水に生えるはずのガモをわざわざ海に配置するのも意味深です。
この絵にどれほどの意味が隠されているのかは謎ですが・・
愛の誕生は美しいばかりではないということで(^▽^;)
ボッティチェリの描くヴィーナスは実際は誕生の場面ではなく、大海原の真ん中で生まれたヴィーナスが西風の神と花の女神に導かれて地上に上陸する場面なのです。
この絵が描かれるまでは、当時のお堅い教会が性的な表現を一切禁じており、教会ではなく富豪をパトロンに得たボッティチェリが女神のヌードを解禁させて、芸術に美を取り戻しました。
のちの人々が芸術に愛と美を取り戻すきっかけとなったこの絵に『誕生』というタイトルを残したんです。
愛は大きな混乱をもたらしますが、同時に喜びや美しさをもたらします。
まさにヴィーナス(愛)の誕生そのもののような絵です。
花の女神が振りまいているのはバラの花。
永遠のセックスシンボルである愛の女神ヴィーナスのアトリビュートです。
そして、美術界きっての清純派アイドル聖母マリアのアトリビュートもバラ。ただしトゲのないバラです。
対局にある2人が同じアトリビュートを持っているというのも面白いなと思います。
あたなはトゲのあるバラとないバラ、どちらがお好みですか?
『ヴィーナスの誕生』をより詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
ミレー 落穂拾い
ミレー《落穂拾い》1857年 🇫🇷オルセー美術館所蔵
この絵、何を描いていてると感じるでしょうか?
日本では戦前から労働の尊さを解くものとして紹介されていましたが、少し違います。
この絵をみて、聖書を連想する人は日本にはほとんどいらっしゃらないとは思いますが!
実は宗教画とも言える絵なんです。
「落ち葉」ではなく「落穂拾い」
ここに描かれているのは収穫したあとの農園から取り残しの落穂を貧しい女性たちが拾っているシーンなのです。
私たちの想像する「労働」とは少し違いますよね。
彼女たちは耕すのではなく、取るだけの人ですから(^▽^;)
だけど聖書にも、富める者は「取りすぎてはならない」とされていて、余裕のあるものは貧しいもののために「落穂」を残しておかないといけないと書かれています。それが落穂拾い
聖書の時代からつ続く習慣なんです。
描かれているのは普遍
穀物を収穫する際に、全てを採り尽くしてしまうのではなく、貧しいもののためにわざと残しておくという教えです。
この絵は聖書の時代からミレーの生きた19世紀まで、いやそれ以降もずっと続くであろう「普遍」を描いた名画なのです。
ミケランジェロ アダムの創造
ミケランジェロ《アダムの創造》1511年ごろ 🇮🇹システィーナ礼拝堂
これは説明するまでもない。神が自分の姿に似せて最初の人類であるアダムに魂を吹き込む場面。
6日間不眠不休で世界を作った神
神のサポート役の天使も過労死寸前ですからね、労働環境は過酷なものだったのでしょう。
最後の6日目に神は人間を最後に制作しました。
中世までは教会の権威が強すぎて、神を絵に描くなんて恐れ多いってことで、神の姿を絵に描くことはありませんでした。16世紀のルネサンス期になるとカトリック教会中心の社会が少し薄れ、芸術の世界では人間の姿をいかに美しく描くかという思想が広がっていきました。
ミケランジェロも人間の理想像という形で神を描きました。
確かになんとも威厳に満ちた神様です。
じつはこのミケランジェロが描く「アダムの創造」には大きな嘘が描かれています。
神がアダムに魂を与える場面なんですが、聖書に書かれている神は「鼻から息を吹き込むことでアダムを目覚めさせる」というもの・・・
「鼻から息を吹き込む?」
そんなのどう考えても絵にならんやろと考えたミケランジェロは聖書の描写をねじ曲げて指と指が触れ合うことで魂を与えるという表現に変えました。
確かに鼻からなんて、どんなにダンディーでもないわぁ〜
聖書を創作する時にもうちょっとビジュアル的に考えて作ってほしいですよね。
聖書は歴史なので「創作」という表現は間違ってますよっ
その後アダム1人じゃ寂しかろうと、アダムの肋骨から初めての女性イブを作ったと言われています。
人間を作り終えた神は7日めを「聖なる日(holy day)」と定めてお休みにします。
holy dayはそのまま英語の休日(holiday)の語源となりました。
ラファエロ アテネの学堂
ラファエロ《アテネの学堂》1509年 – 1510年 ヴァチカン宮殿
こちらはヴァチカン宮殿内にある「署名の間」には神学、法学、哲学、詩学を表す4枚の壁画が描かれていて、ラファエロの『アテネの学堂』はそのうちの1枚である「哲学」を表しています。
この絵には古代の哲学者に扮した当時の有名人たちがモデルとしてラファエロと同時代に活躍した画家も描かれています。
哲学者アリストテレスとして描かれているのは天才画家のレオナルド・ダ・ヴィンチ
哲学者ヘラクレイトスのモデルとなっているのは孤高の画家(彫刻家)のミケランジェロです。
絵の中でコスプレしているみたいで面白いですよね。
この絵を描いたラファエロ本人も群衆に紛れて描かれています。
そして、哲学者ヒュパティアに扮しているのは、ラファエロの恋人だったマルガリータだと言われています。
マルガリータは町のパン屋の娘。
向上心のあるラファエロは両家のお嬢様と婚約していたので、現世で2人の結婚はかないませんでしたが、同じ目線に描かれて絵の中の2人は永遠に一緒なのです。
よかったら、アテネの学堂の中に誰がどこにいるのか、探してみてくださいね。
コメント
面白いやね。( ゚д゚)ウム しかし…ユダの気持ちに心揺れるのです。イエスを好きだった筈なのになぜ裏切ったのか?おそらく、お金じゃないと思ったりするんですよね。
ビーナスの誕生がそこまで愛欲の絵だとは知らなかった~。ガマとか薔薇とか、、、 そうやって見るとなんだかすごーくすごい(笑)。薔薇はトゲがある方が好きかなー。
有名な絵画なので見たことはあるし、タイトルわかるのもあったけど、意味となるとさすがに知らないんだよなぁー(;´Д`)
ビー玉姐さんが美術の先生だったら、わたしももっと熱心に勉強したと思う!(←今からでも遅くないですよw)