天使の変化を観ると美術史の流れがよくわかる

美術史

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
ランキングに参加しています

にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ

こんばんは!美術ナビゲーターのビー玉です。

本日のテーマは、天使です。

あたなは天使といえば、どんなイメージをお持ちでしょうか?

神様の御使いとして天国で働いていて、時々下界に降りてきては人間に悪戯を仕掛ける羽の生えた可愛い子ども・・・そんな感じでしょうか?

それはたぶん、天使じゃなくてほぼほぼキューピットですわ(゚∇゚ ; )

天使が人間に仕掛けるのは悪戯なんて生優しいものじゃなくなくて「皆殺し」とかのガチですからね(llФwФ`)ガクガクブルブル

そんな、どこか恐ろしくて美しい天使を通して美術の流れを見ていこうと思います。

よろしければ、最後までお付き合いくださいm(_ _)m

天使の美術史 初期キリスト教美術

天使にはキレイで真っ白な翼がついてて・・ってイメージがあると思いますが、聖書に天使の翼に関する記述はほとんどありません(゚∇゚ ; )

私が知るかぎり、旧約聖書に2箇所(他にもあるかも)。

しかも、私たちが思っている翼のある天使とはかけ離れているのです。

セラフィム上に立ち、彼らはそれぞれ六つの翼を持ち、羽根2枚で顔を覆い、2枚で両足を覆い、2枚で飛び交っていた。(イザヤ6章より)

イザヤ書の熾天使セラフィムとエゼキエル書の智天使ケルビムです。

ケルビム に関しては人間の形でもないのですよ(^▽^;)

ケルビムには4つの顔があり、第一にケルビムの顔、第二に人間の顔、第三は獅子の顔、第四はわしの顔であった。

ケルビムの全身、背中、両手、翼と車輪には、その周囲一面に目がつけられていた(エゼキエル書1章より)

館長
館長

カオスw

絵を描く人も相当苦労していたようで・・・

面倒になっちゃったのか、次第にケルビム は顔だけの状態になっていきます。

 

館長
館長

・・・

セラフィムやケルビム といった上級天使には翼というより、完全に異形なんですけど、神様に近すぎて絵画にはあまり描かれません。

絵によく描かれるのは人間との接触が多いアークエンジェルかエンジェルズといって、それほど階級が高くない一般的な天使です。

 

一般の天使にも翼が生え始める5〜6世紀

「山羊と羊をわけるキリスト」6世紀ごろ

ちなみに向かって左が天使、真ん中が神様、右が悪魔です。

この当時は天使も悪魔もちょっと色が違うくらいで見た目の区別はありませんでした。

天使に翼が生えたのは

『サモトラケのニケ』紀元前2世紀ごろ

ギリシャ神話の勝利の女神「ニケ」の影響ではないかと言われています 。

あと、天国が『天』にあったと考えられていたからでしょう。

空から飛んでくる ⇨ 鳥 ⇨ 翼

という伝言ゲームみたいなイメージがあったんじゃないかな(((uдu*)ゥンゥン

おそらく天国が海にある設定だったら、天使は人魚になっていたに違いないっ!!

ちなみに鳥から魚になったのがセイレーン です。

BeforeAfter

船が近海しか航行できなかった頃は、岩場に生息していたセイレーンは岩座に住む鳥の姿をしていました。大航海時代になり人間が大海原に漕ぎ出すと、海の中に生息地を変えた結果です。

容姿と住む場所はとても密接していたんです。

セイレーンは美しい歌声で船乗りを惑わせる怪物です。
昔は海難事故の原因だと思われていたんですね。
ちなみにこの頃は職業画家が絵を描いていたのではなく、修道士たちがキリスト教を文字の読めない民衆に広める目的で宗教画を描いていました。

この頃に人気が出た天使は戦う天使ミカエルです。

キリスト教がイスラム教と戦っている時期だったので、悪魔(異教徒)を倒すミカエル が人気になり、たくさん描かれました。

美しい翼をもつ天使登場 ゴシック時代 13世紀

ゴシック時代あたりから、職業として絵をかく「画家」が宗教画を描き始めます。

天使が美しくなってきます。美しさが追求されていく時代!

フラ・アンジェリコ作『受胎告知』(1437年〜1446年)

天使の翼が鮮やかです。

ルネサンス 子ども天使登場 15世紀〜

ヴェロッキオ 「トビアスと大天使ラファエロ」1470年

パトロンの語源になったパトローネ(守護天使)という考え方がイタリアで生まれます。天使に守ってもらおうという考え方です。

そこで、天使ラファエロに見守られて旅をしたトビアスの物語が大ブームになります!!

