こんばんは!ナビゲーターのビー玉です。
今宵は、【大人の美術館】へようこそ・・・
当館【大人の美術館】は、web上の仮想美術館です。
「知ると絵画は色っぽい」をコンセプトに、今宵も大人の美術館は開館します。
アニメや映画でもたびたび名前があがり、ジブリアニメ「天空の城ラピュタ」では、ムスカ大佐がラピュタから地上に放たれた閃光を指して「旧約聖書にあるソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ」というセリフが出てきます。
この「ソドム とゴモラ」とは一体何なのか、「天の火」とはどういうモノなのか・・
名画を通して、あなたを背徳の世界にナビゲートします。
お時間よろしければ、最後までお付き合いくださいm(_ _)m
ソドム とゴモラ
悪魔のことを書いた時に、人間を滅ぼすのは神様の仕事だと書いたことがありました。
神が人類に罰を与えた話はノアの箱舟が有名ですが、ソドム とゴモラの町も、そんな神様に滅ぼされた町のひとつです。
神が滅ぼしたソドム とゴモラとはどんな町だったのでしょうか?
ソドム は同性愛を表す「ソドミー」の語源となった町です。
ソドム は神が禁止していた同性愛が横行し、性的風紀が乱れた町だったのです。
※今の感覚だと「同性のなにがダメなの?」って感じですが、同性愛が罪だとされた時代が過去にはあったということでご理解ください。
聖書にはソドムとともにゴモラは「悪徳の町」とされていますが、ゴモラの描写はほとんどありません。
もしかしたら、ソドム を滅ぼす際の流れ弾的な巻き添えをくっただけの町かもと私は思っています(゚∇゚ ; )w
そんなソドム とゴモラのあった場所は、現代のイスラエルとヨルダンの国境にある、塩分濃度が高すぎて生物が生息できないという「死海」付近。
ソドム とゴモラは神に滅ぼされた後、死海に沈んだと言う説が有力ですが、死海付近で発見されれた遺跡がソドム とゴモラだともいわれ、はっきりした場所は不明です。
神様は滅ぼす予定の町に2体の天使を偵察に向かわせます。
天使を陵辱しようとした人々と、それを守ろうとしたロト
美しい旅人(男性)に化けた天使たちはソドム の町に降り立ちます。
天使たちは、そこで出会ったロト一家に手厚い歓迎を受けるのですが・・
ロトの家に美しい旅人がいると聞きつけた町の人々は、その旅人を陵辱しようと押しかけます!!
なんて乱暴な!滅ぶべき町ですねっ
いえいえ、ロトの方がよっぽど悪質です!!
そんな暴徒を前にして、ロトは驚愕の交換条件を提示します
我が家には、まだ男を知らない娘が二人います、娘たちを差し出しますので、旅人には手を出さないでください
(llФwФ`)ガクガクブルブル
驚愕でしょ? 娘は実の娘だし、ロトは旅人が天使だなんて知らないんですよ!!
ちなみに暴徒たちは女性に興味がないので、交渉には応じませんでした。
娘セーフ!
そのやりとりを家の中で聞いていた天使は、本来の姿にもどり、眩しい光で暴徒の目を潰し、ロトにこう告げます。
「明日の早朝、この町を滅ぼします。今すぐ町から逃げなさい。決して後を振り向かないこと」と!
個人的にはいたいけな乙女を暴徒にさし出そうとしたロトも一緒に滅んで欲しい( •ὢ•)
戸惑いながらもロトは天使に従って、娘二人と妻をつれて、町を脱出します。
そして、日の出とともにソドム の町に天使の正義の剣が振り下ろされ、ソドム とゴモラの町には硫黄の火が降り注ぎ、人間はもちろん草木も動物も全てを焼き払いました。
作者不明「ニュルンベルク年代記」より
「振り返ってはならない」という言いつけを守れなかったロトの妻は一瞬にして塩の柱になってしまいます。白いこけしのようなものが塩の柱になったロトの妻ですw ちょっと笑ってるよに見えるのがシュール・・
かなり緊迫した場面なんですけどね、おじいちゃんの散歩といったのどかさです(^▽^;)
燃えさかる町を描きたい!
