こんばんは!!ビー玉です。
本日の【大人の美術館】は、出張美術館です。
場所は兵庫県立美術館、絶賛開催中の「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」を観に行って来ました。
数少ないスペイン最大の巨匠「ベラスケス」の絵画が7点も来日です!!
7点だけ?って思っちゃいました(^▽^;)?
スペインは、母国の至宝であるベラスケス作品の貸し出しを厳しく制限していて、7点はその最大数だと言われています!!
でもまぁ・・プラド美術館どこ?ベラスケスだれ?って思う人もいるでしょう・・
本日はそんな「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」の熱烈レビューです。
お時間よろしければ、最後までお付き合いください。
プラド美術館とは
(画像はWikiよりお借りしました)
スペインの首都・マドリードにある美術館で、16世紀〜17世紀「太陽の沈まない国」とまで言われた「スペイン帝国(スペイン・ハブスブルク帝国)」の王で、世界屈指の美術品のコレクターであったフェリペ2世とその孫・フェリペ4世のコレクションを基盤として作られた美術館です。
絵画だけでも7,000点以上を所有しており、私個人が行きたい美術館NO.1の美術館です!!
スペイン最大の画家「ベラスケス」はもちろん!当時美術先進国であったイタリアやフランドル絵画も多数所有してます。
主なコレクションは・・・ヒエロニムス・ボス 『快楽の園』、ディエゴ・ベラスケス『ラス・メニーナス』、フランシスコ・デ・ゴヤ『裸のマハ』『着衣のマハ』などなど・・
ベラスケスとは
ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケス(Diego Rodríguez de Silva y Velázquez)
17世紀スペイン絵画を代表する画家です。
“世界の3大絵画” といわれている作品をご存知でしょうか?
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」
レンブラント・ファン・レインの「夜警」
(エル・グレコ「オルガス伯爵の埋葬」の時もある)
そして!ベラスケスの「ラス・メニーナス」
当時のスペイン国王であったフェリペ4世に愛されて、ベラスケス以外の描いた肖像画を燃やせと言ったとか言わないとか・・・そんな逸話有名です。
ベラスケスの描く肖像画は、けっして美化しているわけではなく、実に写実的です・・・
この絵は「プラド美術館展」で観られます!
ベラスケスは、けっして美男には描かないんだけど、そこはかとない気品が漂うんですよ・・・これは国王だけじゃなくて、庶民や道化も同じなんです・・それは、とても優しい目線だと思う。
彼自身が苦労して庶民から宮廷画家となり、のちに国の主要な職務を任されるまでに出世した経歴を持っていたからかもしれません。
ベラスケスの構図力は本当にすごい!!すごく新しいと思うんだけど、それを見出したフェリペ4世もすごいと思う!!無能王と呼ばれた王様だけど、美術を見る目だけは超一流( ✧Д✧) カッ!!
私はベラスケスが本当に大好きで、近いうちに【大人の美術館】でも取り上げたいなと思っているんですが、なにぶん本当に真面目な人なんですよ・・・過労で亡くなるまで、とても堅実に生きてるんですよねぇ・・・ちょっと面白く書く自信がないんですが、本当に近いうちに必ず紹介したいです。
兵庫県立美術館
開催場所は「兵庫県立美術館」、開館時間の10時前に着くように出発。最寄り駅・阪神「岩屋」駅から徒歩10分。朝だというのに、やたら暑い日でした。
兵庫県立美術館のマスコット「美(み)かえる」くんも暑そう(゚∇゚ ; )
この暑さのおかげでとても空いていたので、ゆっくり鑑賞できました♪
土・日・祭日に行くときは、正午あたりを狙っていくと団体客や友人連れのご婦人などの客層が少なくて、比較的ゆったりと鑑賞できます。
チケット代は、一般で1,600円。私は事前にチケットショップで購入していたので、1,200円で鑑賞することができました。
公式ホームページにはアクセス割引券というのがあって、100円引きになります。
当日券を購入される場合は、ご利用ください。
「プラド美術館展」の期間は、2018年6月13日〜10月14日です。
音声ガイドは使うべし
音声ガイドは、どこでも500円で借りられます。「そんなもの要らない」という方も多いかもしれませんが、それほど絵に詳しくない場合、試しに借りてみるとイメージが変わると思います!!最近は役者さんや落語家さんを使ったガイドも多く、内容も凝ってて楽しいですよ♪
絵が描かれた当時の音楽が流れたりして、雰囲気に浸れます。
ちなみに今展のガイドは、俳優でミュージシャンの及川光博さん。
通称・ミッチーで有名なあの方が、あなたの執事となって「ブラド美術館展」を案内してくれます。
解説の内容も音楽も凝っていたので、オススメですよ♪
私は1巡目に音声ガイドなしで、2巡目に音声ガイドを聴きながら・・時間があれば3巡目にはなしで回ります。1回目と3回目ではずいぶん印象が変わる絵画も多いんですよ♪その変化も楽しめます!
