こんばんは!ビー玉です。
今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・
本館、【大人の美術館】は、素人の素人による素人のための妄想美術館です。いわゆる “常識” とされている見解と違う箇所もあるかとは思いますが、ゆる~い気持ちでリラックスしながらご観覧ください。「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します・・・
今宵は人類最恐のファム・ファタール。神が作りし美しき災「パンドラ」の企画展です。
お時間許す限り、ごゆっくりご鑑賞ください。
パンドラは人類に送り込まれた刺客!!
パントラとは、ゼウスが人類に送り込んできた刺客です。
なぜそんなことをするのかといえば・・・
「プロメテウスの火」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
そのうち、しっかり紹介すると思うので、ここでは簡単に!
プロメテウスはゼウスに敗北した巨人族の息子で、ゼウスよりも頭がよかったんですよ!
そんなプロメテウスがゼウスを騙して人類に禁止されていた「火」を与えちゃうんですよね〜!!
うまく隠すな〜(ノ∀`)タハー
なぜ照れるんですか?隠したのは “火”ですよね?!
そ、そうですよ(゚∇゚ ; )!! プロメテウスはフェンネル(ハーブ)の茎に火種を隠して地上に持ち込んだんです!!
まぁ何を上手く隠したって話じゃなくてですね(^▽^;)
プロメテウスが持ち出した「火」のおかげで、人類は凍えたり飢えたりせずにすんだんですが、その反面、ゼウスが心配したように、人類は火を操り武器を作り戦争し、神をも凌駕する力(科学)を持ってしまいました。
プロメテウスはその罰として鎖に繋がれ来る日も来る日もハゲタカに肝臓を啄ばまれることになるんですけどね・・・その期間は驚きの6万年!!
ギュスターブ・モロー作「鎖につながれたプロメテウス」
プロメテウスが頭の上に灯るのが人類にもたらされた「プロメテウスの火」です。
人類の手に余る技術・・最近では「原子力」のことを「プロメテウスの火」なんて言ったりしますね。
ゼウスの怒りはプロメテウスへの罰だけでは静まりませんでした。
人類にハニートラップを仕掛けます。
そのハニートラップの名前が最も美しい災「パンドラ」です。
人類に災をもたらすファム・ファタール
頭の良いプロメテウスはいずれゼウスが復讐してくることはわかっていました。
なので弟エビメテウスに「ゼウスからの贈り物は決して受けとらないように」と言い含めてはいたんですが・・・
男だらけの世の中で、突然目の前に妖艶な絶世の美女が現れて「私を好きにして・・・」って言われたら、あなたなら抗えますか?
少なくとも、エビメテウスさんには無理でした。簡単に美女を家に引きれてしまいます。
この絶世の美女はギリシャ神話の世界では、人類に災いをもたらすために作られた人類最初の女性パンドラです。
パンドラとは、全てを(パン)与えられた者(ドラ)と言う意味です。
● 鍛治の神ヘファイストから美しい姿形
● 技巧の女神アテナからは家事や機織りの技術
● 美の女神ヴィーナスからは美と男性を翻弄する魅力
● 伝令の神ヘルメスからは犬のように飼い主に従う心
まさに理想の女性像!!
そしてゼウスからは壷(箱)を与えられた。
ジョン D. バトン作「パンドラ」
パンドラは好奇心を抑えられない?
パンドラの好奇心を利用して、ゼウスは「絶対に壷を開けてはいけない」と囁きます。
開けてはいけないと言われるのと開けたくなるのが人間!
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「パンドラ」
はーい!開けちゃいました〜(゚∇゚ ; )
ちなみにパンドラがゼウスに持たされたのはもともと壷だったんですけどね!15世紀末の誤翻訳によって「壷」から「匣」に持ち変えられました!!