この硫黄の炎で焼き尽くされる「ソドム とゴモラ」というテーマは風景画を得意とする画家に好まれて描かれました。
宗教画という名目で、低俗だと言われていた風景画を思う存分描けるからです。
ヨアヒム・パティニール作「ソドムとゴモラの滅亡がある風景」1520年頃
この絵は実際に観たとこがあって、本当に小さな絵なんです。だけど、空を焦がして燻ってる町の描写がリアルで迫力があり、遠くからその情景を眺めているようで本当に怖かったです。
だけど、風景が描きたい気持ちが先立って、ロト一家のオマケ感が半端ないw 右端に小さく描かれているのがロト一家と天使です。
ロトの妻を探せw
あと、燃える町と逃げるロト一家を描く時は、絶対に描かれるものがあります。
それは塩の柱になっているロトの妻です。
この絵にも、ちゃんと塩の柱になっているロト妻も描かれているんですが・・・ロトの妻を見つけるのが最難関の絵だと思われます。
ネットの画像ではわかりにくいかなぁ・・・アップにしてみますね!
見つけられましたでしょうか?絵の中央の白い点です(^▽^;)
見つけられた人はすごいです(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ
ソドム とゴモラの絵を観た時は、この塩の柱になったロト妻を探してみてくださいね!
ちなみに、ソドム とゴモラの町があったとされる死海付近には、ロトの妻だと言われる塩の柱が観光名所となっておりますが、そこらじゅう塩の柱だらけで、どれかロトの妻の柱か分からないと友人は言っておりました(^▽^;)w リアル「ロトの妻を探せ!」ですw
そして、燃えるソドム とゴモラを描いた絵で最も有名なのが・・・
ジョン・マーティン作 「ソドム とゴモラの破壊」(1852年)
映画さながらの大迫力!!
熱対流がおこってますね!渦を巻くような炎と崩れていく町がリアル・・・
離れた場所でも熱風が襲いかかってきているような描写が秀逸です!!
この絵にも小さいですが、ロト妻の塩の柱が描かれています。ヨアヒム・パティニールの絵を観たあとだと見つけやすいですしょう(^▽^;) ぜひ見つけてみてくださいね。
そして私が最も怖いなと思うソドムとゴモラを描いた絵がこちら!
ギュスターヴ・モロー『ソドムの天使』
静かな絵なんですが、この静けさが何よりも怖いっっ!!
全てが焼き払われて静かになった町を見下ろす巨大な天使の冷静さ・・・
正義のつるぎが掲げられています。正義の名のものとに罪人とされた者は滅びる運命なのです。
天使は優しくて、慈悲深いというイメージを完全に覆す背筋が震える恐ろしさです。
神様や天使を敵に回しちゃダメだ(((( ;゚д゚))) ってヒシヒシと感じますよね!!
その後のロトと娘たち
ルーカス・ファン・レイデン『ロトと娘たち』1520年ごろ
ロトと娘たちは命からがら山中の洞窟にたどり着きます。
まだ町が攻撃を受けているように見えますが、この絵の中には2つの時間軸があります。
逃げる道中のロト一家と、逃げ延びてしばらくたったロト一家です。
なにやら・・・テントの前では怪しい雰囲気が漂ってますよね(((uдu*)ゥンゥン
逃げ延びて、落ち着いた頃にロトの娘はふと気づくわけです。
ここには男性は年老いた父しかいない・・・
このままではロトの血筋が絶えてしまう!!
ヤン・マセイス『ロトとその娘』
娘たちはぶどう酒で父をベロベロに酔わせて、子孫を残すという名目で事におよびますヒイィィィ!!!!(゚ロ゚ノ)ノ
ヨアヒム・ウテワール『ロトと娘たち』
ロトは酔っ払って何も覚えてないとされますが、なにも覚えてないほどベロベロになって、役にたつんものなんでしょうか?(´-ω-`)
たぶん、ロトはわかっていながら分からないフリをしていたんだと思いますが、娘二人はそれぞれ無事に男児を産み落とします。
この一連の逸話・・・特にロトの娘たちの話は違和感ありありですよね!!
実は、ロトの娘たちが産んだ息子はのちにイスラムと敵対する民族の祖となります。
イスラム教や、キリスト教はもちろん近親相姦を禁止していますが、そうでない民族には近親相姦の神話を持つ神々がたくさんいたんです!そんな多民族批判も含まれた逸話なので、ロトと娘たちという題材はイヤラしく、嫌悪感を抱くように描かれたものが多いのです。
善とは何か?