「プラド美術館展」の見どころ
全Ⅷ章からなるテーマで展示され、1章につき1作品。私が気になったものを紹介しちゃいますね♪
Ⅰ章 芸術
アロンソ・カーノ作「聖ベルナルドゥスと聖母」
これ、どんな場面か分かります?
母乳直飲みですよ(; ・`д・´)
白い衣装の聖ベルナルドゥスは、修道士で神学者なんだけど、マリア様の彫像に向かって「あなたの母たることをお示しください」と祈りを捧げる不思議ちゃんw
こともあろうか・・その願いは聞き入れられ、マリア様の彫像に生命が宿り、母乳を数滴垂らすという奇跡の逸話が題材なんですが・・・
これ、数滴ではないよね!!しかもコントロールが半端なくいぃぃぃぃぃ Σ(゚Д゚ノ)ノぃぃ,, 私は残念ながら母乳を出したことがないんですが、こんなに狙って飛ばせるものなの??
何も知らずにこの絵を観たら、何プレイ?って思っちゃいますよね(゚∇゚ ; )w
Ⅱ章 知識
アントニオ・デ・ペレーダ作「聖ヒエロニムス」
おじちゃんは耳が遠いからラッパを使って話しかけてね?
「おじいちゃん聞こえる?」「ふんふん・・え?聞こえんのぉ」
・・・という絵ではないです(゚∇゚ ; )
このおじいちゃんは聖人です。聖書をラテン語に訳した偉い人!!
ひとり洞窟にこもって、あらゆる誘惑と戦いつつ修行した人でもあります。
彼のアトリビュート(人物を示す印)の一つに、 “手のひらサイズの石” というアイテムがあります。
この絵でも木の十字架の先にある石が確認できますね!
この石を何に使っていたかというと・・性的欲求に負けそうになった際、それに負けないように石で胸を打ち付けていた、という逸話が由来だそうです。
・・・・失礼ですが、このお年で耐え難い性的欲求が起こるというのは・・・ある意味偉人∑(゚Д゚) 元気でなによりです!!
ちなみに彼が耳を傾けているラッパは拡張器ではなく、天使が吹く「最後の審判」の始まりを知らせるラッパです(llФwФ`)ガクガクブルブル
Ⅲ章 神話
お気づきかもしれませんが、私ビー玉は神話が大好きです。たくさん紹介したい絵画はあるんですが、一つに絞るならこれ!!
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作「音楽にくつろぐヴィーナス」
この絵にはヴィーナスらしいアトリビュートが何も描かれていないんですが、実は同じテーマで同じ構図の絵が5枚ほどありまして、他の絵にはヴィーナスのアトリビュートであるエロス(キューピット)が描かれているものもあります。
最初はこのオルガン奏者とヴィーナスの視線は合っていたと言われているんですが、当時の倫理観では「視線が合うなんてエロすぎる」ということで、視線を外して修正されたようです・・・
えっとぉ・・・完全に演奏途中に盗み見する人ですよね?今の感性だと視線を外した方が圧倒的にエロいです(゚∇゚ ; )
なぜベッドのすぐ横にオルガンが置かれているのか?なかなか謎の多い絵です。
五感のうちの「視覚」と「聴覚」を表しているとも言われていますが・・・「聴覚」が「視覚」に負けてるし・・・「聴覚」もうちょっとだけ頑張れ!!
絵画における楽器は快楽の象徴だったりもするので、これも「(あなたを)鳴かせてみせようホトトギス」的なものかもしれませんね(ノ∀`)タハー ←←深くはツッコまないこと!!時間がないので次 =͟͟͞͞(๑•̀ㅁ•́ฅ✧
Ⅳ章 宮廷
16〜17世紀、美術は宮廷人の権力を誇示するために使われました。優れた画家に肖像画を描かせるのがステータスでもあったんですねぇ・・・・
ディエゴ・ベラスケス作「バリューカスの少年」
ここに書かれているのは、矮人(わいじん)と呼ばれる貴族を喜ばせるために雇われた道化の一人です。
身体的になにかしらの特徴がある人が多く、この絵に描かれているのは小人症の少年であります。
下の絵は、同じフロアにあった同時代の画家の絵です。
アロンソ・サンチェス・コエーリョ作「王女イサベル・クララ・エウヘニアとマグダレーナ・ルイス」
タイトル長い(ノД`)シクシク コピーちゃうねんw
このように、道化たちは貴族を引き立てる役割を担わされていて、小人症の体の小ささを強調するために上から見下げるように描かれることが普通だったんです・・・
それがベラスケスの目線は少年と同等もしくは少し下です!!