この「トビアスと大天使ラファエロ」というテーマをお守りとしてお金持ちが画家に絵を依頼することが増えてきたんですね。

ルネサンス時代には、絵を注文するのが教会だけでなく、富豪たちも加わるので、宗教画だけでなくギリシャ神話などを題材にした絵画も人気が出ます。

ルネサンス時代に美の女神ヴーナスが復活したのと同時にヴィーナスの息子だとされるキューピットも復活♪

この幼児に翼があるピュービットの影響で、なぜか天使も幼児化します


ラファエロ・サンティ作『システィーナの聖母』

聖書には幼児の天使は出てこないんですけど、この時代から子ども天使が描かれるようになっていきます。

キューピットと天使の違いは・・

キューピット ⇨ 弓矢を持ってる。一緒に描かれる女性が裸もしくは半裸

天使 ⇨ 持ち物は特にない。一緒に描かれる女性は露出度が少ない。

あえて存在をぼかしている場合以外はわかりやすいです。


30日無料体験実施中

バロック 天使が自由に飛び回る 17世紀

ルカ・ジョルダーノ『大天使ミカエルと叛逆天使たち』17世紀

この頃にキリスト教が「カトリック」と「プロテスタント」に大きく二つに分裂しまして、カトリックは絵画を使って信者獲得に乗り出しました。

ブリューゲル『叛逆天使の墜落』1562年

より、分かりやすくかっこよく!!

時にはヒーロー物よろしく躍動感いっぱいに敵を倒し。

カラヴァッジョ『聖フランチェスコの法悦』1595年

乙女たちにBLを「におわせ」てみたり(゚∇゚ ; )

 


アドリアーン・ファン・デ・フェルデ作『受胎告知』

時は昼メロっぽく女性の家に忍んだり(;//́Д/̀/)’`ァ’`ァ

館長
館長

受胎の告知に来ただけですよ!!

聖書の内容うんぬん・・というよりは画家の想像力と個性が際立ってくる時代です。

雑誌アート

近代 造形美としての天使 19世紀〜

ウイリアム・アドルフ・ブグロー 作『天使の歌声』1884年

ブグロー 作『急襲』1898年

パウル・クレー『忘れっぽい天使』1939年

聖書では、聖母マリアに受胎告知を知らせに来たガブリエルだけは女性っぽい容姿ですが、基本登場する天使は成人男性です。

だけど、19世紀になると天使は「キレイ可愛い」をモットーに女性か幼児の姿が描かれることが多くなりました。

絵画が一般家庭で「癒し」として存在するようになったからでしょう。

エミール・ジャン=オラース・ヴェルネ『死の天使』

死を迎えた女性を天国へ導く天使です。

悪魔と戦う上級天使よりも個人によりそう名もない天使が好まれました。

近寄り難い異形の存在から、癒しの存在へ徐々に姿を変えていった天使!

教会から個人へ

天使を見るだけでも美術史の流れが分かります。

あなたの好きな天使はどんな天使でしょう?

本日は以上です。お読みいただきありがとうございます。

 

\\ ✨ 動く大人の美術館です ✨ //


 

当美術館は毎週末の深夜に開館します。

また来週お会いいたしましょう。

See you(*ˊᵕˋ*)੭

 

コメント

  1. marimo より:

    そそ、エンジェル=キューピットだし、森永チョコボールくらいのイメージ^^;
    なので子どもです♪
    そして、「権天使」が「堕天使」に見えてしまった、、、これは私の心の闇を映しているのか~~~w

  2. ヨウコの川歩きw より:

    悪魔は実は元は天使だったって話はきいたことありましたね。天使の変遷、おもしろかった。これからはこだわって観れそうです。ありがとう( ^o^)ノ
    クレーの天使が1番可愛い

  3. ねぇやん より:

    ニケ像は何にインスパイアされて羽をはやしちゃったんでしょう(・・?
    それ以前から、飛ぶもののイメージが強くあったんでしょうか?
    エンジェル=こども→大人の天使と言う認識でした(^^;)

  4. 面白かった。( ゚д゚)ウム 天使にもイロイロなことがあるんやのう…。あと、”忘れっぽい天使”の絵が…。(笑)

  5. aiai より:

    あとになればなるほど、羽が大きくてリアルでちょっと怖い(´⌒`。)
    大人の人間大を飛ばすのだから、あれくらい大きくないとダメなんだろうけど・・・
    曲線の部分がねぇ・・・なんだか怖いの。
    なぜだろう(/o\)←知らんがなw

  6. Nick Ollie より:

    天使の階級がここまで分かれているとは知りませんでした。しかも上の方の天使たちって、なんだかそら恐ろしい感じ?
    いつもおもしろい話が多くて楽しい♪

タイトルとURLをコピーしました