客人を守るためとはいえ、まだ処女だった娘を差し出そうとしたり、塩の柱になった妻を見捨てて振り返ることもなく自分たちだけ逃げ、最終的には近親相姦・・・
神が助けた「善人ロト」とはいったい何なんでしょうか(´-ω-`)
今では、想像もできないかもしれませんが、自己愛や家族愛よりも「信仰」が重要だった時代があったんです。
ロトは信仰深く、神の教えを守り客人をもてなし、神の言葉を信じ、神の教えに逆らわなかった、神にとってはなによりも善の人だったのです。
今と価値感の違いにクラクラしますけどねぇ・・・正義や常識って本当に移ろいやすいものなのですよ・・・
そう思うと、天使が振りかざす「正義の剣」が何よりも怖く感じませんか?
もしかしたら明日、私たちの頭上に私たちとは価値観が違う正義と言う名の剣が振り下ろされるかもしれないんですから・・
本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。当ブログは土曜か日曜の深夜に開館します。またの来館お待ちしておりますm(_ _)m
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コメント
・・・ソドムとゴモラって待ちの名前だったんすね・・・Σ(´∀`;)
僕は超絶恥ずかしながら、今の今まで人の名前って思ってました(T▽T)
ロトが神話にも登場してたとは(≧▽≦)って思って読み進めてみると、けっこう鬼畜なヤツなんですね(T▽T)ドラクエのロトとは大違い(^^;
まぁ・・・「動物も木々も」っていう時点でその天使も、僕としては人間と変わらんなって感じっすよ(((uдu*)
えたさん、コメントありがとうです♪
神様はひどいですよね!!ノアの箱舟だって、1ペアの動物以外は大洪水に飲み込まれちゃったんですもんね・・・なので私も天使も神も人間と同じだって思ってます。神様は怖いです(((uдu*)ゥンゥン ゲームの世界では神話が元ネタってのが多いので、ゲーム好きな人は神様の名前とかよく知ってますよね(*´﹀`*)
ソドムとゴモラ、わ、私も人名だと思ってました^^;
価値観ってほんと難しいですね。
価値観の違いが力のある人が相手を滅ぼすことができたり、街を潰したりするほどであれば、そりゃ夫婦間の価値観の違いも生じるの当たり前…
話し合ったり妥協して何とかしようとする人間が結構善人に見えてきました(笑)
marimoちゃん、コメントありがとうです♪
ツイッターでもネタにさせてもらったけど、ソドムとゴモラが人の名前だと思っていたという人が続出です٩( ᐛ )و
本当に価値観って難しい・・・夫婦でも一緒になったころはこれのぶつかり合いだもんね(((uдu*)ゥンゥン
全否定するより受け入れることも大切だよね!神様も老夫婦とかを見習ってほしいものですwww
ソドムとゴモラ…悲劇的な街ですね。しかし、神様って残酷だわね。
ロトの奧さん、見つけましたよ!白い微妙なシルエットのちっちゃなやつ
またひとつ面白いお話をありがとうございます(*’▽’*)
ヨウコさん、コメントありがとうです♪
ソドムとゴモラは背徳の町とか悪徳の町とか言われてるけど、滅んでしまったので実際はどうだったかわかりませんよね(^▽^;) 実際は普通の町だったんじゃないかなぁ・・って思うんですが(´-ω-`)
ロトの奥さん見つかりましたか!!さすがです( *• ̀ω•́ )b グッ これから町が燃えてる絵があったら、ロトの奥さんを探してみてください♪こちらこそ、いつもありがとうございますm(_ _)m
ぶるぶる、天使って怖いのね。
言うことを聞くやつが善人という、、、
私なんてすぐに剣で成敗されちゃいそうだ。
ロトの奥さん、私まだ見つけられてないよー。
Nickちゃん、コメントありがとうです♪
天使って怖いでしょ? 世界の終焉のときにも天使は大活躍するのです。絶対に悪魔よりも怖いと思う(;´д`)トホホ… ロトの奥さんは絵の中央 “i”って感じの白い点(線?)だよ〜ん。
だけど、ウェブの画面だと小さすぎて分からないかも(((uдu*)ゥンゥン
((((;゚Д゚))))ガクブル 怖い話やのぅ。
ちなみに、ムスカが出てきたところろで「人がごみのようだ…。」がリフレインしてましたケドね。(笑)
ましゅーさん、コメントありがとうです♪
あの「人がゴミのようだ」は私もリフレインしました!! 確か試写会のチケットを当てて映画館に見に言ったのですよ(((uдu*)ゥンゥン まだ昭和だったと思う。明日から令和かぁ(((uдu*)ゥンゥン ←言いたいだけw