しかも少年は、シニカルな笑顔をこちらに向けています。
鑑賞しているハズの私たちが、逆に絵の中の彼から見られているような感覚に陥る仕組みです。ベラスケスは宮廷画家なので、この絵は王侯貴族に向けて描かれたんですよ!
王も道化も同じ人間!!というメッセージが聞こえてくるようではありませんか?
本当に静かな絵だけど、迫力ある作品でした(((uдu*)ゥンゥン
Ⅴ章 風景
ディエゴ・ベラスケス作「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」
ちょっと太りすぎの馬に跨る男の子は、フェリペ4世の息子・カルロス王子。5歳頃の肖像です。
幼いながらも指揮棒を振り、馬を颯爽と操る姿は将来の王の気品にあふれています。
青い空と襟元の白いエリ、ピンクのショールが春の風を孕んで吹き抜けるような、とても爽やかな作品・・・当時の人たちが王子の今後の活躍を期待せずにはいらないような肖像だったと思います。
だけど・・残念ながら王子は成人を迎える前に亡くなってしまうのです。
フェリペ4世は6人の子どもに恵まれますが、度重なる親近同士の結婚の弊害により、みんな若くして亡くなっています。(その辺りのことはまた後日・・)
守るべき血がハプスブルク家を蝕んでいくんですよねぇ・・・切ないですね(ノД`)シクシク
ベラスケスの筆って、協調したいところは本当に丁寧に描かれているですが、そうでないところは驚くほど荒いタッチです。近くで観ると少々違和感を覚えるのですが、離れて観たら不思議と調和するんです。風景もそうです。近くで観ると恐ろしくテキトーに見えるんですけどね(゚∇゚ ; )
その技法は、リアリティーを持って私たちの目に飛び込んできます。私たちの目って、集中する箇所以外は意外とこんな感じにみえているのかもしれません・・・
あと、王子の乗った馬が太って見えるのは、この絵が高い位置に飾られ、見上げると躍動感を持って迫ってくるように見える構図になっています。勇気のある人は絵の前でしゃがんでみてね♪私はしゃがみました(๑•̀.•́ฅ✧
こんな感じかな(((uдu*)ゥンゥン
Ⅵ章 静物
パウル・デ・フォス作「犬と肉の寓話」
この絵のテーマは、イソップ童話です。
イソップって中世ヨーロッパの童話作家だって思ってませんか?私はつい最近までそう思っていました。
実は紀元前6世紀、古代ギリシャの寓話作家です。奴隷の身でありながら彼の語る寓話が話題を呼び、奴隷の身からある程度の発言力がある立場まで登り詰めました!!
その寓話集は童話となって今も私たちの共感を呼ぶんですから、人間の本質って古代から変わっていないのだなと思います。
ちなみにこの犬の話は、肉を加えた犬が水に映る自分を見て「あの犬の肉も取ってやろう」と吠えかかった瞬間に肉を水に落としてしまう有名な話・・・
人のものまで奪おうとする貪欲さが自分の身を滅ぼす、という寓話です。
犬が大好きなので、この「あっ!!」って感じの犬の表情にグッと惹かれちゃいました٩( ᐛ )و
Ⅶ章 宗教
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作 「小鳥のいる聖家族」
幼がイエスと、その家族の肖像です。
イエスが手に持った小鳥を犬に見せようとしており、それを温かく見守る両親の図。まさに幸せを絵に描いたような・・・・・
ちょっと待ったぁ〜〜〜〜〜!!暖かく見守ってる場合か!!小鳥が〜〜〜〜(ノД`)シクシク
お願い!!ご両親・・・イエス少年の手から小鳥を解放してあげてぇ(ノД`)シクシク
Ⅷ章 美術理論
17世紀のスペインで、美術と宗教を結びつけた美術の理論書が発行されました。ここにきて絵画を描くということが知的な活動である、という理論が生まれたんです!!
これは美術を学習する人のための手本帳の1ページなんですけどね・・・・
赤いマーカーを引いた部分は、どう考えても骨じゃなくて脂肪やろう??
と、小さなツっこみを入れつつお開きとさせていただきます。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。
今後、「プラド美術館展」に行く人の参考に・・・は、したらダメですが、少し楽しくなりますように♪
本日は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
当ブログは週一回土曜に更新予定です。
コメント
とっても面白かったです!
毎日楽しみにしています。
3巡しながら音声ガイド、今度やってみたいです。
[…] 先日の「プラド美術館展」ても彼のこの絵はありましたが、本当はこんな風に甲冑を着て立つことはできなかったんだろうなぁ・・・ […]
[…] […]