こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。
今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・
当館【大人の美術館】は、web上の仮想美術館です。
「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します。
本日のお題はリスエスト!
本日はpopeさんにいただいたリクエストにお答えコーナーです
いつも遊びに来てくれているブログ仲間のpopeさんからリクエストで、ジャン・フランソワーズ・ミレーの回顧展を行います。
ミレーですかぁ・・・・
ミレーにエロ要素を感じる人っているんでしょうか?
別にエロ要素はなくていいんですっ内容を入力してください。
そうだったんですか!!大人の美術館なのに?
まぁ・・・清廉な農民の絵ばかりを描いているイメージですが、実はヌードも数多く描いていて・・・
ミレー作「ディアナの終熄」
これらがなかなかエロいんですよ(((uдu*)ゥンゥン
だけど、それはミレーが本当に描きたかったものではなく、お金のために売れる裸婦を多く描いていたにすぎません。
なので、「ミレー?あぁ・・あの裸の絵ばかりを描いてる画家でしょ?」と言われたことに大きなショックを受けて、絵の作風をガラリと変え、ミレーが本当に描きたかった「大地に根をおろし自然と共に働く農民」「人々の普遍的な日常」を描くようになっていきます。
私なんて美=エロだと思っているところがあるゲスい人間なので、この話を聞いた時は耳を疑ったんですが・・・・
この絵を前にすると、こんな私でもエロとは対局の静けさや崇高さに美を感じずにはいられません。
さて、この絵はよく知っていてもミレーについてはよく知らない人が多いのではないでしょうか?
ミレーとは
「自画像」ボストン美術館所蔵
ジャン=フランソワ・ミレー(Jean-François Millet)は19世紀フランスで活躍した写実主義の画家です。
のちにパリから電車で1時間ほどのバルビゾンという自然豊かな土地に移り住み、バルビゾンの風景を好んで描く画家たちとともにバルビゾン派の画家とも呼ばれています。
最初の妻
ミレーの最初の結婚は27歳の時。
「ポリーヌ・V・オノの肖像」 山梨県立美術館蔵*日本で観られます*
私がもっとも好きな肖像画です。これはミレーの最初の妻の肖像画なんですが・・・表情がなんとも切ない!
彼女は結婚前から5年ほどミレーのモデルをつとめ、結婚してわずか3年後、たった24歳で肺結核を患って亡くなります。これは結婚当初に描かれた絵なので、まだ病は発症していなかったと思いますが、ほっそりとした肢体から、あまり体は丈夫ではなかったことが伺えます。
儚げで憂いを帯びた表情・・・実際にポリーヌがこんな表情をしていたのかどうかはわかりませんが、少なくともミレーにはこう見えていたとしたら、愛する妻の余命がそれほど長くはないことをなんとなくわかっていたんじゃないかなと思ったりして、さらに切ない気持ちになります。涙を堪えたような新妻の肖像は少し悲しげですが愛情に溢れた美しい肖像画です。
そして、同じ山梨県立美術館にはもう一枚の肖像画があります
二人目の妻
「眠れるお針子」山梨県立美術館蔵*日本で観られます*
こちらは2人目の妻であるカトリーヌ・ルメール。彼女との間には9人もの子どもに恵まれ、ミレーは良き家庭人でありましたが、カトリーヌとは長く内縁状態でした。
実際に2人が結婚したのはミレーの死の直前だった理由は、カトリーヌとの結婚を家族に反対されていたからです。籍はいれませんでしたが、カトリーヌは「自分の描きたいことを描く」というミレーを支え、パリからバルビゾンに移り住むときもカトリーヌと一緒でした。
この「眠れるお針子」は、家族の為に針仕事をしていて、うとうとと眠ってしまったカトリーヌをモデルに描いたものです・・・
変化する画風
さて、この「眠れるお針子」と「ポリーヌの肖像」の違いがわかりますでしょうか?
ポリーヌの肖像は目に見える美しさ儚さを描いた肖像ですが、「眠れるお針子」は働いて疲れて居眠りしてしまうという、労働の対峙する人間の営みを・・目に見えるものではない尊さを描いています。
「眠れるお針子」は「裸ばかり描いてる画家」と揶揄されて、ミレーが本当に描きたいものを描き始めた出発点となった絵なんです。ミレーが本当に描きたかったのは人間が自然と共に生きる人間の普遍的な“営み” です。
ここから農民画家と呼ばれたミレーの傑作がつぎつぎに生み出されます。
「落ち葉拾い」には、いったい何が描かれているのか?