※ここからはパンドラの匣と表記します。
パンドラが匣を開けた瞬間に飛び出したのは病気、悪意、飢餓、苦悩、裏切り・・
人類が「火」と引き換えに手に入れたのはありとあらゆる災いでした。
ジュール・ジョゼフ・ルフェーブル作「パンドラ」
このパンドラはうっかり開いてしまったというよりは、ゼウスの企みを知っていながら、使命感をもって匣を開けようとしているように見えますね。
「開けなければいけない」という悲しみを感じます。
パンドラは出てきたものに驚いて慌てて匣の蓋を閉じます。匣に残ったのは「希望」だけでした。
匣に残った希望とはなにか?
子どもの頃は「希望」が残ってよかったなぁ・・なんて単純に思っていたんですけどね・・・
この「希望」というものが何なのか?というは実は人類の永遠の謎です。
箱に希望が入っていたのはなぜなのか・・・
希望があるから生きていける
人間から希望を取り上げたら絶望して絶滅してしまうかもしれないと考えたゼウスは災いに対抗しうる手段として「希望」を匣の奥に忍ばせた。
ゼウスの良心説。
希望こそ最大の災い
諦めてしまえば人はあらゆる苦悩から逃げて楽になれる・・なまじ「希望」があるばかりに人類は諦めることができずに、長く苦しむことになる。
ゼウス、とことん性悪(;´д`)トホホ…
実は希望ではなく予兆
そして、ちょっと待ってください!!希望は箱の中に閉じ込められているので、人類はじつは希望を手にしていないとも言えます
「希望」だったというは後世の解釈で、もともとは「予知」であったという説もあります。
予知が箱に中に閉じ込められたということは、人類は先が見えないわけです。
先が見えないからこそ、希望を持って生きていける。そのことから「希望」という解釈になったんでしょう!
だけど、先が見えないから災いを事前に避けることができないともとれますよね!
希望であり、絶望でもある
幸と不幸が入りまじった複雑な混沌・・私はこれがパンドラの匣の本質だと思っています。
この「希望」は人類にとってどういうものだったのでしょう・・
現代でも未知なる変化を恐れて「パンドラの匣」を開けるとかって言いますけど、残念ながら先は見えないので、その結果が吉とでるか凶とでるかは誰にもわかりません。
そんな危うい選択をくりかえつつ人類は生き残ってきました。
開いた箱の中にあった「希望」は幸いとなるか災いになるかは人類次第ってことでしょうか(((uдu*)ゥンゥン
ゼウスは人間に「選択」という生き残りをかけたゲームを仕掛けてきたのかもしれませんね。
人類に不幸をもたらしたファム・ファタール
人類最初の女性、人類に不幸をもたらした存在として、聖書のイブと同一視されることもあります。
ジャン・クーザン作「エヴァ(イブ)・プリマ・パンドラ」
ちなみにイブというのは最初の人類であるアダムの妻で、蛇にそそおかされて神から禁じられていた知恵の実であるリンゴを食べた女性として有名ですね。
そのせいで、人類は楽園を追われ命の期限と労働と生みの苦しみというの原罪を背負うことになりました。
右腕のりんごのついた枝と骸骨はイブが人類にもたらした原罪と死を意味しており、左腕には邪悪のシンボルである蛇が巻きつき!壺の入り口を手で押さえています。災いはもう外に出てしまった後でしょうか・・
人類の不幸は女性が好奇心を抑えらなかったせい。災いを全て女性に押し付けた女性軽視の絵という見方もありますが・・・
左の窓の外に広がるのは人類が生み出した大都市です。
右側の世界は楽園のある世界かもしれません。人類はどちらに進むのか・・壺を手でおさえているパンドラに委ねられているのかもしれませんね。
エヴァやパンドラが人間にもたらしたのは、確かに不幸だったかもしれません。
だけど神のもと、楽園でぬくぬくの過ごしていたほうが人類は幸せだったのでしょうか
神の庇護を離れて、自らの考えで行動し、労働の末、大都市を築くまでになった人類は、神にとっては悪なのかもしれませんが、現代の私たちは確実にその恩恵を受けています。
人類は神が恐れた災いとなるか、それとも希望となるかは今後の私たち次第ということなのでしょう・・・正しい希望を掴みとりたいですね!
本日は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
当館は毎週土曜の深夜に開館予定です。また来週お会いいたしましょう(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ
コメント