「落穂拾い」オルセー美術館所蔵
有名すぎる絵ですね!学校の教科書には絶対に掲載されています。
ただ労働してる人を描いた絵?
実は違います!!
落穂拾いというのは穀物を収穫した後に、取りこぼした落穂を拾い集める貧しい人たちを描いた作品です。
泥棒?って思うかもですが、聖書にも、富める者は「取りすぎてはならない」とされていて、余裕のあるものは貧しいもののために「落穂」を残しておかないといけないと書かれています。
聖書の時代からつ続く習慣なんです。
描かれているのは普遍!
ミレーの落穂拾いには
この広大な農場の持ち主であろう富める者と・・・
稲を刈る普通の農民たち・・
そして落穂を拾う貧しい者たち、3つの階級がリアルに絵が描かれています。
聖書の時代からなんら変わることがない、時を超えた人々の “営み” なんです!!
当時の風俗画でもあり、宗教画でもあり、歴史画でもあるという絵。
うん、これは名画中の名画ではありませんかっ(((uдu*)ゥンゥン
晩鐘はなぜ名画なのか?
日暮れと共に遠くから静かに聞こえる教会の鐘の音・・
その音に今日1日が無事に終わったことと先祖への感謝の祈りを捧げるひと組の夫婦。
貧しいながらも、清く生きる人の営みが心を打ちます。
「晩鐘(ばんしょう)」 オルセー美術館所蔵
日本でのミレー人気は1928年に教科書にミレーの伝記ともに「晩鐘」が掲載されたことで広まっていきました。
当時は農民の子ども向けに清貧と労働の大切さを自覚させるための政府の狙いだったんですが、時を経て戦争が終わり、民主主義の世の中になっても変わらず教科書に掲載されて、政権や時代が変わっても人々の心を揺さぶり続けた絵なのです。
それどころか国境も人種も関係ありません。
ミレーはこの「晩鐘」を描くにあたり、村で美人と評判だった女性をモデルに起用していたんですが、美人の無駄遣いとはこのことで、晩鐘の登場人物は顔がはっきり描かれていません。
描かれているのは強烈な共感
顔や表情をはっきり描かないことで、絵を見る者に自身の原風景を重ねて共感を呼びやすい仕組みになっています。
人類みな兄弟ではないですが、人間って国境や人種が違っても共感するところって同じなんだと驚きます。
これぞ普遍!!人々が愛してやまない自然の営みなのでしょう・・
ミレーは本当に描きたかった「人々の普遍的な営み」を見事に描ききり、60歳で人生の幕を閉じました。自分が描きたいものを描き切ったという画家は意外と多くはないのですよ・・・良い画家人生だったのはないかと思います。
いかがだったでしょうか?楽しんでいただけましたか?
本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「大人の美術館」は動画でもお楽しみにいただけます
大人の美術館は毎週土曜か日曜の深夜に開館します。
また来週お会いいたしましょうm(_ _)m
コメント
画家っていう自分のなりたい職業についていたにもかかわらず、
自らの知名度と需要の関係で、本当に描きたいものを描けない・・・
いや~・・・なんとも世知辛いですが、いつの世も発信者は需要に左右されてしまうものですな(*´ω`*)
自らの信念を貫き通すのがどれだけ大変か、よくわかります(((uдu*)
えたさん、コメントありがとうです♪
自分のやりたいことをやってるはずなのに・・・ってのはどの世界でもありますよね・・・ここだけの話、私もどうしてコンビにスイーツを食べているのか分からなくなる時があるんですが(^▽^;) 最近はちょっとスイーツ中毒っぽくなっておりまして、どこかに転機が落ちていないか探し中です(ノ∀`)タハー
いやあ、ありがとうございます!姉さん、このミレーの最初の奥さん、実は知らなかったんです!しかも山梨県立美術館で見られるなんて!いい表情ですね、この儚げな感じが病的といったら怒られるか?
しかも最初は売れることを理由に裸婦を描いていたことがあるというのは知ってましたが、転機になったのが二番目の奥さんだったとは・・・もしかして小生の転機も二番目の・・げふっげふっごうふ・・・
一番好きなのは落穂拾いではなく晩鐘だったのですが、落穂拾いもこうしてよく解説されると搾取する側される側という、なんか現代にも通ずるような構図でなかなか深いな!と思わせる内容ですね。
今回は忙しい中、リクエストに答えて頂きましてありがとうございました!
pope兄さん、コメント&リクエストありがとうです♪
いや〜良いお題をいただき、感謝感謝です٩( ᐛ )و
改めてミレーってすごいなと思いました( *• ̀ω•́ )b グッ
山梨県立美術館は世界有数のミレーコレクションを所有しております。たしかミレー館があったと思います。次の旅行は山梨かなぁ〜(*´﹀`*)
二番めがないことを密かに祈ってます!!なぜなら面白いからwww
おっしゃる通り!「落穂拾い」と「晩鐘」、絵にあまり興味の無い人でも心打たれる普遍性を持った名画ですよね。
ミレーは大好きですが、こんな素敵な嫁さんの肖像画があったなんて、驚きました。ゴッホの心も打ち抜いた画家ですよね。いいなぁ、癒される。しかし、「落穂拾い」にそんな社会的な背景、宗教性があったなんて…またまたびっくりさせて頂きました。ありがとうございます
ヨウコさん、コメントありがとうです♪
ゴッホも種まきの絵を描いてますもんね( ✧Д✧) カッ!!
そのまま見ても心打たれる絵ですが、背景を知るとより深みのある絵だと思います。ミレーの絵をみると、本当にすごいなって思います!!どの時代にもマッチするような共感性を描ききった画家はいないですよね٩( ᐛ )و 奥さんの絵も激しく共感(((uдu*)ゥンゥン ←よく寝ちゃうw
( ̄。 ̄)ホーーォ そんな意味があったとは。。。わかると、また、見方が変わってきますなぁ…。僕は転寝のが好きだけど。
ましゅーさん、コメントありがとうです♪
名画にはいろんな意味が隠されているのですよ!!何も知らずに見る絵も良いけど、私は知りたいと思うのです( ✧Д✧) カッ!! ミステリー好きだから?
転寝は私も好き(*´﹃`*) ←転寝するのがw
落ち穂拾いの3人の後ろにそんなのが描かれてるとは知らなかったなー。いつも勉強させてもらってます。
晩鐘は観たよ、本物。上野に来た。いつだったかな、かなり昔。
(´・∀・`)ヘー、素敵!
なんだかイラストレーターさんでもありそうな話(笑)
絵がとても上手で綺麗だと
高値で売れそうなエロスな絵を求められそうだけど作者さんは
「そんなものが描きたくて絵描きになったんじゃない!」
って思ってる人いそうですもんね(;’∀’)
でも食べていくためにやってる人もいそう…(´;ω;`)
本当は情緒豊かな伝わる絵を描きたい人だったのね…
勉強になりますわ~( ˘ω˘ )
スヤスヤちゃん、コメントありがとうです♪
私だったらエロ絵を書くわ(; ̄Д ̄) お金にはあまり興味がないんだけど、お金に振り回される人生でございます(;´д`)トホホ…
お金のことを考えなくていいお金持ちになりた〜い( •ὢ•) ←そんな人はたぶんいないw
そしたら私もきっと、情緒豊かなブログが書けるはず( ✧Д✧) カッ!!
教科書でみた!
でも、中身覚えていない…という情けない状態です><
普遍的な絵は見るタイミングによって自分の中でもきっと感じ方が違う…
お針子の絵とかは、主婦として家事をしている今だからこそ心から共感してしまう。
ほんと絵って素敵ですね♪
marimoちゃん、コメントありがとうです♪
私の子どもの頃はどこの家庭にも落ち穂拾いのポスターが貼っていたのよ(゚∇゚ ; )
なぜかは知らないけどwww
見るタイミング・・・他の人の返信にも書いたけど、「落ち穂拾い」は今見ると腰が痛そうで、辛い・・・・( •ὢ•) ←腰痛もちw
さすがに絵画に疎いわたしでも知ってる絵だわ!
って思ったけど、意味なんて考えたことなかったし、そんなに深い意味があるなんて知らなった。。。
働いてる人をただ描いただけでは、こんなに有名にならないか(;^ω^)
aiaiちゃん、コメントありがとうです♪
教科書とかで絶対に載ってるし、いろんなところで見るもんね!
子どもの頃はなんとも思わなかったけど、今見ると・・・腰が痛そう( •ὢ•)って思う!!切実にっっ
落ち穂拾いの3人はまさか!三階級が描かれているなんて!
ミレーの作品、見方が変わりました。
なんか共感持ちました。
いろいろ勉強になりました。
ありがとうございます
スマイルさん、コメントありがとうです♪
三階級が描かれているんです!!知ってからみると、印象が変わる絵でもありますね(((uдu*)ゥンゥン
子どもの頃は良さが理解できなかったですが、おとなになってみるとしみじみと良いなと思えます٩( ᐛ )و
ことらこそ、読んでいただきありがとうです♪